みんなの僧

24で僧侶になり54で住職になるまで夢や悩みを聞き続けて30年。

往生浄土 空の向こうへ

2012-03-03 21:05:24 | 日記
本日2012年 3月3日 10時55分 18歳 犬の坊守りさん・花子ちゃんは 浄土に還りました。

いろいろ ごめんなさい。 そして、ありがとう。

また、ね…

昨日は体調がすぐれなかった。

午前中から気管支の軌道が狭くなり、苦しかった。
福島から避難して来た若い夫婦と 田舎暮らしをして農業をやりたい青年が 里村を訪ねてきた。

午前10時30分から約四時間 宇陀市の田畑や民家、里の空き農家や休耕田を案内した。

若者が出て行く一方の里村には 入村希望の若い夫婦や農業青年の存在は天使たちにみえる。

たまたま檀家総代で農業・林業のエキスパートのFさんと鉢合わせしたので
、紹介して話してもらった。
宇陀市を一から立て直したいF山女史からもアドバイスをもらった。

どうなるかは分からないが、先ずは動いて、出会って、触発しあって 何かが動く。

楽しみ だ。

案内が終わって 家に帰るとますます 気管支が苦しくなってきた。

夕飯後何気なく見ると、犬の坊守りさんの花子が ピクピクと動いている。、一昨日長男坊に食べさせてもらったチキンナゲットがウンチになる頃だから ウンチをしたいのだろうと オムツを外すと3センチ位のコロッとしたのが2つ出ていた。

出来ってない分をあったかい湯で湿らせたティッシュで肛門を撫でると 残りが出てきた。

風呂場で汚れたお尻をシャワーして また寝かせた。
良かったまだ、ウンチが出る

まだ大丈夫だ。と安心した。

気管支の軌道が狭くてしんどいので、気管支拡張剤を服用して 早めに就寝した。

気管支が苦しくなるのは、季節の変わり目と、台風発生時。

特に昨日は冬と春の最後のせめぎ合いで、夜九時頃に春が勝った。

夜が明けると「春の陽気」が里にやってくる。

ご葬儀の疲れからか、喘息気味の拙僧は「春眠暁を覚えず」で 九時にやっと目が覚めた。

ここ何日か、犬の坊守りさんの様子見で三時間おきに目をさましていた。

でも、今朝は目が覚めなかった。

春の陽気が朝から里村をおおい、あったかい久しぶりに日向ぼっこをさせようと花子を裏庭につれだす。寝たきりだけど、介助すると かろうじて立とうとする。

野生の性なのか、プライドなのか 立とうとする。
しかし、四歩か五歩歩くとパタンと倒れる。

三度ほど、少し歩いて倒れるのを繰り返し、彼女が好きだった日向ぼっこの場所に連れて行った。

連れて行ったところでオシッコをした。

賢くて美人で野生的だった花子は オムツにオシッコをするのを嫌がり、やはり外でオシッコをした。

気づくと口から粘り気のある泡を吹いてる。ここ数日で舌もただれているので、水で口を洗い流した。
その時、ビクンと花子は動いて、息が急にあらくなり、その息が段々と間隔が開いてきて、20回ほどすると小刻みに震えて動かなくなった。

えっ!? 死んじゃうの
春の陽気とは言え、まだ寒かったのか?と抱き上げて花子の寝床に連れて行った。

ふとんに寝かせようとすると 身体じゅうの力が抜けてグニャグニャになった。
花子!ハナちゃんハナちゃんハナちゃん

それからホンの少しして家人の腕の中で「ぐぅ」と言う言葉を最後に 息を引き取った。

春の陽気に包まれた空は 真っ青だった。

午前10時55分 還浄 往生。
花子 ハナちゃんは 空いっぱいに笑顔を残して 尻尾をふって 空の遠くへ還っていった。

最後の最後まで、自分の脚で立とうとし、最後の最後まで外で用を足そうとし、最後の最後に 尻尾をふってくれたハナちゃん。

「宇宙で一番 好きだ よ。」
そう声をかける割には 面倒見なかったり、辛い思いをさせたり、さみしい思いをさせたりして

ごめんなさい。

ほんとに ほんとに

ありがとう。

「大好きだよ!宇宙で一番好きだよ!」

さようなら

また ね

バイバイ




南無阿弥陀仏 釈 説樹