在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

ワイン考

2015-10-20 15:03:45 | イタリア・ワインABC
好きなワイン、美味しいワイン、評価の高いワイン



いつも思うのだが、好きなワインと美味しいと思うワイン、評価の高いワインには、個人差はあれど、結構大きな「時差」があると思う。
ワインを飲み慣れていないと、たとえ他のお酒には飲み慣れていてもその時差が大きいという経験をした。

日本酒の蔵元の方数名をピエモンテへご案内し、さるワイナリーにての試飲から始まった。(ワイナリーの選択は私ではない)
バルベーラとバルバレスコとバローロの3種。
バルベーラは酸味が強く、と言っても、樽使いのどちらかというとまろやか系のバルベーラだったのだが、あまりお好みではないようだった。特に日本酒は酸味が少ないので、突然、バルベーラの酸味は結構刺激的らしい。
次にバルバレスコとバローロを比べる。
飲み慣れない味にクエスチョンマークが出ている感じはしたが、バローロのほうがいい、というより、ちょっと重たいけれど、良いと言われると良い、という雰囲気。
数名は、バルバレスコの方が軽くて好み、とのこと。

夜は、レストランでネッビオーロとバローロ。
多少意見が分かれたとはいえ、ネッビオーロの方が好み、という意見もあった。
どちらも良いワイナリーを選び、評価が高いのはバローロの方であったのだが。
さらに、どうしてこれらのワインが良いのかわからないという、いたってシンプルなクエスチョンマークもちらほら。

翌日は町のトラットリアで再びネッビオーロ。かなり伝統的なところを選んだらこれが今までで一番美味しいという意見が多かった。
確かに個人的にも好みのワイナリーだったのだが、一応、今まで飲んだ中で一番安い。

そして、翌々日、場所も変わり、ワインの場所も変え、某ワイナリーのロッソ・ディ・モンタルチーノを選んでみた。
ネッビオーロ品種漬けの毎日で、イタリアに来てそれしか飲んでいないのもなんだと思い変えてみたのだが、若干モダンすぎるかと思った危惧は当たり、全然違って、今までで一番好みではないという意見が多かった。
このワインから飲み出したら絶対に美味しい、というだろうというものではあったのだが、ネッビオーロ漬けから突然サンジョヴェーゼへの変化もかなり刺激的だったよう。

そしてさらに翌日。
突然、ランブルスコを飲むことになった。ランブルスコの中では「飲める」ものであり、非常に良いものではあるのだが、とにかく「赤で発泡」という点が良いという評価。久々の赤の発泡を刺激的だと思ったのは、今回は私だったと思う。
もちろん全員が気に入ったというわけではないようだったが、いいね、美味しい、という意見が飛び交い、なるほど。

評価の高いワインが必ずしも美味しいわけでもなく、個人的に好きなわけでもないが、なるほど、かなり考えさせられた。勉強になった。
美味しいワインが飲みたい、ということで高級バローロを勧め、しかしその後、ごく普通のワインを飲むと、そっちの方が美味しいとか、どうしてこの値段かわからないとか、いろいろ話題が飛び交うこともあるのだが、美味しく感じるワインには大きな個人差がある。
だからワインは難しい。



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