
東御市は、長野県上田市の隣に位置する。市街地の北側に連なる丘の斜面は南向きの絶好の斜面。標高も700㍍~900㍍と高いので、夏の気温の日較差は大きく、酸が保たれやすい。ここに、ヴィラデスト、Rue De Vin、はすみふぁーむと最近注目を集めるワイナリーがある。メルシャンの椀子(まりこ)ヴィンヤードも街を挟んで反対側に広がっている。いずれも、国際的なワイン品種に力を入れるワイナリーで、彼らの努力と成功によって「ワイン特区」が出来上がった。通常は、醸造免許を取得するには6000㍑の生産が必要とされているが、東御市のブドウのみを使った場合は2000㍑にまで敷居が下げられている。個人的にも、夏場の少雨、標高による日較差、南向きの広大な斜面、などポテンシャルを感じる場所である。
Rue De Vin
当主であり、栽培・醸造を手掛ける小山氏は、周辺農家、地域との共存ができないと、ワイナリーは存続できないと強調する。疫病が多い日本では、農薬は必須となるとのこと。それでも最小にする努力が払われるとともに、他の農家との境界付近では散布を抑える努力を怠らない。畑は5㌶程度で、斜面に階段状に連なる。いずれも南向きのロケーションでテロワールの良さを感じる。
リンゴ樹 長野はリンゴの生産でも有名である。ブドウ樹の合間のいたるところにリンゴが植えられている。基本は生食用だが、傷ついたものはシードルに用いられる。
若樹は藁で覆う
成長しかけた樹 ヴィラデストの話によると、台木は10114、若しくは、3309が主流だそうだ。リパリア×ルペストリスの代表選手。
斜面上部の区画。Rue de Vinでは、2005年から栽培が開始され、2010年からワインがリリースされているそうだ。
はすみふぁーむ
蓮見氏も2005年頃からこの地に移ってきてワイナリーを営む。議員を兼ね、地域との融合を図っている。日本最小のワイナリーを自称するが、ドメーヌ・ショオ(新潟)とどちらが小さいかで議論の決着がまだ着いていないそうだ。Rue de Vinの隣に位置し、畑はワイナリー前と少し離れた場所にある。
ワイナリー前の畑
離れた斜面にある畑。剪定直後で、枝の払いよけはこれから。脇の黒い覆いの下では他の農家が朝鮮人参を栽培していた。
ヴィラデスト
作家であり、画家の玉村豊夫氏が起こしたワイナリー。この地のフラグシップ的な存在で、行政への働きかけの先陣を切ってこの地を盛り上げてきた。標高750㍍~900㍍の土地で、夏場の日較差による酸の保持を大切にする。日本の多雨は受け入れて、その中で何が造れるかを考えなくてはならないとのお話はごもっともである。
ワイン造りは、日本ワイン界のブレイン的な存在の小西氏が仕切る。5㌶の敷地を4人でケアする。ハイエンドをターゲットとしたワイン造りをめざし、ソーヴィニョン・ブラン、シャルドネ、メルロ、ピノ・ノワールなどを手掛ける。ワイナリーは半地下。タンクと樽は多いが、瓶詰機やコルク栓のラインなどは設けていない。
長野でも巨砲にフィロキセラが付いたとのこと。巨砲も耐性が弱いようだ。
瓶詰機とタンク
タンクと破砕・除梗機
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