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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

振り回していたはずが振り回されていた『うみべの女の子』

2021年09月15日 23時50分12秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:110/191
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
ラブストーリー
閉塞感
思春期
中二病

【あらすじ】
海辺の田舎町に暮らす中学2年生の小梅(石川瑠華)は、
憧れの三崎先輩(倉悠貴)に手酷いフラれ方をしてヤケになり、
同級生の磯辺(青木柚)を誘って衝動的に初体験を済ませる。
なぜ相手が自分だったのかと問う磯辺に、
「一年のときあたしに告ったじゃん」と言い放つ小梅。
気持ちはまだ変わっていないと改めて告白する磯辺だったが、
小梅にその気はなかった。

しかしそこから、2人は体の関係を繰り返すようになる。
曖昧で奇妙な付き合いを続けるうちに、
セックスはいつしかお互いにとって日々の生活の一部になっていった。

ある日、磯辺のパソコンのデスクトップに
ビキニ姿の少女の写真を見つけた小梅。
嫉妬にも似た感情を覚えた彼女は、
勝手にそれを削除してしまう。
自分からフッたはずの磯辺の気持ちを今さら試す小梅に、
「生きてるだけで息が苦しいってやつらの気持ちなんてわかんねーだろ?」
と詰め寄る磯辺。
磯辺は実の兄を自殺で亡くしていた。

磯辺に拒絶されたやるせなさから、
三崎先輩に拠りどころを求める小梅。
性行為を強いられそうになり、
傷ついて押しかけてきた小梅を、
磯辺は「帰れ」と突き放す。
親友だからこそ、
家族だからこそ言えない焦りや苛立ちも、
磯辺にならぶつけられる。
それぞれにねじれた喪失を抱え、
心の穴を埋めるように激しく交わる2人。

文化祭を前にして、
会えないほど磯辺に執着していく小梅と、
死んだ兄の幻影にとらわれていく磯辺。
離れていく磯辺の心をつなぎとめようと
小梅は手紙に思いをしたためる。

しかしその頃、
磯辺はポケットの中にスタンガンを握りしめ、
夜道に足を踏み出していた……。

【感想】
原作漫画が2巻しかないので、
それを読んでからの鑑賞。
もともとが短いのでほぼまるっと映像化されている。

閉塞感ある青春映画って感じ。
田舎町という環境がそう感じさせるのかもなー。
中学2年生という心も体も大人へ近づいていく多感な年頃。
そこから芽生える性の目覚め。
頭や心よりも体が優先される。
興味と快感が、
曖昧な関係性への違和感を中和していく。

そもそものきっかけは些細なことなんだよ。
小梅が憧れの先輩にフラれたヤケクソでの磯部とのセックス。
相手に彼を選んだのは、
かつて自分に告白してくれたから。
自分を好きな人のことって、
自分も好きになりやすいよね。
磯部からしたら、
好意を利用された形にはなるけど、
結果オーライじゃんって(笑)

ただ、あれだけセックスを繰り返しながら、
小梅はなかなか磯部への好意を認めない。
ヤケクソでヤッてしまったこと。
一度フッた手前、
体を許したからといってホイホイついていく
安い女に見られたくなかったこと。
先に体を重ねてしまったことで、
心が追い付いていなかったこと。
理由はいろいろあるんだろう。

一方、磯部もあんまり強く付き合ってとは言わない。
きっとこの関係をなるべく維持したいっていう心理はあったと思う。
片想いの子とヤリまくれるなら、
わざわざ手放したくはないよね。
ただ、気持ちが届く前に、
そういうことになっちゃったせいか、
やや小梅に対する扱いが雑な気もする(笑)
そりゃ両想いになれて、付き合って、セックスする
という一応の順序がある中で、
いきなりゴールしちゃったから。
ありがたみは薄そう。

最後の最後で、
ようやく小梅は自分が抱いていた気持ちと向き合うけれども。
そこは切なかったなー。
タイミングが違えば、
もっと早く素直になっていれば、
違った未来が待っていたかもしれないから。

一方、ラストの磯部はよくやったと思う。
自分の尊厳を保ち、
相手のペースに巻き込まれずに済んだ。
ここが立場逆転が最も明確化されるところ。
小梅が振り回していた状況が、
逆に振り回される側になるから。

でも、この曖昧な関係性が、
お互い心の隙間を埋めるのに最適な形だったのかも。
家族や恋人、友達という決められた関係性だと、
言うに言えないこともある。
そのどれにも当てはまらないから、
居心地がよかったのかなって。
「セフレ」っていう見方をすれば、
上記のような決められた関係性の範疇に入ってしまうけれど、
セックスを楽しむことを目的としているわけではないから、
それとは違うかなと。

それにしても、小梅を演じた石川瑠華さんの体当たり演技はすごかった。

映画『うみべの女の子』公式サイト 8月20日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開

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