在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Tignanello 1998 2001 2005 2007 2010 2012 ティーニャネッロ6ヴィンテージ

2015-10-20 16:36:37 | Toscana トスカーナ
Tignanello Antinori 6 annate ティーニャネッロ 6ヴィンテージ
1998 2001 2005 2007 2010 2012

ダニエレ・チェルニッリとレンツォ・コタレッラのコンビでティーニャネッロを6ヴィンテージ試飲。
ダニエレ氏の評価本発表の試飲会での場面。


1970年にキャンティ・クラシコ・リセルヴァとして前身のワインが出る。
1971年、当時の規定で、白ぶどうが使っていないためキャンティとは名乗れず、ティーニャネッロとして発売。(これ以前の白ぶどうが入っていないワインは、サン・フェリーチャのヴィゴレッロだけとのこと)ラベルのデザインは当時有名なデザイナーに依頼し、今では当たり前になったが、初のデザイナーズ・ラベルとも言っても過言ではない。72年、73年、74年は発売されず、75年に20%のカベルネを加えてリリース、その後、現在に至る。
リリースされていない年は、76年、84年、92年、2002年とのこと。
一言でティーニャネッロとは、と言われると、面積(Dimensione)ではなく濃淡(Sfumatura)のワインとのこと。なるほど。


試飲は新しい年から、古い年からいろいろあるが、古い年から始めた。
(+++を良い、として、増減。)


1998年 
きれいに熟成が出ている。色は完全にガーネットで、アマラントを思わせる色。スパイスがよく出ていて、丁子、シナモン、スモーク臭。まろやかになっているがまだ存在感のあるタンニンが一瞬、そして、ボディを感じたかと思うと、塩味が出てくる。酸もあるが、それより塩味が出ていてフィニッシュに残る。持続性もよく、エレガントさも出ている。
++++ 

2001年
やや発酵臭っぽい感じが出ている。色は濃く、フルーツ、甘いスパイスがやや重たい感じで出ている。ボディがあり、タンニンは丸みを帯び、酸があまり感じないため、強さ、太さが出ている、というかやや出過ぎな感あり。ある意味、これは典型的なティーニャネッロではない、という年だろう。
+++ 

2005年
最初はまあまあ閉じている。開いてくると、スパイス、丁子、熟したフルーツ、エレガントでもあり、強さも見てとれる。インパクトは結構いい。ボディがあり、しかし、フィニッシュにはエレガントな面も見られ、割と長く続く。チョコ、カカオなど。
+++(+)

2007年
最初は閉じていたが、出てくると華やかで、よく熟したフルーツ、甘いスパイス、今まさに飲み頃という感じ。バランスがとても良い。フィニッシュがとても心地よく、持続性も 良い。
現時点で++++(+)ただし、頂点に達していて、あまり長くは持たないだろうと思う。

2010年
香りがやや弱く、しばらくしてじわっと出てくる。まだ固まっている感じで、特徴を捉えるのが難しい。ボディが抑えられた感じに酸が立つ。フィニッシュは繊細で、一瞬長くはないように感じられるのだが、細く長く続いていている。スモーキーな管理が残る。
現時点で++++ こちらは、まだまだ先が期待できそう。

2012年
華やかで香りの強さがあり、熟したフルーツ、チョコなど、素直に心地よい。味のインパクトがよく、ボディの存在感があり、とにかく若いのだが、タンニンの質はよく、持続性も申し分ない。フルーツが残る。
++++  



ワイン考

2015-10-20 15:03:45 | イタリア・ワインABC
好きなワイン、美味しいワイン、評価の高いワイン



いつも思うのだが、好きなワインと美味しいと思うワイン、評価の高いワインには、個人差はあれど、結構大きな「時差」があると思う。
ワインを飲み慣れていないと、たとえ他のお酒には飲み慣れていてもその時差が大きいという経験をした。

日本酒の蔵元の方数名をピエモンテへご案内し、さるワイナリーにての試飲から始まった。(ワイナリーの選択は私ではない)
バルベーラとバルバレスコとバローロの3種。
バルベーラは酸味が強く、と言っても、樽使いのどちらかというとまろやか系のバルベーラだったのだが、あまりお好みではないようだった。特に日本酒は酸味が少ないので、突然、バルベーラの酸味は結構刺激的らしい。
次にバルバレスコとバローロを比べる。
飲み慣れない味にクエスチョンマークが出ている感じはしたが、バローロのほうがいい、というより、ちょっと重たいけれど、良いと言われると良い、という雰囲気。
数名は、バルバレスコの方が軽くて好み、とのこと。

夜は、レストランでネッビオーロとバローロ。
多少意見が分かれたとはいえ、ネッビオーロの方が好み、という意見もあった。
どちらも良いワイナリーを選び、評価が高いのはバローロの方であったのだが。
さらに、どうしてこれらのワインが良いのかわからないという、いたってシンプルなクエスチョンマークもちらほら。

翌日は町のトラットリアで再びネッビオーロ。かなり伝統的なところを選んだらこれが今までで一番美味しいという意見が多かった。
確かに個人的にも好みのワイナリーだったのだが、一応、今まで飲んだ中で一番安い。

そして、翌々日、場所も変わり、ワインの場所も変え、某ワイナリーのロッソ・ディ・モンタルチーノを選んでみた。
ネッビオーロ品種漬けの毎日で、イタリアに来てそれしか飲んでいないのもなんだと思い変えてみたのだが、若干モダンすぎるかと思った危惧は当たり、全然違って、今までで一番好みではないという意見が多かった。
このワインから飲み出したら絶対に美味しい、というだろうというものではあったのだが、ネッビオーロ漬けから突然サンジョヴェーゼへの変化もかなり刺激的だったよう。

そしてさらに翌日。
突然、ランブルスコを飲むことになった。ランブルスコの中では「飲める」ものであり、非常に良いものではあるのだが、とにかく「赤で発泡」という点が良いという評価。久々の赤の発泡を刺激的だと思ったのは、今回は私だったと思う。
もちろん全員が気に入ったというわけではないようだったが、いいね、美味しい、という意見が飛び交い、なるほど。

評価の高いワインが必ずしも美味しいわけでもなく、個人的に好きなわけでもないが、なるほど、かなり考えさせられた。勉強になった。
美味しいワインが飲みたい、ということで高級バローロを勧め、しかしその後、ごく普通のワインを飲むと、そっちの方が美味しいとか、どうしてこの値段かわからないとか、いろいろ話題が飛び交うこともあるのだが、美味しく感じるワインには大きな個人差がある。
だからワインは難しい。