『あかんべえ』

卒業式が一段落したら、ちょっとゆっくりできるかな…と思っていたのですが、学校のことでやっておかなくてはならないことが結構あったり、ばぁちゃんの通院回数が増えたりと、いつもよりも気ぜわしい日々が続いていました。

ばぁちゃんの通院が増えたということは、病院にいる時間が多くなりました。
診察までの時間、検査の結果待ちの時間、会計までの時間、お薬が出るまでの時間…
なんとも＜待つ時間＞の多いこと…

もちろんその時間は本を読んでいるので、読書時間は増えました＾＾。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

写真は　宮部みゆきさんの時代長篇　『あかんべえ』（上・下）です。

お仕事でお世話になっているＭさんに　「読むもの（手持ちの）がなくなってきたのよねぇ…」と愚痴ったところ、会社のメール便を使って送ってくれました。
ありがたい！！

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お話の舞台は、深川の「ふね屋」という料理屋。
主人公はふね屋の娘で十二歳の娘・おりん。
ふね屋はおりんの両親が新しく持つことになった料理屋なのですが、引っ越してすぐから、怪異なことが起こり始めます。
この＜おりんちゃん＞、引越し早々、病にかかり生死の境をさまよい生還するのですが、そのせいなのか亡者＜おばけさん＞たちの姿が見えるようになってしまうのです。

おりんちゃんは素直で可愛い娘で、その＜おばけさん＞たちと心を通わせていきます。
ここでその＜おばけさん＞たちをちょっと紹介。

お梅　（小さな女の子。おりんにいつもあかんべえをします。）
玄之助　（お侍。２３歳。様子の良い美男子で女好き。）
おみつ　（おりんの母親くらいの歳で、美しい顔立ちのあでやかな女。）
笑い坊のじいさん　（按摩さん。偏屈で頑固だけれど腕はいい。）
おどろ髪の男　（刀を振り回し、暴れて、立ち上げたばかりの「ふね屋」の初めてのお客の席を台無しにすることになる）

「ふね屋」の怪異騒動は、場所にまつわる、三十年前の事件が関わっているのですが…
ここに留まっている＜おばけさん＞たちは、皆、自分がどういうふうに死んだのか、何故この世に残っているのかわかっていません。

おりんはさまよっている＜おばけさん＞たちに成仏してもらおうと考えるのですが…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

人間も＜おばけさん＞たちも、一生懸命生きて（？）いる姿があります。
生きていれば様々な黒い思いに囚われてしまうこともあるわけで…
人の捨てきれない思いや業。
人の優しさや脆さの裏返しなんだろうなぁ…
だからと言って、絶対許せないこともありますが…

人情＋ミステリ＋ファンタジー。心温まる時代長篇　←新刊紹介文より

面白かったので、おすすめです。
ぜひお楽しみくださいませ。

最後に、＜玄之助さま＞と＜おみつさん＞、いい男といい女ですよー！！