![]() | モッキンポット師の後始末 (講談社文庫)井上 ひさし講談社このアイテムの詳細を見る |
小学校の教科書で『握手』を読んだことをかすかに覚えている。
子どもの自分にとって、大人の手のひらの大きさや感触は権威的な力に満ちていたり、あるいは何か大きくてあたたかいものだったりした。
手のぬくもり、手の記憶。
僕が忘れないのは裏山の畑で触れたお婆ちゃんのにの腕。
転けないように前を歩くお婆ちゃんが背負うズタ袋に手をかけた、と思ってよく見たら僕が握っていたのはお婆ちゃんのにの腕の皮だった。
腕の表面の皮膚がその役割を終え、くたびれて布きれのようになっていた。
僕と同じ誕生日のお婆ちゃんだったが、年齢の幅を知ったのはその頃だった。
さて、モッキンポット氏。
親愛なる井上ひさしさんのご冥福を祈りながら、再読してみようかしら。
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