彼岸花失神事件

久しぶりにやってきた 「福きた耳鼻咽喉か」花粉のこの時期、大人気。午後の診療開始から3時間15分後、予約番号71番の拙僧の名前が呼ばれた。

ええよね ネーミングが 「福きた！」やて

でも漢字で書いたら もっとええ感じ。

「福喜多」だって

拙僧の出没する三重県・名張界隈で一番の名うての耳鼻咽喉の先生！と拙僧が決めている。

名前が「福喜多」だぜ

しかし、あの日以来は来ていない。

古くからのブログ読者はご存知、「ヒィガーンバナー失神事件」を……

「彼岸花失神事件」

やすい火曜サスペンスな事件だが、あれは忘れもしない去年秋の お彼岸だった……

仝仝仝仝仝仝仝仝仝仝仝仝
ヒィ～！ガーン！鼻っ！

鼻風邪をこじらせて先週からドンドン酷くなって来た副鼻腔炎。

炎症により副鼻腔に溜まった膿を軟柔にし、排出しやすくする薬を処方してもらった。一昨日は順調に鼻腔から鼻へ排出されたが、堅く固まった膿が排出口に詰まったようで 出ようとする膿を塞いだ感じがして来た。
膿を柔らかくする薬を飲んでいたので、副鼻腔がふやけた膿と鼻水でパンパンになり、鏡で見ると 目の下が腫れていた。

副鼻腔から来る頭痛も酷く、耐えられなかったので通いの耳鼻科へ駆け込んだ。
先生「どないしたん？」

拙僧「昨晩からコレコレで、云々」

先生「そりゃ投薬ではアカンな！洗浄しよ、針入れて！」

心構え出来てない拙僧「えっ！針洗浄でないとあきまへんか？！」

先生「あきまへんね。じゃ！やろか！」

先生の勢いに観念した拙僧「は、はぃ」

確かに この鼻づまりの酷さは 副鼻腔に洗浄用の注射針を突っ込んで 洗浄液でバキュームするなり、押し出すなりしないとアカンかもと観念した。

先生「せやけど、痛いで！大丈夫か？」

拙僧「……」 今更止めますて言えへんやん！めちゃ省略されたinformedコンセントだっせ、それ！

先生「此処に座って、真正面向いてぇ、ハイ」

めちゃ痛くて、先生の脚をかにばさみしてしまった。しかし、この痛みは麻酔針の痛みで本番の激痛ではないことはすぐ分かった。
看護婦さん「じゃ、しばらくお待ち下さ～い」

ヤッパリ。

注射針と言っても、洗浄水を放水したり排水したりするから細くない。決して細くない。

長さは10センチほどあるし、太さは2.5ミリぐらいはある。

それをどっから刺すんだろう？などと考えていたら
看護婦さん「どうぞぉ～」
先生「痛いでぇ！我慢してやぁ！」

そんなぁ！そんな痛いんやったら漢方薬で散らしたのにぃ～！時既に遅し
先生「骨貫通するときバリッと言うで！バリッと言うでっ！」

バリッて めちゃコワい擬音やで それ！

「何堅くなっとんのん？力抜き！チカラ抜きなさい！あと、目を開けて！」

先生！そりゃ殺生やわ！ 痛いで！とかバリッと言うでっ！って言われてチカラ抜けまっかいな！

あー

バリッ！メリッと骨を貫通しグイッと針が入って来た。と同時に洗浄水が副鼻腔に流入して来た。膿をドンドン押し出し、洗い出し 拙僧が持っている洗浄皿に洗浄水と膿がドドドッと出てきた。

痛みも痛みなら、光景も光景で、三人の看護婦さんに見守られながらの 情けない光景である。

さらに追い討ちが……

先生「新しめの固まった膿みは出たけど、古くて固まってるのは出てないから
もっと水圧かけるよ！」

押したり引いたりしながらの注水と排水は さほど痛くはないが 鼻への排出口が古くて固まった膿が詰まった状態での 水圧加圧は地獄だった。

副鼻腔が加圧された洗浄水でパンパンになり、周りの筋肉や神経を圧迫し 何とも言えないド強力な痛みになり、その痛みがドンドン強くなる。

あまりにあまりに痛いので、待合い室に聞こえるよな声でうなった。

「イタ～イ！イタ～イ！」と六度ほど、うなった。

先生「痛いやろ？今日はコレぐらいにしとこ。長年蓄積のやつは簡単には剥がれんし、押し出されへんから。今日はココまで」

激痛から解放されるのは嬉しいが、この痛みに耐えて まだ完治違うのかぃ
先生「薬処方しながら、しっかり治していこかー！せやけど痛がったやろう！気失う人おるからなぁ」

先生、今頃殺生な。ごムタイな。

その話を聞いたら、拙僧もクラーッとしてきて

ベッドに横たわったとたん、気管支がアレルギー反応し、胃袋がギュインと絞り込んで来て 気分が悪くなり ほぼ失神した。

急な過大ストレスによるショック症状である。高血圧気味なのにショック性低血圧で貧血となった。

点滴を小一時間ほど受けたら 少し元気になった。病院を出て処方された薬を買いに行った。。

ふらっとしながらふと思った。「拷問やな。この治療」

大の大人が失神するって それ「拷問」やん

みんなの僧 痛みに弱し！
せやけど、重症の副鼻腔炎のド辛さを考えると 副鼻腔洗浄拷問は耐えるに値すると思う。マジで。酷くなると何も考えられんもん。

今度、副鼻腔洗浄する時は 覚悟を決めて、サッサと失神しよう。
失神するに限る。

ショックあけでポーッとしながら、寺への帰り道を運転していると お地蔵さんの近くの真っ赤な彼岸花が目に飛び込んできた。

彼岸花は咲く時を間違わない。

お彼岸近くになると忽然と咲き始め、お彼岸の頃には真っ赤に土手を染め上げる。

しかし、今朝の施術は ヒーッ！ガーン！鼻っ！だった。(オヤジボウズギャグにて失礼)。

みなさん、くれぐれも鼻風邪やアレルギー、花粉症を見くびらないようにしてくださいな。副鼻腔洗浄拷問に耐えられなさそうなら構わんけど。診察はお早めに！漢方もあるらしいしね。

あーコワかったっ

仝仝仝仝仝仝仝仝仝仝仝仝
アレから半年。

副鼻腔炎は完治した。

何十年と言う あの鼻づまりによる苦しみ無駄な時間は何だったんだ。

どれだけティッシュを使ったかっ

どれだけ大王製紙に貢献したかっ

そのお金がアホぼんのラスベガス狂いに使われたんかいっ

てな事を 憤慨しながらも
ハナがトオルって気持ち(・∀・)イイー

彼岸が近い。

彼岸が来て、彼岸花が咲く度に 失神事件を思い出すんやろね。

福喜多耳鼻咽喉かっ！

ありがとおっ