としのブログ

大工の とし の日々の出来事

左勘次 焼き戻し編

2016-01-30 17:49:06 | 日記
この刃は中古で手に入れて、十分な切れがあるのは解っていましたが、さらにイタズラを。



今回は200℃で40分をキープ。
当然刃の変形があるので、軽く裏を叩いて裏を整えます。
それから1200番の人造砥で、



切れ刃を研磨。



傷の加減はこれくらい。
それから天然の仕上げ砥に直接のせます。



今回は奥殿の巣板で。
例のガラス磨きで少々こすると、いい感じで砥糞が出ますよ。



砥糞が出たところで秘密の名倉をサラッと掛けて、



研ぎます。
この名倉?を掛けると研ぎ汁が真っ黒になって、少々時間がたってもサビ色に変わりません。



鉄粉の匂いも金盤を使っているような匂いがしますよ。

研ぎ上りは、



やはり刃返りの落ちはかなり良好に。

ばさばさの檜のシラタですが、



気持ちよく削れています。
しかしここで少々問題が。
高温乾燥の杉の板目、中でも特に逆目が起きやすい材を鉋の調子を見るのに使っていますが、
今のところ自家製焼き戻しで硬度を下げた刃では切れが良くても逆目が完全には止まらず。
硬度を下げたのがいけないのか?はまだ判断できませんが、一般的な造作材なら問題ない感じ。
研ぎ時間もかからずに非常に良い刃が付くようにはなりました。
焼き戻し以前よりも裏のダレが非常に少なくなったのも予想外でしたがうれしい変化。



一番最初に手に入れた寸八も一緒に調理しちゃったんで、お次はこいつの報告の予定です。

さらにやっております

2016-01-27 18:30:28 | 日記
鋼に関する本もしっかり読破して、さらに違う刃も焼き戻してみました。



餌食にしたのは以前お湯での100℃戻しでも良くならなかった写真下の例の刃。
油での戻しの効果は、



こんな感じで良い刃が付くように。
ただ、他の刃に比べてどうにも鋼が白っぽく感じます。
引いてみても、



思うように切れない?
台のせいもあると思って、真鍮板の刃口を調整しやすい白樫に変えてみました。



下端の調整はいい感じだと思いますが、やはり切れ味が重い。
お得意のパウダーでの刃先研ぎをしてみても、



刃の付きは良いものの、切れは相変わらず重いままです。



やはり鋼が(最初からの熱処理が)今一歩だったのか?
鋼の冴えが無い様な?

鍛冶屋さんのせいにするのも悪いですが(笑)、この刃はやっぱり仕上げ向きじゃあ無いみたい。
でもね、焼き戻しで十分馴らし鉋に使えるようになりましたよ。
鋼の硬度が低いせいか非常に研ぎやすく、つい手が伸びる刃になりそうな予感。
以前のような研ぎでの欠けは非常に小さくなりました。

今回更に焼き戻しを加えた刃があるんですが、



どれも研ぎやすさが上がっています。
こちらの刃は近日報告します。

ようやく終わりました

2016-01-22 19:25:54 | 日記
先月からお世話になっている野丁場の仕事がやっと終わりました。
雪の中2時間半かけて通った現場もいい思い出です。
(普段は50分程度なんだけどね。)

で、そこの親方から良いモノ頂いちゃいました。



前から欲しかった階段刻み用定規。
マキタの物しか知らなかったけど、こういったものが全盛期のころは色々あったようですね。



部品の欠品も無い様なので、使ってみるのが楽しみです。

それから先日の黒染め液。
暮れに片づけをしたら出てきた小鉋の刃を裏隙し直して使ってみました。



黒染め液を小分けして、綿棒でチョンチョンと。



裏隙部分は黒染め後サッと真鍮のワイヤーブラシで擦って馴染ませてあります。



ビフォアー画像はアップで撮りませんでしたがサビの塊。



画像では下になっている刃なんですが、こいつは立ち鉋に仕立てるつもりです。
ちなみに他の刃は使い様になるものが無さげです。
残念。

ボチボチやっております。

2016-01-19 18:58:04 | 日記
久しぶりの更新になってしまいました。
相変わらず野丁場の床屋として2000平米のアジャスターフロアを上げきるべく肉体を酷使しております。

鉋弄りのほうは、



こんな本を買って鋼のことを勉強中(今更ですな)。
鋼の本ですが、刃物鋼に的を絞った内容ではなかったです。
自家製焼き戻しの刃はおおむね調子がいいのですが、更なる高温での戻しはちょっとためらい中(笑)。
もう少し知識を漁ってからですね。

それからこんなのを購入。



アメリカンな黒染め液。
反応がとてもいいです。

あとこれも。



これも(笑)。



鏡を磨くやつは100均で見つけて即購入。
白いのは今は内緒です(笑)。
どちらも仕上げ砥石の名倉として使いますが、詳細はのちほど~。

たぶん今週一杯で本業に戻れる予定です。
ブログの更新も少しはマメにできると思うんですが。

ああ、糸魚川、行きたかったなあ。

鉋刃を自分に近づける?

2016-01-08 23:13:55 | 日記
鉋刃の悪戯にはまってます(笑)。
先日の東国重で気をよくして、薫寿銘の炭素鋼の刃をさらに料理しています。
3回ほど油で熱した薫寿の刃ですが、イマイチ効果がわからないまま?



普通に研いだだけでは刃線も揃わないし刃先のカエリも取れていません。
だもんで、さらに温度を上げてみようと新兵器導入。



デジタル温度計。



使い方は簡単です。
刃のほうは耐熱容器に入れてサラダ油にひたひたに。



オーブンの設定は最高温度で45分程。



チーンっと鳴った直後の温度ですが、



こんなもん。
はて?オーブンの扉を開けた時から温度の低下は始まるとしても想像以上に低い温度でした。
とりあえず甘々になる心配をするほどの温度までは上がらないようです。

調理が終わった刃の良い部分は、



かなりすっきり研げるようにはなってきました。
とにかく砥石の食いつきがよくなった感じ。



手当たり次第にこのくらい削った刃先の裏側は、



以前より白光りが少ない様子。

100倍で見ても、



さらにズームアップして、



まだ刃先の摩耗の仕方が気に入りませんが、このくらいになれば良しとするべきか?
更なる温度の上昇をほかの方法でやってみようか?せっかく温度計も仕入れたし(笑)。

この悪戯、鍛冶屋さんには申し訳ない気もしますが、とっても面白いです。
きっとまだやるな、おれ(笑)。

ちなみに鉋の裏はこれをやると砥石に当たらない部分が出てきます。
なので確実に鋼は変形しているし組成の変化もあるようです。
どうせほっておいた刃だし、ダメもとでもうちっと温度上げたいな。
今度はオーブンレンジかなぁ。