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『キルトとお茶と殺人と』 サンドラ・ダラス

2007-12-14 10:45:20 | ★積み上げて…(本)



『キルトとお茶と殺人と』 サンドラ・ダラス
             雨沢泰:訳 (文春文庫)

カンザスの田舎町ハーヴェイヴィル。不況の波は農村にも押しよせおまけに日照りつづき、しかし主婦たちはキルトの会に集まってはお茶と噂話に日をすごす。ある日表れたのはキルトより<事件>が好きという新聞記者志望の若い女性、それから何かと騒動が起こりだす― 流れ者の登場、不倫と妊娠騒ぎ、そして殺人事件まで…。  (カバー裏あらすじより)


まさにコージーミステリな題名でしょ^^; 
コージー系はちょっとね;…と思われているひとは、本屋さんでも手に取ることがなかったかもしれません。
読んでみると、いわゆるコージーとはちょっと違うんですけどね。
そのせいかどうかは?ですが、今は絶版になっているのかしら?…
ユーズドでは出回っているようです。


最初に読んだのは、もう10年ほど前です。
読後の後味が良かったことを覚えています。
次に読み返してみたのはいつだったか…
読み返してみて、とても好きな一冊になりました。

 
あらすじを読むと、暇な主婦が趣味とお喋りに明け暮れて、都合よく事件が起こって、それを解決するために、にわか探偵が活躍する…と言ったイメージを抱かれるかもしれませんが、ちょっと違います。

農家ばかりの田舎町のハーヴェイヴィルには、<ペルシャン・ピックル・クラブ>というキルトの会があります。
メンバーの殆どが、そこで生まれ育って、農家の雑多な仕事を懸命にこなす農家の主婦たちです。

年齢も様々。
もちろん性格も様々。
家の事情も様々。
ひとりひとりの抱えているもの、背負っているものも…
それは周りに知られているものもあれば、自分だけで抱えているものもあるわけで…

そんなメンバーたちが定期的に集まって、キルトとお喋りを楽しんで(面倒と思っていることも^^;)います。
そんなクラブに、新しく<都会から来たリタ>が入会します。
(この地に住んだら、好むと好まざるとにかかわらず、入会のようです^^;)

こういう集まりは、自分の周りではよくあることだったので、わかるわかる。
楽しくもあり、たまに面倒でもあり、…ってところでしょうか。

それぞれの家でも、不況とそれに追い討ちをかけるような干ばつと…大変な生活を強いられています。

そんな中、一体の人骨が見つかります。

・・・・・・・・・

このお話は<わたし>(クィーニー:リタと同い年:地元出身の農家の主婦)の目を通して書かれています。
いくつかの出来事から成っていて、全体的にひとつのお話になっています。
それぞれの出来事から、女性の切なさ、強さを感じます。

時代は今よりもひと昔?ふた昔?も前のこと。
今のような便利なものもない時代での生活風景に、今よりもずっと充実感を感じます。

いくつかのエピソードの中に、<あらすじ>にある<流れ者>の話があるのですが、私はその話が好きです。
ぜひ、読んで欲しい部分です。

・・・・・・・・・・・・・・・

題名のとおり、キルトの話もたくさん出てきます。
パターンのことや、ハギレのこと。
キルト好きのひとにもおすすめです。

原書の題名は『THE PERSIAN PICKLE CLUB』
ペルシャン・ピックル・クラブは、ペルシャ風酢漬けきゅうりの会という意味だそうです。
PERSIAN PIKLE(ペルシャン・ピックル)とは、ペイズリー柄のこと。

・・・・・・・・・・・・・・・

サンドラ・ダラスの他の作品に、『わたしのいい男、バスター・ミッドナイト』というのがあって、これも読んでみたいと思っています。
3作目もあるようなのですが…翻訳されていないのかな?



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4 コメント

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キルトの季節 (akanegusa)
2007-12-14 23:10:19
キルトっていうと
夏より、やっぱり寒い冬に暖かい部屋で
チクチク縫いたいイメージです。

日本でいうと、綿入れ作る、みたいな・・・。
手芸とか好きなんですが最近やってないです。
チクチク縫うのって気持ちが落ち着くのですよね。
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akanegusaさんへ (wata)
2007-12-15 11:44:30
この時季、何か作りたくなりますよね。
外はとても寒いんだけれど、おうちの中はぬくぬくで…
のんびりチクチクとやりたいですね。
ひとやすみには、美味しいお茶とお菓子とか…^^

綿入れ。
小さい頃、おばあちゃんが半纏を作っているのを思い出しました。

akanegusaさんのリース、可愛かったですね。
私もリースを作ろうかなぁと思っています^^。
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綿入れ (じゃみじゃみ)
2007-12-17 11:22:02
こんにちは☆
私の小さい時に、おばあちゃんが、
結婚する時に、お布団をつくれないと、お嫁に行けないよと言って、私によぉく、見ていなさいって。
おばあちゃんの隣で、見ていたのを思い出しました。
綿を買って来て、広げて、布を縫ってお布団を縫って。
今では比較的お安くお布団が買える時代ですが、
着物を自分で縫ったり、
それがおばあちゃんの時代の方は皆習ったと聞きます。
手作りのものの良さ。昔の人の知恵みたいなものは
大事にしたいですねぇ。
本も、現代に通じる所があって面白そうですねぇ。
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じゃみじゃみさんへ (wata)
2007-12-18 15:39:44
お仕事、やはり徹夜になりましたが、無事終わりました^^。
昨日は娘の学校の説明会で、久しぶりの外出で、人混みにもまれて、くらくらしてしまいました;

お布団づくり。
私もおばあちゃんのを見ていた思い出があります。
縫ったがわ生地に綿をのせて、くるっとひっくり返す、あの技!子供ながら凄い!!と思いましたよ。
昔は、きもの一枚も縫えないようじゃ、一人前じゃなかったんでしょうね。
うちの娘たちなんて、な~にもできない;;;
せめて、お料理くらいできるようになってもらわないと…
私も、これから娘たちをしごかなくては!!

この本ですが…
きっとじゃみじゃみさんも、ストーリー以上の何かを感じるんじゃないかと思います。
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