切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『パノラマ島綺譚』 江戸川乱歩 著

2010-07-26 23:59:59 | 超読書日記
映画『恐怖奇形人間』の原作のひとつということで、映画鑑賞記念に読んでみました。でも、わたしは乗れなかったなあ~。だって、谷崎潤一郎の「金色の死」まんまでしょ。

通常、文学、絵画、音楽といったジャンルに向かう芸術的才能を現実空間の中に現出させる試み…。

乱歩の「パノラマ島奇談」も谷崎の「金色の死」もモチーフとしては一緒で、主人公は自身も芸術品と化して死んでいくわけだけど、どうも地上の芸術作品といえるユートピアの描写が陳腐なんですよね。

たぶん、デズニーランドの方がずっと洗練されていると思いますよ。

それと、久々に読んで思ったんだけど、乱歩の世界って、結局男の子の世界なんだと思います。男の子の空想世界を綴った作品というかね~。

だから、おとなの女性には受けないんじゃないかな~。その点、「金色の死」を失敗作として、その後に「痴人の愛」「卍」「蓼食う虫」「細雪」の世界に向かった谷崎は女性読者をも魅了する!

乱歩にはどうも箱庭的な感覚があって、だから大槻ケンジあたりが好きなんじゃないのかな?

わたしは「オタクくんの空想はもうたくさん」という気分になってしまって、ぜんぜん楽しめませんでした。

たぶん、海外旅行に行けない、行きたくないひと向けですね。というか、頭で考える世界より、海外体験の方がよっぽど未知でエキサイティングだと思う人には向いてない。

なお、映画の方はこの作品と「孤島の鬼」をミックスした内容みたい。「孤島の鬼」は読む気しないなあ~。

PS:こんなこと書くと、乱歩ファンは怒るだろうなあ~。ごめんなさい!


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