暇になってから読んだ本で一番おもしろかった小説はコレでした。芥川賞受賞作ってつまらないものも少なくないんだけど、これはおもしろくって中身あり!でも、これってコンビニの話だと思っている人は読み違えてますよ。芥川賞の選評の村上龍なんて、「もうこの人ダメだな」って思ったもの…。
とはいいながら、高校生時代にコンビニでバイトしてたんで、思い当たる部分が多々あって、それはそれで面白く読んだんですが、芥川賞の選評で優良企業(?)の従業員教育の話を持ち出した村上龍のズレてる感は、昔読者だっただけに・・・でした。
社会的ディシップリンとしての従業員教育なんて、高度成長期の集団就職の時代からあったことだし、むしろ、最近の企業はそういうことを経費節減とか雇用切り捨てで省いてきたんだけど、サービス産業なんか人手不足になってきたし、人口減少を考えると、引きこもりだろうが外国人労働者だろうが鍛えて労働力にするしかないという企業サイドの事情もあって、マニュアルなんかが見直されているってことなんですよね。たとえば、無印良品みたいな企業のマニュアル化の徹底とか。で、その程度のことを珍しがってる発想があの世代のなんだろうなあ~と。だから、企業礼賛番組の司会なんかやってられるんだと。
ま、どうでもいい話はこの辺にして本題に戻ると、わたしがこの小説に惹かれたのは、ヒロインの世間への徹底的な呪詛みたいところで、これは『仮面の告白』以来の凄さだと思えたんですよ。男女問題に関する紋切り型の世間対応にたいするウンザリを、こういうバイト仲間との関係みたいなところで描けるんだという驚き!
ということで、この作者は絶対に侮れない怖いひとだと思いました。読んで、「こんなわたしも強く生きていこう」と思いましたもの。というわけで、近年、必読の一冊です!
とはいいながら、高校生時代にコンビニでバイトしてたんで、思い当たる部分が多々あって、それはそれで面白く読んだんですが、芥川賞の選評で優良企業(?)の従業員教育の話を持ち出した村上龍のズレてる感は、昔読者だっただけに・・・でした。
社会的ディシップリンとしての従業員教育なんて、高度成長期の集団就職の時代からあったことだし、むしろ、最近の企業はそういうことを経費節減とか雇用切り捨てで省いてきたんだけど、サービス産業なんか人手不足になってきたし、人口減少を考えると、引きこもりだろうが外国人労働者だろうが鍛えて労働力にするしかないという企業サイドの事情もあって、マニュアルなんかが見直されているってことなんですよね。たとえば、無印良品みたいな企業のマニュアル化の徹底とか。で、その程度のことを珍しがってる発想があの世代のなんだろうなあ~と。だから、企業礼賛番組の司会なんかやってられるんだと。
ま、どうでもいい話はこの辺にして本題に戻ると、わたしがこの小説に惹かれたのは、ヒロインの世間への徹底的な呪詛みたいところで、これは『仮面の告白』以来の凄さだと思えたんですよ。男女問題に関する紋切り型の世間対応にたいするウンザリを、こういうバイト仲間との関係みたいなところで描けるんだという驚き!
ということで、この作者は絶対に侮れない怖いひとだと思いました。読んで、「こんなわたしも強く生きていこう」と思いましたもの。というわけで、近年、必読の一冊です!
コンビニ人間 | |
クリエーター情報なし | |
文藝春秋 |
…と、割りと多くの人が思えてしまう所が、この小説の弱さでもあり、賢明さでもあり、小説~物語~の持つ性なのかなとも思いますが。作者の本質的な優しさでもあるのかな…。生意気な感想ですね。
従業員教育に関しては、全く同感でございます。世の中は会社は中小零細は本当に殺伐としてますよ。中小零細人間って小説書こうかな…て笑えませんねm(__)m
コメントありがとうございます。
ご返事遅れてすいません。
村田沙耶香の好きな太宰治の短編が「おさん」なんだそうです。読み返したら、確かに書き出しの呼吸がよい!タイトルは文楽の「心中天網島」の治兵衛の奥さんからきてるんですが、さすが、学生時代に義太夫を習っていた太宰です。新潮文庫の『ヴィヨンの妻』に入っています。講談社学芸文庫の「30代作家が選ぶ太宰」というアンソロジーで紹介されていますよ。ご参考に。