以前から私は人生の最後は京都か奈良で終わりたいと思っていた。何度目かの京都旅行で初めて登った亀山天皇記念公園の展望台からの嵐山と渡月橋の景色にぞっこん惚れ込んだ私は、自分の墓はこの丘の上にしたい!と本気で思ったものだった。勿論公園の敷地内に個人の墓など作れるはずもないのだが、心は貞信公の故事を想い、平安の宮廷人よろしく「小倉山の絶景の紅葉」を望むこの場所で静かに眠りたいと願ったものである。
それから月日が経って京都も昔とは随分変わってしまい、田舎の寂れた単なる用水路の土手だった哲学の道が、今では観光客が押し寄せる人気スポットとして持て囃されていると聞く。途中、鹿ケ谷の方に上がっていく所の反対側の低くなったところにあった喫茶店「ほうねん」は多分もうやってないんだろうな。私の学生時代の思い出の店だったが、歴史はあれから半世紀が過ぎてしまった。では何故そんな様変わりした京都・奈良に、私は最後の時を求めて引っ越しをしようとするのか?
それは私にとって、人生の「有終の美」を飾りたいからに他ならない。私は茨城県水戸市という田舎に生まれ、父の転勤で小学校に上がる前に大分市へ引っ越した。それから転勤の度に引っ越しをしてすっかり引っ越し癖がついてしまい、以来15回目位の住所が今の柏である。実は柏に引っ越してそろそろ7年目に突入する。引っ越しのタイミングだ。柏は暮らしやすい所だが、特別思い入れがある訳ではない。簡単に言えば町が「ガサツ」だ。おまけに文化が無い。
さらには行ってみたいような歴史的な場所も近くには無いしそれに何より、落ち着いて本が読める喫茶店が全然ないのである。これは致命的だ。私にとっては喫茶店に座って、コーヒーを飲みながら窓の外の景色や行きかう人の姿を眺めるのは、言うならば「人生の最大の喜び」と言っても、過言ではない。・・・と言う訳で、引っ越す場合の「選ぶポイント」を思いつくまま列挙してみることにした。
1、家賃・住居
京都に住もうと考えた時から、住むなら第一に家賃相場が安いところにしようと思っていた。その中でも比較的交通の便も良い所と考えると、京都駅の南側「九条の辺り」が狙い目である。九条近辺の家賃は1LDKで4万から5万が相場だ。これなら何とか払える範囲である。一方、奈良では新大宮近辺が狙い目で、家賃は広めの2DKで4万ちょいというところか。部屋の作りは間取り図を見ただけだが全体的に奈良の方が1部屋多くて、新しいモダンな作りが目立つような気がした。これは新大宮が商業地というのも影響していると思う。奈良はどうしても田舎なので洋間1LDKというよりは和室を備えた2Kの方が好まれるのかも知れない。
私の最近の知見によれば、洋間で床に布団を敷くスタイルだと恐ろしく「ホコリが舞って」部屋中がホコリだらけになると気がついた(遅い!)。寝るならベッドか、それとも和室で畳に布団を敷くスタイルにするしか、清潔に暮らす方法は無いのである。ベッドは固さによっては腰が痛くなるので、出来れば和室がいいなと思い始めている。それに部屋が寝室以外に「リビングだけ」だとテレビを見続けてしまうので、最近は書斎が欲しくなってきた。書斎で本を読みながら「音質の良いスビーカー」で音楽を流す生活が憧れである。アパートでは中々音量を上げられないが、マンションタイプの賃貸物件も結構あるので、出来ればそういう部屋にしたい。
結局そうなると家賃もそれなりに高くなるわけで、京都でこのレベルだとやや中心地や人気のエリアを外れた「場末あるいは下町」といった生活圏にならざるを得ないようだ(余り辺鄙な所は避ける)。東京で言うならば葛飾や足立の雰囲気に近い。その点、奈良の物件は神宮前駅の近辺まで範囲を広げるとまあまあ広くて安い物件があるので、格段に選択肢が広がる。それを考えると奈良にしょうかな?と思ってしまうが月に1万か1万5千円程度の違いだし、私にしてみれば「それで住む街を決める」という程の切迫感はないので、一応「家賃では奈良が有利」ということしておこう。
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次回は「日常生活と暮らし」という点にスポットを当てて比べてみる
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