中国の都市交通事情:王鋭 (WANG Rui) のブログ

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・ナショナルジオグラフィック:広州BRTは受賞―2011年「持続可能な交通賞」

2012-01-10 16:22:08 | 8) 中国のバス・路面電車
大変古い記事ですが、転載いたします。広州市BRTの受賞に関する、ナショナルジオグラフィックの記事です。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110125003&expand#title
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中国広州、地球に優しい交通網を整備

Josie Garthwaite
for National Geographic News
January 25, 2011

 中国、広東省広州の交通網が、交通開発政策研究所(ITDP)の「持続可能な交通賞」を受賞した。自転車共有プログラム、並木を設けた幅広の自転車専用道、都市鉄道への乗り継ぎに優れたバス高速輸送システムなどが評価されたという。

 国際NPOのITDPは、温室効果ガス削減/都市生活向上プロジェクトで世界の都市を支援している。2011年の「持続可能な交通賞」は、アメリカのワシントンD.C.で1月24日に発表された。

 ITDPのシニア・プログラム・ディレクター、ジェシカ・モリス氏も、「期待をはるかに凌ぐ」と高く評価している。同氏によると、2010年2月に開業したバス高速輸送システムの旅客輸送量は、世界最大規模の1日約80万人に達するという。鉄道や緑豊かな自転車道、自転車共有ステーションとの連絡も良く、“住みやすい都市”に大きく貢献している。

 広州の都市開発にはITDPも参画し、バスや自転車のインフラを共同整備した。中国の大都市は経済優先の開発が目立ち、都市人口や自動車販売台数も増え続けている。しかし、広州の輸送システム整備は違っているようだ。専門家によると、混雑緩和や交通公害の低減を図るには、土地利用計画、情報技術、大量輸送システム、エコカー利用を有機的に結び付ける必要があるという。

 フロリダ大学都市地域計画学部の学部長で、中国の交通計画に詳しいペン・チョンレン(Zhong-Ren Peng)氏は、「万博開催を控えた上海市と同じで、広州市も昨年11月のアジア大会に向けて交通網を入念に整備した」とコメントしている。

 ITDPの褒賞システムは環境面ばかりを見ているわけではない。前出のモリス氏によると、経済面、公平性も選考基準に入っているという。公平性という点では、低所得者層でも都市部を自由に移動できなければならない。

 近年では、ニューヨーク、パリ、グアヤキル(エクアドル)、ソウル(韓国)、ボゴタ(コロンビア)が「持続可能な交通賞」を受賞している。2010年は、インドで初めて市内全域のバス高速輸送システムを開業した西インド第2の都市アーメダバードが受賞。

 2011年は広州のほか、レオン(メキシコ)、リマ(ペルー)、ナント(フランス)、テヘラン(イラン)がノミネートされた。

 ITDPによると、今年の各候補都市は2010年に交通網の大改革に着手したという。中でもテヘランの計画は、地下鉄拡張の財源問題でマフムード・アフマディネジャード・イラン大統領とモハムマド・バーゲル・ガリバーフ・テヘラン市長が対立し、大いに議論を呼んでいる。また、世界最大級の過密都市テヘランは混雑緩和へ向け通行料制度を導入したほか、バス高速輸送システムも拡張。さらには、燃料補助金の引き下げへ向けた動きも始まっているという。

 フランスのナントはバスと路面電車を統合化すると同時に、自転車の利用も促進している。ペルーのリマでは、市内全域を網羅する持続可能な交通網の整備が長く待たれていたが、その第一歩としてバス高速輸送システムが開業した。メキシコのレオンは鉄道やバスの利用者数を増やす一方、自転車や徒歩による移動の割合も39%以上とラテンアメリカでトップクラスを維持している。

 中国、北京のITDP政策ディレクター、チョウ・ジャン・ピン(Jiangping Zhou)氏は、国内他都市でも広州の成功例を再現できると考えている。「広州にできて、上海や北京でできないわけがない」。



Photograph by Li Huang, Color China Photo/AP

記事はほかにもあります。
http://tenbou.nies.go.jp/news/fnews/detail.php?i=4954
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交通開発政策研究所による2011年「持続可能な交通賞」は、地下鉄や自転車と連携したバス高速輸送システム(BRT)を運用する中国・広州市が受賞した。この賞は、モビリティ(移動しやすさ)の向上に大きく貢献するとともに、交通システムからの温室効果ガスや汚染物質の排出を抑制し、自転車や歩行者の安全性を高めた都市に対し、毎年授与されるもの。世界資源研究所EMBARQ(持続可能な輸送センター)のヒダルゴ理事は、「地下鉄や自転車シェアリングを組み入れた広州市のBRTは、低コストかつ高効率で、急速な成長を続ける他の都市にも応用できる。また、バスが母線路以外にも乗り入れることで直通サービスを増やし、乗客の乗り換えの手間が減って利便性も向上した」としている。今年は他に、BRTを運用し、自転車・徒歩率が39%以上というメキシコのレオン市、新たにBRTを導入したぺルーのリマ市、バス網とトラム網を効率よく一体化させたフランスのナント市、交通渋滞課徴金を導入したイランのテヘラン市が、同賞の候補にのぼった。



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