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切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

歌舞伎座(夜の部)、観てました。

2016-03-26 23:59:59 | 私の写メ日記(観劇版)
雀右衛門襲名興行の夜の部、観てました。充実した、新・雀右衛門渾身の舞台でした。簡単な印象のみ。

最初が双蝶々曲輪日記の角力場。橋之助の濡髪に、菊之助の放駒と与五郎の二役。前半与五郎役で登場の菊之助だけど、四月の女殺油地獄の前哨戦みたいな感じですかね。悪くないんでだけど、菊之助は良くも悪くも真面目な人なんで、フワフワした男の軽さが人工的に感じる。ユーモア感覚が希薄というのかな~。遊び人っていい加減さが魅力だったりするから・・・。

菊之助の二役目放駒はたいていコミカルな役として演じられる役だけど、今回の菊之助の場合は、コミカルさが強調されないかわりに、スッキリとした自然体の若者として演じられているのが印象的でした。ただ、このパターンだと濡髪との葛藤に深みが増す代わりに、花道のチョコチョコ歩きのくだりのユーモアが不足するという印象ですかね。

で、橋之助の濡髪は、まさに錦絵から出てきたような立派な関取という印象、高麗蔵の吾妻も古風でわたし好みでした。

次が口上。梅玉丈が先代雀右衛門に弟の魁春ともどもよく食事に誘われた話で、酔いがまわってくると先代が息子たち(友右衛門・芝雀)の悪口三昧だったというくだりが面白かったです。あと、菊五郎が一番上手、吉右衛門が一番下手で、菊五郎の口上が聴けたのがよかったかな。それと、我當が随分体調悪いんだと、口上を観て知りました。足が悪いんだと思っていたら、それだけじゃなかったというか・・・。溌剌とした元気さがこの人の特徴の一つだっただけに、少しショックでしたね。この人の沼津の平作なんか情が深くて好きでしたから。あと、東蔵の口上のもっと自己主張すべしという激励も印象に残ったなあ~。

で、いよいよ襲名披露狂言の金閣寺。結論から言っちゃうと、今の新・雀右衛門が渾身の力を込めて演じた雪姫、素晴らしいと思いました。もちろん、四代目雀右衛門の優美な雪姫の残像が残っているんで、五代目の舞台はまだまだ若い雪姫だとは思ったけど、その分清新というか、まだ若いワインみたいな爽やかな芳香を感じさせる舞台でしたね~。最初の上手屋体の出から、クライマックスの爪先鼠、そして最後の花道の引っ込みまで、充実した緊張感でしたよ。

今回は脇も充分で、仁左衛門の東吉の気持ち良さ、歌六の軍平のきっぱりした感じ、幸四郎の大膳は多少怪人めいているけどスケールが大きく、梅玉の狩野之介の柔らかさ、藤十郎の慶寿院の貫録・・・。しっかり大歌舞伎を観たという充実感でいっぱいになりました。

最後が、鴈治郎、松緑、勘九郎の関三奴。珍しい組合せだなと思ったのと、勘九郎の溌剌とした奴が印象に残りました。

ということで、今月はよい襲名披露興行でしたね~。大阪の襲名興行では何をやるんだろう?
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