和翠塾ブログ

目黒都立大にある書道教室「和翠塾」のブログです。

みなさん競書に集中していますね

2012-02-12 08:20:26 | 日記
教場が集中力で満ちています。
張り詰めた緊張感の中でのお稽古は書技と心を鍛えてくれます。
臨書は形を真似ることから始まり、書き手の精神をも理解し、最終的には書き手との対決にまで昇華できるものです。

対決するには自分の線を持たねばなりません。
自分の線とは、自分の心を表現するのに一番適した筆勢、墨色があって成立します。

その自分の線を空間の筆意で結び自分の書体を作り上げましょう。

唯一無二の文字と文字がつながり、意味ある内容の奥にまで踏み込んで初めて、先人の英知に触れることができるのです。

そう、実は戦う前に作者の広い心、豊かな感性にうたれてしまうことがほとんどです。

先人と戦うには心を鍛えていかなければならないのです。


人間が幸せを感じるのは、何気ない平穏な生活の中にあります。
しかし我々が文明人として幸せを感じるのは、先人の残してくれた英知に触れた時です。

ぱっと晴れ渡ったあの瞬間から、見える物聞こえる物出会う人すべてが輝き始めるあの感じです。

書にはそんな瞬間があります。
私はその瞬間を日々の生活の中でも求めているように思います。

音楽や映画、絵画、彫刻、演劇、落語、舞踏、書物などとの出会いに英知を求めています。


まだ読んではいませんが、今回の芥川受賞作品には英知を感じさせてくれる内容を、美しくもはかなく気高い文体で表現してくれているのでしょうか。

『共喰い』にはゴッホと似たような苦悩する感覚の共有化を期待できるような気がします。

杉山