日本語で思い伝える
音楽業界も大きく変化した。「時間は止められない。選択肢は二つで、自分が時代に合わせていくか、やめるのかのどちらか。私は前者を選んだ」=杉本昌大撮影
「スタンド・バイ・ミー」のヒットで知られる米歌手、ベン・E.キングが、アルバム「Dear Japan,上を向いて歩こう」(ユニバーサル)を出した。
73歳の大ベテランが、日本語での歌唱に挑戦した。
本作は日本独自の企画盤となっている。話を持ちかけられたキングは、前向きに挑戦した。「チャレンジするのは大好き。日本には何回も来ているので、言葉の感覚は分かっていた。うまく歌うことよりも、大事なのはフィーリングだね。日本の人たちに、自分の思いが伝わればいい」
表題にもある坂本九の名曲、そして自身の代表曲「スタンド――」も、日本語の歌詞で歌った。「日本語で歌っても、曲の本質的なものは変わらないよ」。素朴で味わい深い歌声を聴かせてくれる。ほかの収録曲は、参加していた人気グループ、ドリフターズの代表曲や新曲など。小林亜星作詞・作曲の「どこまでも行こう」は、英語カバーになっている。
キングは、1958年にドリフターズのメンバーとなった。「ドリフターズのメンバーとマネジャーがもめて、全員がクビになった。そこで急きょ(別のグループだった)我々がドリフターズになったんだ。冗談かと思ったよ。あんなおかしなことはもうあり得ないね」。60年の脱退も「ギャラの件でマネジャーに文句を言ったら、嫌なら出て行けって言われたんだ。ほかのメンバーも付いてくるかと思ったら、私一人になってしまった」と笑う。
しかしソロになって、すぐ「スタンド――」が大ヒット。70年代にジョン・レノンがカバーして再び脚光を浴び、80年代にはキングの歌も映画主題歌になるなどして全英1位、全米9位まで上がった。長年にわたり、多くの人に愛されてきた楽曲だ。「大切な人よ 僕のそばを離れないで」と歌う、これ以上ないほどシンプルな内容ゆえに、普遍性を持っているのだろう。「結婚相手に向けて歌ってもいいし、友人を励ますのにもいい。好きだと告白する歌にもなる」。今年は、この歌の発表からちょうど50周年。きっとこれから50年先にも、人々に歌われているに違いない。(桜井学)Yaff.showAffTag({'disp':'li','iseven':'','irakuten':'','w':'','t':'','a':'','m':'','p':'','seven':'','rakuten':'','isbn':'B005KLAAJK'});
(2011年12月8日
読売新聞)
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