在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Palazzone Musco 2013 e gli altri vini パラッツォーネ

2015-10-24 22:17:51 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Palazzone パラッツォーネ
Musco 2013 e gli altri vini



パラッツォーネのジョヴァンニ氏自らローマに来てのラフな試飲会があった。
ワイナリーのあるオルヴィエートはローマから車で1時間もあれば着くところなので、ジョヴァンニ氏には時々お目にかかることはあるのだが、今回は新作ワイン「ムスコ」のお披露目も兼ねていたので行ってみた。
場所はローマの南、ちょっとはずれにあるミクソロジーにて。ミクソロジーとは何かと思ったのだが、エノテカではなく、カクテルを中心に教えている教室だった。明るく、設備はかなり整っているよう。なるほど、今はこんなところも造られているのかと結構感心。ワイン系の催しはリゼルヴァ・グランデを主催しているマルコ氏がオーガナイズしているらしい。立ち飲み、比較的時間が自由で、気さくな雰囲気、かしこまらなくていい。

一角にジョヴァンニ氏。かなりの人の入りだが、気さくにワインの説明をしながら自らグラスにワインを注いでいる。
パラッツオーネのワインは気取らない、気張らないところがいい。そんなところ、ジョヴァンニ氏の人柄が出ているような気がする。


Grek 2014 grechetto
軽く飲みやすいワインだが、きちんと造っていてそれなりの存在感がある。フィニッシュがややほろ苦いが、それも心地よい。夏はきりっと冷やして飲むとより美味しい。++

Tixe 2014 pinot grigio
そういえばピノ・グリジョを造っていた、と思い出した。中部イタリアではかなり珍しい。ティクセという読みになるのだろうが、反対から読むとEXITで、この方が覚えやすいような気もする。こういうユニークさは面白い。
ピノ・グリジョは一般には白ワインだが、これは玉ねぎの皮の色が付いたブラッシュ・ワイン。個人的には色のないピノ・グリジョより色のついたものの方が好み。6時間のマセラシオンとのこと。フリウリあたりのピノ・グリジョより色が濃く、香りにも味にも強さが出ている。これも最後はややほろ苦いが、心地よく続く感じ。+++

Terre Vineate 2014 Orvieto Classico Superiore
やや中途半端なワインだと思うが、造っている場所がオルヴィエートなのでオルヴィエート(ワイン)も当然造っている。オルヴィエートは、伝統的、歴史的に最もよく知られているイタリアワインの一つだが、安くて水のような、軽いというより薄いワインが多い。そんな中、これは2種あるうちの下のランクのものだが、丁寧に造っていて、数あるオルヴィエートの中では最も良いものの一つ。++(+)

Campo del Guardiano 2013 Orvieto Classico Superiore
これもオルヴィエートなのだが、オルヴィエートとして飲むより、普通のブレンドワインとして飲んだ方が良いような気がする。ジョヴァンニ氏も大好きというが、看板ワインと言えるワイン。やや濃いめの色調。黄色い花とフルーツの香りが綺麗に出ていて、複雑性は申し分ない。味は、まろやかなところに加わる酸味が味を引き締め、なかなかエレガント。とても美味しい。万人受けするタイプだし、料理は魚中心に幅広く合わせられるタイプのワイン。++++

Rosso 2014
軽くいたって飲みやすいワイン。夏に少し冷やして飲むのもいい。++

Piviere 2013 sangiovese
ロッソとアルマレオの中間的存在。 やや軽め、若飲みタイプのサンジョヴェーゼ。++(+)

Armalo 2013
色が濃く、魅力的な色。ややアルコールは上がるが、フルーツの香り、甘いスパイスと続き、味のインパクトも良く、ボディもあり、タンニンがかなりしっかり感じる。持続性も良い。地元の料理、イノシシなどの肉、キノコ、スパイスを使った料理にピッタリ。+++(+)

Musco 2013
これが噂の、というとオーバーだが、2年経ってリリースされたパラッツォーネの新作ワイン。新作、というのがふさわしいと思う。他のオルヴィエートと同じでプロカニコ主体。小さな洞窟のようなところで、昔使っていた縦型、手動の圧搾機を使い、木の樽で発酵、熟成は栗の木の樽、そして、ダミジャーナという大きなボトルも使い熟成。
50年前、おじいさんが造ってようなワインを造る、というコンセプトで造られたそう。当然、人口酵母は加えていない、自然の恵みそのままのワインである。
色はかなり濃く、綺麗な輝きがある。自然派ワインの香りだが、決して臭くはなく、自然そのものの香り。インパクトは優しいのだが、その後、タンニンがじわっと広がる。目をつぶって飲めば赤ワインかと間違えるだろう。酸味もある。まだまだ荒削り。2年経ってリリースされたが、これが1年、2年と経つうちにどんな変化をするかが楽しみ。
1500本程度の生産量とのこと。