放置された空き家は「税優遇」解除、国交省が法改正へ…雑草茂る家など想定
人口減を背景に増える空き家への対策を強化するため、国土交通省は「空家対策特別措置法」を改正する方針を固めた。政府関係者への取材でわかった。管理が不十分な物件を新たに「管理不全空き家」と規定。改善の行政指導に従わなければ、ペナルティーとして、住宅としての固定資産税の優遇措置を解除し、適正管理や有効活用を促す。23日召集の通常国会への改正法案の提出を目指す。
住宅が立つ土地には、固定資産税が6分の1に減額されるなどの優遇措置がある。これが老朽空き家を解体して更地にせず、放置する一因とされる。
そのため、2015年に全面施行された空家対策特別措置法は、倒壊の恐れがある空き家などを「特定空き家」と規定。市区町村が修繕や解体を指導しても従わない所有者に勧告し、税の優遇措置を解除することや、行政代執行で解体することを可能とした。
しかし、全国には別荘や賃貸用などを除く、居住目的のない空き家が約350万戸(2018年)あるとされる一方、これまで市区町村が特定空き家として把握したのは4万戸にとどまる。うち2万戸は解体や修繕で対応が取られたが、特定空き家に至らないまでも、放置すれば管理状態の悪化が見込まれる空き家は20万戸以上ある。
こうした状況を踏まえ、改正法案では、より早い段階で広範に対策を促すため、新たに「管理不全空き家」を規定する。窓が割れていたり、雑草が繁茂したりしているものを想定しており、特定空き家同様に、行政が指導・勧告し、税の優遇措置を解除できるようにする。管理不全空き家の基準は今後、指針で定める。
合わせて、所有者が空き家の活用、管理方法を相談しやすい環境を整えるため、市区町村がNPO法人などを空き家の活用の「支援法人」に指定し、助言する制度も設ける。
国交省によると、空き家は、この20年間で1・9倍に増加し、30年には470万戸となると推計される。国交省は改正法の活用により、その数を400万戸程度に抑えることを目標としている。