明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

酒の好みは、食事によっても季節によっても変わる

2018-05-21 23:10:00 | 生命・健康・医療
酒は季節によって好みが変わるのか。冬の間は濃淳な味を求めて色々試していたが、最近辛口スッキリ系の味に戻ってきた。何だかんだ言っても酒は一日の締めに「無くてはならないイベント」なのである。今日一日平穏無事に過ごせたことを草葉の陰の両親に感謝しながら飲む酒はまた格別である。焼酎とかウィスキーとかワインとかアルコールには色々あるが、私は日本酒が性に合っている。それぞれメーカーが多種多様な品種を出しては人気を競っているようだが、焼酎は余り分からない。ウィスキーは昔アイリッシュのシングルモルトを上野の駅にあるパブで試しに飲んだ時は「感動的に美味かった」覚えがある。だがそれ以来余り馴染みがなくて、ついついウィスキーから遠のいてしまった。ウィスキーは学生時代に「コンパやバー」で飲んだ記憶のまま、しっかり海馬にしまいこんだきりのようだ。どうも上野辺りのアメ横にあるような屋台風居酒屋で飲むには「ウィスキーという選択肢はない」のである。どうしてもビールかサワー系になってしまう。ワイワイやるのには飲み口が軽くてガブガブ量を呑める方が良いのだろう。ウィスキーも「ハイボール」であれば十分この流れには乗っていける。その点ではワインと日本酒は「ちょと違う」とは思う。ワインは何となく「オシャレ」だから、洋風のシックなイメージのラウンジ系ということになろうか、そこに行くと日本酒はグッと大人びて「粋な和風テイスト満載」のレストランや「コテコテの居酒屋」まで幅広い。ここまでくれば、どうしたって酒の種類に合わせて料理も選びたい、となってくるではないか。

以前私は酒は「濃淳に限る」などと書いてたような気がしたが、濃淳な酒は酸味があって辛めの繊維質の食事が合うと思う。しかし卵料理中心のタンパク質バリバリ系にシフトして体の脂肪が燃焼モードに入ってきた私にとっては、酒の味も「淡麗辛口」に変わってきたのだ。今は濃淳甘口の酒は、飲むにつれて「しつこい」と感じるようになってきた。これはもう身体が卵モードに完全に移行した、のではなく季節が夏に衣替えしたのだと考えるのが正しい。つまり、気温が上がって「冷たくキリリとした辛口」を身体が欲しがっているということだ。普通はここでビールに行くのだが、私はまだ嚥下障害の後遺症で飲み込みが上手くないのである。それで辛口の酒を飲んでみた。純米吟醸の「浦霞」である。旨い!

最近酒を飲みながら遠い歴史の彼方へと思いを馳せるのが習い性になってきた。今夜の浦霞は悲劇の主人公「有間皇子」で一杯、と洒落込んだ。父は孝徳天皇、皇極女帝の弟でクーデターの影の立役者である。天智天皇こと中大兄皇子が中臣鎌足と計って蘇我氏を倒した「大化の改新」の結果生まれた新政権で、出来た時には相当やる気満々だったのに皆がついてこず、大阪の難波長柄豊埼宮で独りぼっちで死んでしまう。残された有間皇子は狂人のフリをするが蘇我赤兄に騙されて、謀反の罪に問われ処刑される。辞世の歌が残された。

「磐代の 浜松が枝を 引き結び 真幸くあらば また還り見む」、絶唱である。

私も一度はこの藤白坂を見てみたいと思っているが、19歳の若さで絞首刑だというのだから悲壮感が半端ない。本当は車で行きたいところだが、免許を返納してしまったので電車で行って、それから自転車ということになりそうだ。晴れた日には海沿いの美しい景色を眺めながら、有間皇子の無念と天智天皇の残忍さを改めて思い返して、「そういうこともあったんだ」と感慨にふけってみたい。そう言えば、奈良の薬師寺にある国宝東院堂は、この有間皇子の顔を模した仏像があるという。いずれは奈良に引っ越した暁には、ここも訪れてみたいなどと色々考えているうちに眠くなってきた。今宵も純米吟醸「浦霞」はキリリと冷えて、私を安らかな眠りに誘っているようだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