切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

歌舞伎座(一部&二部)、観てきました。

2016-06-24 23:59:59 | 私の写メ日記(観劇版)
諸般の事情で、久々の平日の観劇。猿之助の典侍とお里がよかったなあ~。そして、幸四郎のいがみの権太!幸四郎・吉右衛門兄弟で、幸四郎の方がよい演目の一つですが、今回は傑作だった!簡単な印象のみ。

第一部は、「渡海屋・大物浦」と初見の「時鳥花有里」。

右近の長男・武田タケルくんの初お目見得の舞台でもあったんだけど、ロビーにいた背の高い女性がお母さんだったのかな?物凄く目立ってたんで、たぶんそうだと思うんだけど、右近より背が高いんじゃないのって感じの、お綺麗な方でした。お安ちゃんを演じるタケルくんは、思ったより小さかったんだけど、妙に落ち着いているんで、なかなかの舞台度胸だなと。普段はやんちゃなんだそうですが…。

で、やはりというか、なんというか、右近の相模五郎がよかったですね。「元気なんだけど一本調子」と思わなくもなかった右近だけど、台詞に抑揚というか陰影みたいなものが出ていた気がして、子供の存在は親にも影響を与えるんだなと、思ったりして…。

ま、全体としていうと、猿之助の典侍の局が傑作で、お柳でいる時まではモッサリ気味だったのに、典侍でグッと貫禄が加わった感じ。染五郎の知盛は巧妙な台詞回しでだいぶ頑張っていたけど、やっぱりニンじゃなかったですね。比べるのもなんだけど、去年の菊之助の知盛の方がニンにないなりに様になっていた感じがしましたもの。松也の義経は、二度目の出の方が台詞が利いていました。前半はやや硬かった。猿弥の弁慶が、久々にこの芝居の弁慶らしい弁慶のスケール感。

次の所作事「時鳥花有里」は、出ている役者が豪華なのに演目としてはどうも未消化感が残る。筋書きの解説もあっさりしていて、出典が出てないんで、調べたいけどよくわからなかったし…。

次が第二部。「いがみの権太」。

松也の小金吾がまずまずだったけど、むしろ、今回のこの芝居はベテラン陣が充実してました。錦吾&右之助の老夫婦が傑作だったし、今更言うまでもない秀太郎のあたり役・女房小せん。彦三郎の梶原は、足が悪そうながら貫録十分で、引きずる足も「そういう役なのかな」と思わせるくらいの迫力があった。

で、染五郎の維盛がよいんですね。結局、こういう役のあっている人だから、時代物なんか、多少気の毒な感じがすることもある。そして、娘役をやるとコケティッシュな一面が出てくる猿之助のお里。こういう古典で観客を味方に引き込むところが猿之助の凄いところ。歌舞伎に縁のない人のために言っておくと、娘役の時の猿之助って現代的でよいんですよ、野崎村のお光とか。若い女優でいうと、松岡茉優みたいなコケティシュさというかね~。

で、幸四郎の権太。この役っていうと、今だと菊五郎と仁左衛門が東西の型の代表格って感じだけど、幸四郎のこの役も、じつは前から嫌いじゃなかったんですよね。もっとも、菊五郎型だって、もとは五代目幸四郎の型から来ているんで、由緒としては充分なんですが…。

ま、簡単にいうと、幸四郎の融通無碍な芝居の感じが、この芝居にあっているんですよね。「髪結新三」なんかだと、「黙阿弥ものっぽくない!」って思っちゃうんだけど、「義経千本櫻」くらいの大古典だと、遊びの部分も無理なく許容されちゃうっていうか…。

というようなわけで、大いに満喫しました。

二部続けての観劇で、集中力が切れるかと思ったら、全然切れず!充実の六月だったと思います!

PS:最近、忙しくて更新がおろそかになっていましたが、ボツボツと挽回しますので、お忘れなきよう!
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