在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Abraham 2013, Toros Tocai 2002, Damijan Ribolla 2008

2015-06-05 15:41:02 | Friuli フリウリ
Abraham 2013
Toros Tocai Friulano 2002
Damijan Ribolla Gialla 2008



時々、素晴らしいワインに出会う。新しいものの場合もあるし、古いものの場合もある。
良いヴィンテージが素晴らしくなっている場合、しかし、悪いヴィンテージが素晴らしくなってるという珍しいこともある。
ワインがもつために必要なものは一般に酸とタンニンである。
酸は酸化防止剤となるが、そこで、南のワインで酸が足りないものをもたせようとする場合、酸化防止剤になる酸を足すことがある。このケースは以外と多いというのがサンジョルジの論。ワイナリーは、絶対に酸を足していますよ、とは言わない。そこで、どのくらいのケースが足しているのかわからないが、意外と多いととっても良いらしい。
赤ワインの場合は酸以外にタンニンが含まれ、日本でもポリフェロールで話題になったが、多く含まれていればその分劣化防止になる。
では、酸か、または酸とタンニンが多く含まれていればワインはもつのかというと、そうはいかない。
つまり、その理論でいけば2002年のワイン、ひたすら酸っぱいだけのワインが持つはずなのにそうはいかないからである。
ただ、逆に、では、2002年のワインが全くもたないかというと、これも違う。
酸化防止になる酸が多く含まれているはずであるので、一応は持つはずなのである。

さて、尊敬するアルマンドとその辺りを話したことがあるのだが、彼の持論は、加えてバランス。
つまり、バランスの悪いワインは、たとえ酸が多くても、タンニンが多くてももたない、ということである。
なるほど、2002年は最悪の年だった。雨が多くて、寒くて、こんな年は他になかった。
ワインを造るのをやめたワイナリー、格下げしたワイナリーなどが続出したのだが、そんな中で丁寧に造ったワイナリーはある。
そして、良い年ではなく、悪い年にどれだけ良いものを造れるかが結局、ワイナリーの実力の差だと思う。

トロスはすごかった。
ワイン名を教えていただけず飲んだのだが、すごい。ただ、最初はここまで古いワインだとは知らなかったし思わなかったので、なんてバランスの良い素晴らしいワインなのだろうかと思ったが、まさか、それが2002年の、まさか13年も経っているワインだとは思わなかった。
数年たったワイン、マセラシオンでバトナージュだと思ったのある。
ところが、蓋を開ければ、これがフランコ氏の実力なのだと思う。
新しいワインを出してきて試飲しただけではどんぐりの背比べ。
10年以上経って明らかな差が出ていると思う。
久々に感動するワインに出会った、と思った。
色は濃く、輝きがあり、やや乳酸系の香り、ほのかにロースト系の香りが出ているが重たくはないし、 アタックが素晴らしく、余韻が実に長い、また、1時間経っても全く衰えることがなかった。+++++++


最初に飲んだのはAbraham。
口当たりの柔らかさから明らかに自然派だとわかる。しかし、臭みは全くなく、白い花、若干ライチ、あとで桃が出てきたが、花とフルーツがとにかく綺麗で、心地よい。
酸がじわっと出てくるのだが、とげとげしさが全くなく、とても可愛らしいワインである。+++


3本目がダミアンの2008年。
色はオレンジ色。輝きはあるが、これは残念ながら、おそらくコルクに問題があった感じ。コルク臭は付いていないのだが、酸化が早いというか、硬さが残り、余韻に苦味が消えない。たまに残念なボトルにあたることがあるが、そんな感じだった。+++

素晴らしい夜を過ごせたことに、過ごさせていただいたことに感激でした。





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