切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

蓮實重彦の三島賞受賞会見、観ました。

2016-05-18 22:35:22 | 超読書日記
ネットで話題になっていましたが、わたしもついに観ました。このひと、齢80歳にして健在なんですね。ひさびさに、バカにおもねらない大人を観た!大衆に媚びたり、「いいね!」といわれたいだけの軟弱な大人たちにウンザリしている人は、この動画を観ると元気が出るんじゃないでしょうか!というわけで、簡単に感想。

・「80歳の私に…はた迷惑」三島由紀夫賞の蓮實重彦さん(朝日新聞 活字)
・記者の心折れる三島賞の殺伐会見が話題(動画リンク)


最初、活字になったものだけを読んだときの印象は、「たんなる弱い者いじめなんじゃないの」と思ったんですが、動画を観たら印象が変わりました。記者がいくらなんでもバカすぎる!むしろ、教育者蓮實の真骨頂をみる思いでした。

日本の会見とかインタビューって、あらかじめ答えが想定されるような質問ばかりする、出来レースみたいなものが多くて、そのことに甘えているメディア関係者も多いと思うんですよ。特にバブル世代以降の甘えが酷い。

その点からいっても、記者のバカさを助けてあげない蓮實氏の会見は、立派な教育だと思いました。きょう日、会社組織だって、パワハラだの「いいひとと思われたい」だのという呪縛に飲み込まれて、バカにやさしいでしょ。

そして、媚びないことの神々しさって、忘れていた感覚だな~と思いました。いつからなんでしょうか、ミュージシャンだろうが、作家だろうが、テレビで媚びた笑いを見せるようになってしまったのは。つまんない同情、共感、同調圧力と対峙するところから、表現なんて始まるんじゃないの、と。

あと、映像って怖いなと思うのは、記者たちの頭の悪さ、読書量の少なさが、画面からはっきりわかってしまうところ。ニコ動で豊崎由美も言っていたけど、フローベールくらい読んでなきゃ、あの会見席に座ってるのはまずかったんじゃないですかね。せめて、「ボヴァリー夫人」と「感情教育」くらいはね。でないと、「バカな質問はやめてください」ってレベルになっちゃうわけでしょう。

ま、とにかく痛快でした。淀川長治相手でも媚びなかったひとをなめてちゃいけないですね。あと、記者たちは、蓮實氏の対談集を読んで勉強し直せと言いたい。ゴダール相手だろうが、ベルトリッチだろうが、最後は自説を納得させてきた人ですからね。

と、なんだか蓮實シンパみたいになってしまったけど、学生時代にこの人の映画や文学の批評をたくさん読んでいた思い出がよみがえりました。ま、あの息の長い文章は簡単にマネしちゃいけないけどね~。

・元「天皇誕生日」が誕生日の微妙な人々。(以前書いた関連記事)

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