うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

『ドロンボー伝説』の感想

2008年06月29日 | ヤッターマン感想
ドロンボー伝説’08(DVD付)
ドロンボー,山本正之,若林一郎,松山貫之,安部潤
UNIVERSAL J(P)(M)

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旧ヤッターマンで使用されていたドロンボー関連の曲をアレンジして新録したもの。
収録曲は

1.天才ドロンボー'08
2.ドロンボーのシラーケッ'08
3.ドクロベエさまに捧げる歌'08
4.ドロンボーのなげき唄'08
5.さんあく30年-君を離さない チュッ☆

の全五曲に、おまけとして『天才ドロンボー'08』のミュージッククリップが入ったDVDがついてきている。
思わずリピートして原曲と聞き比べてしまった。
一曲ずつ順に感想をば。

・天才ドロンボー'08
これは以前のGWスペシャルで流れたので、聞いた人も多いだろう。
このCDではもちろん三番までフルに入っているが、感想はそのときとまったく変わらず。
つまり「三十年前とホントに変わってねえー!」というものだ。
この曲は三悪がはじめて歌った曲で、だから比較的お遊びが少ない(アドリブ的な意味で)ので、そのせいもあって原曲とほとんど変わっていないのだ。アレンジはぼちぼち違っていて、前奏が長めになっていたりするせいで収録時間が18秒ながいのが一番の違いか。
当時のアニメ界の状況は詳しく知らんので(生まれてないし)言い切ってしまうのもどうかと思うのだが、やはり『天才ドロンボー』はキャラクターソングの原点だろう。歌手ではない人間が、キャラクターになりきったまま歌うのって、これより前にあったのかな?
とにかく、以降のアニソンに与えた影響は計り知れないだろう。
そういう意味で、原曲でもこの08でもいいので、一度はじっくり聞いて欲しい名曲。

・ドロンボーのシラーケッ'08
おや、これは案外ちがうな?
というのが第一印象だった。
あんまりこういうこと言いたくないんだが……さすがに八奈見さんが歳をかくせねえ~w
元々、この『ドロンボーのシラーケッ』というのはある意味凄い曲で、なにがすごいって、三人がてんでバラバラに歌ってリズム的にもメロディー的にもまったくかみ合ってないのに、総合してみたときには実にドロンボー的ですばらしいのだ。
これは三人の勢いが拮抗している当時だから為しえたことであったのだが、どうもこればっかりは認めなくてはいけないのだが、やはり新作ヤッターマンのボヤッキー、老いてるw
男にはおじいちゃんになっても元気なままの人がいるが、女にはおばあちゃんになったらより元気になる人がいたりして、小原さんはどうもその類の人らしい。
変わらぬトンズラー、老いたボヤッキー、なぜか三十年前より元気なドロンジョ様、という形になってしまっているため、ドロンジョ様中心の歌になってしまっている。
だからダメだ、というつもりは毛頭ないが……やっぱりボヤッキー老いたなー。特に三番のアドリブに入るとき、一瞬間ができるあたりに「ぼくちゃんもう息が続かないわよ」という雰囲気がビンビンに漂っていて、そこが切なくてむしろ良い(マニア的に)

・ドクロベエさまに捧げる歌'08
これは一発でわかる違いっぷり。
なにがちがうって、ボーカルがまずちがう。原曲では山本先生のソロにドロンボーのセリフが入ってくるという形になったのだが、今回のはドロンジョがメインボーカルで、二人がサイドボーカルになっている。
当たり前のことなのだが、歌唱力という点では山本>小原というのはどうしようもない事実であって、正直、ドロンジョ様のソロボーカル部分ってどうなの?w というのが根本にある。声がもうぶれるぶれるw
あと、地味に山本先生は哀愁を歌うのがかなり上手いというのもあるし、それを切々と歌い上げながら最後がダジャレというくだらなさがこの歌の辛いけど笑っちゃう的なポイントになっていたのだが……
小原さん楽しそーだなーw
いやね、新作の第一話からずーーっと思ってたことだが、小原さんはドロンジョを愛しすぎw だれよりも喜びすぎw 基本的にテンション高すぎw
なので、今回のこの曲は、ドロンジョ様は嬉しそうだなー、という印象ばかりが残る珍曲にw
三番のボヤッキーのセリフ部分、原曲では元気に「つかれたわよー」だったのが、しみじみのんびりと「つかれ、た」なのが本当におじいちゃんの照れ笑いみたいで愛しいが、疲れすぎだと思うw

