Storie sospese 中断されたストーリー
監督 ステファノ・キャンティーニ
上映会の後で監督の話がある。これでかなり作品の印象が変わる場合がある。上映の前ではなく後。
上映の前にあらすじはざっと見ておく。(私の場合は、役の名前、役者の顔もざっと見ておく)
そして作品を見る。個人的感想と印象。
そこへ監督がやってきて話をする。ほぼ一方的に話す場合、質問に答えるのが好きな場合など、いろいろ。
さらっと終わる場合、結構白熱する場合、これもいろいろ。
この映画は、幾つかの重たいテーマを扱っている。色に例えればモノトーン、という感じで、華やかとか、明るい印書はない映画だった。
若干気になったのは、その幾つかのテーマが若干バラバラな感じ。
岩場を登り安全対策用の網を貼る仕事をしているトーマス。ミスが原因で同僚が命を落としてしまう。
仕事を失い、しかし、妻と生まれたばかりの赤ちゃんも含み3人の子供を抱え、新しい仕事を探す。
新たな仕事も岩場を登るのだが、岩場に測量用のセンサーを取り付けるという仕事。
ここでテーマが変わる。
新たな道路建設、新たにトンネルを掘るのだが、どうも山全体の地盤が傾いている。トンネルを掘り進めるたびに住宅の壁に亀裂が入り、小さな村であるが、危なくて住めない家が続出している。
建設業者と村の住人とのやりとり。日本のダム建設や、イタリアの新幹線建設の場面が浮かんでくる。
測量用のセンサーの取り付けは建設側の、大して意味もない作業で、トーマスは嫌でも建設賛成側についていることになる。
反対派は、リーダー的立場を取っているのが幼稚園の女の先生、どれだけ亀裂が大きくなっているかを地道な方法で測量し、記録を残している老測量技師など。
最後は、自分の主義に反することをしていることに目覚めたトーマスが仕事を拒否して終わる。
つまり、同僚が自分のミスにより命を落とす、トンネルの建設と住民の反対、それから、トーマスと(出稼ぎから)残された家族との関係、再び仕事を失っても正義を貫くなどなどのテーマを無理やり繋げてもまだ若干バラバラ、という印象を持った。
同僚が滑降、命を落としてしまうテーマだけでも一つの作品になるような気がするのだが。
しかし、監督の話を聴くと印象が変わる。
一所懸命頑張っている。「自然」をテーマに自然に関わる仕事という設定にしたかった。社会的テーマを、なんとか扱っていこうとの意思が見える。それをどうやったらうまく表現できるか。
最初は監督の話で始まった会見、ポツリポツリと質問が出て、最後はたくさんの質問、結構長い会見になった。
多くの人が同じような意見を持ったのではないかという手ごたえ。
面白かったのは、最後の場面を2種用意したとの話。つまり、主義に反しているのに目覚めたトーマスが、もう一度失業することになるとは言え、拒否するバージョンと、家族のために再び失業はできないと、自分の主義を曲げてまで、黙って仕事を続けるバージョン、の2つ。
最終的に選んだのは拒否バージョンだが、受け入れバージョンであっても結構考えさせられることにはなったと思う。
実は、監督はとても仲良くしている友人の友人。まだ若い監督だが、3作目。とても性格がよく、感じが良いと聞いていたがその通り。
華やかで受ける作品は作らないかもしれないが、これからもぜひ地道に良い作品を作って欲しいと思う。次作にも期待。
監督 ステファノ・キャンティーニ
上映会の後で監督の話がある。これでかなり作品の印象が変わる場合がある。上映の前ではなく後。
上映の前にあらすじはざっと見ておく。(私の場合は、役の名前、役者の顔もざっと見ておく)
そして作品を見る。個人的感想と印象。
そこへ監督がやってきて話をする。ほぼ一方的に話す場合、質問に答えるのが好きな場合など、いろいろ。
さらっと終わる場合、結構白熱する場合、これもいろいろ。
この映画は、幾つかの重たいテーマを扱っている。色に例えればモノトーン、という感じで、華やかとか、明るい印書はない映画だった。
若干気になったのは、その幾つかのテーマが若干バラバラな感じ。
岩場を登り安全対策用の網を貼る仕事をしているトーマス。ミスが原因で同僚が命を落としてしまう。
仕事を失い、しかし、妻と生まれたばかりの赤ちゃんも含み3人の子供を抱え、新しい仕事を探す。
新たな仕事も岩場を登るのだが、岩場に測量用のセンサーを取り付けるという仕事。
ここでテーマが変わる。
新たな道路建設、新たにトンネルを掘るのだが、どうも山全体の地盤が傾いている。トンネルを掘り進めるたびに住宅の壁に亀裂が入り、小さな村であるが、危なくて住めない家が続出している。
建設業者と村の住人とのやりとり。日本のダム建設や、イタリアの新幹線建設の場面が浮かんでくる。
測量用のセンサーの取り付けは建設側の、大して意味もない作業で、トーマスは嫌でも建設賛成側についていることになる。
反対派は、リーダー的立場を取っているのが幼稚園の女の先生、どれだけ亀裂が大きくなっているかを地道な方法で測量し、記録を残している老測量技師など。
最後は、自分の主義に反することをしていることに目覚めたトーマスが仕事を拒否して終わる。
つまり、同僚が自分のミスにより命を落とす、トンネルの建設と住民の反対、それから、トーマスと(出稼ぎから)残された家族との関係、再び仕事を失っても正義を貫くなどなどのテーマを無理やり繋げてもまだ若干バラバラ、という印象を持った。
同僚が滑降、命を落としてしまうテーマだけでも一つの作品になるような気がするのだが。
しかし、監督の話を聴くと印象が変わる。
一所懸命頑張っている。「自然」をテーマに自然に関わる仕事という設定にしたかった。社会的テーマを、なんとか扱っていこうとの意思が見える。それをどうやったらうまく表現できるか。
最初は監督の話で始まった会見、ポツリポツリと質問が出て、最後はたくさんの質問、結構長い会見になった。
多くの人が同じような意見を持ったのではないかという手ごたえ。
面白かったのは、最後の場面を2種用意したとの話。つまり、主義に反しているのに目覚めたトーマスが、もう一度失業することになるとは言え、拒否するバージョンと、家族のために再び失業はできないと、自分の主義を曲げてまで、黙って仕事を続けるバージョン、の2つ。
最終的に選んだのは拒否バージョンだが、受け入れバージョンであっても結構考えさせられることにはなったと思う。
実は、監督はとても仲良くしている友人の友人。まだ若い監督だが、3作目。とても性格がよく、感じが良いと聞いていたがその通り。
華やかで受ける作品は作らないかもしれないが、これからもぜひ地道に良い作品を作って欲しいと思う。次作にも期待。