ウメは眼の前にひらけてくる群青色の秋の海と、緑の稜角に富んだ島々の形影に
息もつまりそうだった。(『仙酔島』)
尊敬している人が、大好きな本として挙げていた短編集。探しても探しても本屋になくて、結局Amazon
で定価以上だったにもかかわらず手に入れてしまった。しかし悔いなし!一編一編がなんとも品良く美しく、
読み終えるごとに胸に抱いてため息をつくような余韻のある小説たち。古き良き日本人や日本文化を愛する
人々の美徳が、ここには詰まっている。
表題作をはじめとする私小説的な小品も、島村氏の人としての品性が感じられて心に浸み入るようだが、
市井に生きる女性を描いた初期の小説『仙酔島』『残菊抄』、晩年の『神田連雀町』『佃島慕情』も、その
人生のたたずまいがそれぞれに感動的で、とてもよかった。泥臭くなりかねない素材が、語り手の手腕ひと
つでこんなにも美しく紡がれる物語になるのだと感嘆。何度でも読み返したい名文、名品である。
息もつまりそうだった。(『仙酔島』)
尊敬している人が、大好きな本として挙げていた短編集。探しても探しても本屋になくて、結局Amazon
で定価以上だったにもかかわらず手に入れてしまった。しかし悔いなし!一編一編がなんとも品良く美しく、
読み終えるごとに胸に抱いてため息をつくような余韻のある小説たち。古き良き日本人や日本文化を愛する
人々の美徳が、ここには詰まっている。
表題作をはじめとする私小説的な小品も、島村氏の人としての品性が感じられて心に浸み入るようだが、
市井に生きる女性を描いた初期の小説『仙酔島』『残菊抄』、晩年の『神田連雀町』『佃島慕情』も、その
人生のたたずまいがそれぞれに感動的で、とてもよかった。泥臭くなりかねない素材が、語り手の手腕ひと
つでこんなにも美しく紡がれる物語になるのだと感嘆。何度でも読み返したい名文、名品である。
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