・ドロンボーのなげき唄'08
これは基本は変わらないんだが、少し淋しい感じに。
というのも、なんか妙にアドリブセリフが少ないのだ。
原曲では合間合間にボヤッキー&トンズラーがドクロベエ様に噛みつきまくりでそこが歌詞で歌っている建前と本音みたいで面白かったし、嘆いているようでめげていないボヤトンらしくて良かったのだが、このバージョンでは本当に疲れて嘆いているな、二人が。ある意味、歌詞に忠実になったので、こちらのが正しいのかもしれないw
一番の変更点は、曲の合間にはいる嘆きブタの声が故・富山敬さんから山ちゃんにかわったこと。
この山ちゃんへの必然的変更も、曲の雰囲気を変える一因になっている。
これは普段のナレーションからそうなのだが、山ちゃんは優しく演じている。ヤッターマンにもドロンボーにも優しく接しているのだ。若手と大御所の間でたった一人の橋渡し役、というポジションが自然とそういう演技にたどりついたのかもしれない。
この曲のなげきブタもまた、妙に優しい。ちゃんとドロンボーたちを可哀想だと思ってそうなのだ。
「それのどこがおかしいの?」と思うかもしれないが、旧ナレーションの富山さんは、その声の優しさとは裏腹に、人を食ったような演技でナレーションやブタを演じていた。
要するに「かわいそかわいそ」と云いながら、その実バカにしていたのだ。その皮肉な笑いが、視聴者の子供たちに「あ、この三人の苦労を笑ってもいいんだ」という気持ちを作っていたのだ。まあ、はっきりいって、意図したものというより半分天然だったんじゃないかという気もするんですけど。
そういう意味で、こまやかな感情を表現できすぎる山ちゃんは、ちとなげきブタの役者としては「上手すぎる」かな、と思った次第。
で、そのアドリブの少なさ、ボヤッキーのつかれ、山ちゃんの優しさがあいまって、本当になげき唄になっているw
うーむ、細かなところでずいぶんと違ってくるのだなあ。
あと、なげきブタの音量はさすがに小さすぎないかしら?w

・さんあく30年-君を離さない チュッ☆
再会を約した曲が、再会を祝した曲として生まれ変わった。
歌詞もメロディーもそのままでありながら、切なさよりも力強さを感じられる、原曲に優るとも劣らない名曲だ。やはりこれはなんとしても聞いて欲しい。
しかし秋冬春夏三十回まわったら、さすがにボーイでっかすぎるだろうw

・おまけのDVD
DVDでは『天才ドロンボー'08』の録音というシチュエーションで、ドロンボーの三人が国分寺のスタジオでうたう姿を描いた書き下ろしアニメを、08年版ヤッターマンの既存映像と組み合わせて流すという趣向。
新規作画を少々くわえたMADアニメ、といってしまえばわかりやすいか。
これは、非常によろしい。楽しげに録音にのぞむドロンボーの姿も良いし、既存の映像を歌詞やメロディーにうまいことあてはめている。OPを見てもわかることだが、この辺のメロディーにあわせたカット割(でいいのか?)に関しては、新作ヤッターマンは非常に良い製作者に恵まれている。
一曲だけというのがさみしいくらいで、せめてあともう一曲分くらいミュージッククリップがついていたらなあ。ともあれこれは必見。


原曲を知っている人間は聞き比べる楽しみがあり、知らない人間なら原曲に劣らぬ名曲を楽しめる一枚だ。
が、しかしやはり値段設定には少々疑問がある。
なにせもう少しだけ金額を上げれば、原曲がすべて入ったフルアルバムが手に入ってしまうのだ。いくらDVDがついてくるとはいえ、五曲で2500円という値段設定はいかがなものだろう?
別に旧作からのおっさんファンとしてはさして痛くもない金額だが、やはり良い子のみんなに聞いてもらってこそのヤッターマン。
これを1500円くらいで出してくれていたら、絶賛していたんだけどなあ……というのが正直な感想。
しかしまあ、おっさんおばさんのファンは、深くかんがえるまえに購入して、懐かしく聞き入ったりぶつくさぶつぶつぼやいたりしてみよう!



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