中国の都市交通事情:王鋭 (WANG Rui) のブログ

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・転載:(日経)LRT、中国で拡大 40倍の4千キロ超計画

2014-01-27 16:44:57 | 8) 中国のバス・路面電車
中国の都市で道路上を走る床の低い次世代型路面電車(LRT)の運行をめざす動きが広がっている。マイカー運転者にLRT利用を促し、都市部で深刻な道路渋滞や大気汚染の緩和を狙う。債務が拡大する地方政府にとっては地下鉄より低コストで建設できる利点も大きく、全国の計画の総延長は現在の約40倍の4千キロメートルを超えている。

 広東省深圳市で2013年12月27日、同市で最初のLRTの建設工事が始まった。市中央部の竜華新区で14年末の開業をめざす。工場と住宅が集まり、人口増加の続く同新区では3路線、合計51キロメートルの建設を計画。地元政府は「マイカーの増加による渋滞の解消に役立つ」とアピールする。

 周辺の広州市、仏山市、珠海市もLRTの建設に乗り出した。世界的な製造業の集積地で、人口が1億人を超える広東省では、中央部の広州や深圳で通勤時間の渋滞が深刻だ。広州は12年7月にナンバープレートの発給制限による自動車販売の抑制に踏み切った。

 中国では上海市や遼寧省の瀋陽市、大連市などの都市がLRTを運行。現在の総延長は約100キロとみられ、2千キロを超えた地下鉄に比べれば小規模だ。ただ、国営新華社通信によると、全国の建設計画は合計4千キロを超え、このうち20年までに2千キロ以上が建設される見通しという。

 中山大学(広東省)の袁奇峰教授は、渋滞解消を目指す公共交通の主力は地下鉄だとしつつ、LRTについて「1キロ4億~5億元(約70億~90億円)かかる地下鉄よりも建設費が大幅に低い」と利点を指摘する。地下鉄のように地下を掘り進め、駅や外壁の大がかりな工事をする必要がないためで、深圳市はLRTの建設費が地下鉄の5分の1で済むとみている。

 中国政府は地方政府の直接・間接の債務残高が13年6月末時点で17兆8909億元に上ったと発表。前回調査の10年末より7割多く、インフラ建設などで地方財政が厳しさを増していることが浮き彫りになった。資金不足から地下鉄工事が滞る都市もあり、低コストで工期も短いLRTへの期待が高まっている。

 各地で運行予定のLRTの車両は国内大手の中国北車(北京市)と中国南車(同)が受注。中国南車は欧州で多くの納入実績を持つ独大手シーメンスと12年にライセンス契約を結び、先進技術の導入を進めている。中国北車がトルコに車両を輸出するなど海外市場をめざす動きもある。

 中国ではマイカーなど自動車の需要が旺盛で、13年の新車販売台数は2千万台を超えた。いったんマイカーの便利さに慣れた市民が、各地の政府の思惑通りにLRT利用に動くかどうかは不透明な面もある。

(広州=桑原健)


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