中国の都市交通事情:王鋭 (WANG Rui) のブログ

中国の都市交通事情を紹介するブログです

・転載:高速鉄道の建設計画を見直し

2011-10-25 12:40:11 | 1) プライベート
1.この「北煤南運」の貨物鉄道ルートは,恐らく石炭産地の内モンゴル自治区・山西省と湖北省の長江沿岸の港を結ぶ南北方向の鉄道ですね。今まで建設した石炭鉄道の殆どは,東西方向の鉄道で,内モンゴル自治区・山西省の石炭を中国北部の海港を通じて,海と長江などの河川を利用し,南の各省に運ぶという仕組みだった。

“同プロジェクトの総投資額は1598億元(1兆9176億円)にのぼり、すでに「十二・五」期の鉄道建設計画に盛り込まれている。同ルートは国内最大規模の石炭輸送専用線となり、全長約1860キロで、生産地と消費地を直接結ぶ。”

凄いプロジェクトですね。個人的は,高速鉄道などの旅客鉄道より,大陸の貨物鉄道が大好きです。70両から200両編成の列車は,80km/hの時速で通過するときの迫力は,言うまでもない。

2.“新たな計画を発表し、「十二・五」期末の高速鉄道の営業距離の目標を約4.5万キロに引き下げた。新計画は、「十二・五」期の鉄道インフラへの投資額を2兆8000億元(約33.6兆円)に設定している。鉄道システムのある関係者によると、この額は以前打ち出された年間7000億元(約8.4兆円)、5年で3兆5000億元(約42兆円)という構想より削減された。”

それでも,空前規模の建設事業ですね。日本のマスコミは一つの事故を繰り返すだけで,バッシング以外は客観的に分析する報告は,残念ながら今まで1件も見つからないです。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111025-00000043-scn-cn
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中国が高速鉄道の建設計画を見直し、追突事故の影響で

サーチナ 10月25日(火)12時28分配信
 中国の鉄道建設に近ごろ、構造調整の兆しが現れている。多くの高速鉄道建設プロジェクトが資金供給が途絶えたことにより工事を停止するなか、1本の大型貨物輸送専用線の建設が検討されている。それは内モンゴル自治区西部と華中地区をつなぐ「北煤南運(北の石炭を南へ運ぶ)」ルートだ。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

 温州市で起きた高速列車追突事故の影響を受け、これまで大々的に進められてきた『中長期鉄道網計画』と『十二・五(第12次5カ年計画)期間の総合交通輸送体系発展計画』は調整され、おもに建設規模と基準が縮小された。今では、重点とされず、優先されていなかった高速鉄道以外のプロジェクトが重視されるようになっている。内モンゴル自治区西部と華中地区をつなぐ「北煤南運」ルートもその一つだ。

 同プロジェクトの総投資額は1598億元(1兆9176億円)にのぼり、すでに「十二・五」期の鉄道建設計画に盛り込まれている。同ルートは国内最大規模の石炭輸送専用線となり、全長約1860キロで、生産地と消費地を直接結ぶ。

 7月23日の温州高速列車追突事故の後、8月10日、国務院常務会議は高速鉄道および建設中プロジェクトの安全を全面的に検査し、新たに建設する高速鉄道の運営初期の速度を引き下げ、計画中のプロジェクトに対してあらためて安全評価を行い、新規プロジェクトの認可を一時停止することを決めた。事故発生後に融資難となり、多くの建設中プロジェクトで資金供給が途絶えるという状況が生じ、鉄道インフラへの投資は5月から4カ月続けてマイナス成長となっており、その動きは年内続く見通し。建設停止や開通時期の延期となった鉄道は現時点で約1万キロに及ぶ。

 「十二・五」期の鉄道計画は、これまで数回の調整が行われてきた。鉄道部の劉志軍元部長は在任中、「十二・五」期末に全国の鉄道営業距離を12万キロ以上にし、高速鉄道を5万キロ、西部地域の鉄道を5万キロにする計画を打ち出した。

 ところが、その後に就任した盛光祖部長は今年4月に新たな計画を発表し、「十二・五」期末の高速鉄道の営業距離の目標を約4.5万キロに引き下げた。新計画は、「十二・五」期の鉄道インフラへの投資額を2兆8000億元(約33.6兆円)に設定している。鉄道システムのある関係者によると、この額は以前打ち出された年間7000億元(約8.4兆円)、5年で3兆5000億元(約42兆円)という構想より削減された。(編集担当:米原裕子)


3 コメント

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Unknown (M)
2011-10-29 01:08:00
これまでのように、北西部の採炭地から渤海湾の最寄りの港までを鉄道で運んで、船に積み替えて南部へ輸送した方が、石炭の輸送コストとしては安いように思いますが、鉄道だけで北から南へ長距離輸送するルートを新たに造ることになったのは、内陸部の都市の発展で、石炭の消費量が増えてきているからなのでしょうか。

 日本では石炭の鉄道輸送は見かけなくなりました。国内の炭鉱での商業ベースの採炭がすべて終わっており、現在では、オーストラリアなどからの外国炭を大型の運搬船を使って海岸べりの製鉄所や火力発電所、化学系の工場等に直接搬入しています。
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Unknown (王鋭)
2011-11-04 15:21:36
大陸国ですから,長距離輸送は鉄道に頼らざるをえないですね。アメリカや,ロシアと一緒ですね。
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Unknown (M)
2011-11-06 03:04:49
内陸部から重くてかさばるものを運び出すとなると鉄道が一番効率が良いですね。
 これまでにも鉄道の輸送容量が増強されてきたものの、増大する需要によって輸送容量が満杯に近づいており、このままでは内陸部に大量に存在する石炭資源を十分に活用できず、大量に輸入をせざるを得なくなる、という状況があることもわかりました。
 優先的に整備を進める必要性がありますね。
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