NHKの著作権って何だ？ 緊急集会ｉｎ東大に参加して。

今、ＮＨＫの番組改変問題で話題になっているETV特集第２夜「問われる戦時性暴力」のビデオが見られる集会が東大で開かれるというので話のタネに行ってみた。現物を見ないで物事を判断するのは私の主義に反するので。ところがなんですよ…。

行ってみると、主催者側からのお詫びとして、ＮＨＫ側からの圧力で番組の上映が出来なくなったとのこと。しかし考えてみてくださいよ！そもそもＮＨＫ自身がこの番組を再放送しようとしないから、みんな見たがってるわけでしょう？確かに通常の著作権を考えれば、番組を録画したビデオの上映は問題なくはないが、非営利の集会であることや、ＮＨＫの著作権といったって受信料で作られた番組なわけで、一種の公共の財産のはず。要するに、ＮＨＫにとってはそれほどまでに見せては都合の悪い番組だってことか？

とにかく、見なきゃ話は始まらないわけで、左翼も右翼も合同でＮＨＫに圧力をかけて上映会を主催するのが筋ってもんじゃないだろうか？さもなければ、ＮＨＫが堂々と再放送すればいいんですよ。後ろ暗いところがないのなら。

一応、私の立場を断っておくと、子供の頃から古典や古典芸能、日本史に関心があったこともあり、一部からは“右寄り”とさえいわれてきた人間で、別に人権団体の類に特別なシンパシーを感じたことはない。また、一部のわかってない識者がよく言う「今の若者は近現代史を知らない」という妄言と違って、子供の頃から今に至るまで日本の歴代総理大臣の名前はすべて暗誦できるが、たまたまかどうか知らないけど、こんな人間、私の周りにはざらにいましたよ。（要は、「知らないんだから俺の言うことを聞け」という類のオヤジ連中の妄言なんじゃないですか？）

なんで、こんなどうでもいいことをあえて断ったかっていうと、今回の集会を共催したVAWW-NETジャパンについてどうも私自身誤解と偏見があったと感じたから。

一時盛んにメディアに登場して弁明した次期総理候補の人気政治家安倍氏の発言に私もすっかり幻惑されていたということか。この団体に対して、何か極端な主張をしているエキセントリックな人権団体で、センチメンタルに天皇有罪の主張をしているものだと思っていたのだが、随分違うんじゃないかというのが、今回の私の印象。

私も一応大学で法律をかじった人間だが、複数の弁護士が関っているせいか、民衆法廷の形式も法的形式をかなり意識したもの（例えば、事後法で裁かず、当時の法律に依拠して裁くという姿勢など。）で単なるセンチメンタルな断罪とは言い難いものだし、「被告人に弁護士がいない」という批判もじつは弁護士に当る役回りがちゃんと存在している。ただ、そもそも、一種の抗議イベントであるものに必要以上に法律論議を吹っかけて正当性を批判する側の姿勢自体どうかという気もするが…。

また、巷間言われる「北朝鮮のエージェントが参加している」という話も、問題になっている人物が十人以上いる韓国・北朝鮮合同検事団のうちのたかだか２名であることや、ゲスト姜尚中氏の「では、ロシアの大統領プーチンやパパ・ブッシュも元エージェントではないのか？」という発言もあり、安倍氏や一部メディアが必要以上に北朝鮮問題と結び付けたがっているのはいったい何なのかという気が率直にした。

私個人は、「天皇有罪」や若干の歴史認識に見解の相違があるにはあるのだが、論争に値する視点を提出しているという点は評価できると感じた。

最後に言いたいのは、２点だけ。

・ＮＨＫは視聴者に対する責任として、問題の番組を早急に再放送すべき。再放送後に改めて論議すればいいんじゃないですか、どちらの陣営も。

・メディアは（特にテレビ）は、最低限のマナーの問題として、安倍氏の弁明に割かれたのと同等な時間はVAWW-NET側にも与えるべき。（両論併記として。）

というわけで、行ってみないとわからないこともあるな、という話でした。しかし、この件ってどのくらい報道されたんですかね？

改変問題の番組ビデオ、ＮＨＫが市民集会での上映拒否 (読売新聞) - goo ニュース

・VAWW-NETジャパン　政治家によるNHK番組介入問題について