切られお富!

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『詩のこころを読む』 (岩波ジュニア新書) 茨木のり子 著

2016-09-24 00:03:25 | 超読書日記
最近、にわかに詩人茨木のり子の人気再燃なんでしょうか。映画(「この国の空」)の中で詩が取り上げられたり、ムック本が出たり…。で、岩波文庫の詩集やちくま文庫のエッセイもよいんですが、子供向きに書かれた詩の入門書が隠れた名著です。興味のある方はどうぞ。

この手の詩の紹介本っていくつかあって、三好達治のものとか小池昌代のものなんかもいいんだけど、茨木のり子のこの本がわたしには一番怜悧というか、内容に鋭さがあって、子供向けの枠を超えていると思うんですよ。

谷川俊太郎の『二十億光年の孤独』所収の詩に始まり、最後は岸田衿子という選択もよいし、経済学者河上肇(『貧乏物語』なんかを書いた人です!)の詩を取り上げているのは彼女ならでは。

裏表紙に「(詩)の魅力を情熱をこめて語ります」と宣伝文句が書かれているんだけど、わたしの印象では、「情熱的」というのはちょっと違うかな、と。ま、茨木のり子の作品全般にいえるけど、薬学部出身のせいなのか、理系っぽい理性的な語りでその裏面に情熱を隠しているって感じの芸風だと思うんですよ。

そういう意味では、「恋唄」という章で取り上げている、道ならぬ恋を暗示した「ふゆのさくら」(新川和江)と「助言」(ラングストン・ヒューズ)という詩がわたしには面白かったですね~。ま、詩の選択と解説自体が彼女の創作論になっているというか…。

というわけで、ご興味のある方はどうぞ。でも、現代詩って、今どれくらい読まれているのかな?

詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)
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