みんなの僧

24で僧侶になり54で住職になるまで夢や悩みを聞き続けて30年。

あるじを失った ハナコの部屋

2012-03-04 19:14:34 | 日記

のぞみ48号 名古屋出発なう

今日はひな祭り日和の昨日と一転、雨模様で肌寒い。

午前中から檀家総代Iさんちの年忌法要。

Iさんちの「お梅のおばあちゃん」の七回忌とおばあちゃんの旦那さんの十七回忌。

Iさんちに近づいて行くと、ワンちゃんの吠える声がする。

「あれ?Iさんちにワンちゃん居たっけ?」と思いながら門扉をくぐると果たしてコロコロした柴犬がワンワン吠えている。

昨日、犬の坊守りさん「ハナちゃん」を見送ったばかりなので 急に「可愛い」と言う感情が溢れ出してきて、コロコロの身体を撫でた。ワンちゃんも喜んでクネクネしている。

ハナちゃんも良くクネクネしていたな…

すると小学生らしき女の子と中学生の女の子2人が出迎えてくれる。明るくて、気持ちよい挨拶をしてくれる。Iさんちの家風か笑顔が自然だ。

「このワンちゃん、なんて言う名前なの?」

女の子たち「さくらです」
「そうなんだぁ、女の子なんだね」

可愛いぃなあ

ハナちゃんが居なくなった気持ちは よそんちのワンちゃんを可愛いがることで 多少いやされるかも知れない。

あーー可愛いぃなあ

気持ちよく、Iさんちへ入って行き、仏壇に挨拶する。
「仏説阿弥陀経」のいわれと中身を話し、声を出してみんながお勤めする、読経することによって「お釈迦様の説法」が二千年の時を越えて蘇る!と熱く伝えて、読経を始める。

とにかく、川平慈温ほどではないが熱く導入する。
阿弥陀さまやお釈迦さまの勧請の儀式、本日の表百(宣誓)をして「仏説阿弥陀経」をお勤めする。

先日のMさんちの初七日はゴスペルのようだったが、Iさんちは女系家族で女性が多いので、女性コーラスのような響きと一体感があった。

最後に「御文章」を拝読して一連のお勤めは終わる。
終わったあと約15分ぐらいの説法やお話をする。
小学生や中学生のお孫さんにも分かるように「さくらちゃん」と「ハナちゃん」の話から始めた。

どちらかと言うと、説教より法話だし、また「話し」に近いかも知れない。

お梅のおばあちゃんは拙僧が肌で感じるぐらいの 熱い熱い、信心深い信者さんだった。

それを思い出しながら お話をして、お釈迦さんの考え、阿弥陀さんの我々に対する思いを伝えさせてもらった。

さくらちゃんは読経の間も 説法の間もおとなしかった。

旅立ったハナちゃんの事を思い出しながらIさんちを出た。

川が水をたたえて、朗々と流れて行く。

そう、この里は「水神」のふるさとだ。

すべては 流れて行き とどまることは出来ない。

しかしながら、さみしさが流れて行くには まだまだ時間がかかりそうなり。