伊賀忍法帖―山田風太郎忍法帖〈3〉 (講談社文庫)山田 風太郎講談社このアイテムの詳細を見る |
時は戦国、狡猾かつ俗悪な性で知られる松永弾正は、主家の夫人である右京太夫を欲していた。
そんな弾正のもとを稀代の幻術師である怪人、果心居士が訪れる。
果心居士は弾正の望みをかなえてやると云い、彼に七人の僧を貸し与えた。かれらこそ、果心居士の術を直伝された根来の忍法僧であった。
僧たちは美女を集めて犯し狂わせ、その愛液を煮詰めたものをもって強力な惚れ薬を作り始める。犠牲者の中には、伊賀を抜け出し駆け落ちした若者、城太郎とその恋人もあった。
仇を討つことを誓った城太郎は、単身、七人の怪僧に挑むのだが……
相変わらずのハッタリが効いていて、しつこいながらもどこか無邪気なエログロ展開がむしろほほえましいのは、やはり乱歩の系譜だからか。
根来の忍法僧は不気味できんもいし、その能力も面白い。
一方で、松永弾正という、戦国にあらわれた一人の魔人を題材にしているところも面白い。
しかし、面白くはあるのだが、その松永弾正のくだりと伊賀対根来のくだりが、ちと分離しているというか、弾正の強力なキャラにちと余計にひっぱられてしまったかな、というところがある。たしかに、題材として面白い人物ではあるのだが。
また同時に、柳生新佐衛門という男が、最初と最後だけおいしいところをもっていくのが釈然とせず、いったいこりゃなんだ?と思ってしまった。
忍法帖シリーズとしては中期の作品で、だからいろいろ変化球を入れようとしたのだろうけど、ちょっとうまく消化しきれていないかな、という気がした。
ものすごい高い木から振り子運動でおちてきて、さらに体術で勢いを増し串刺しにするのが「OH!NINJA!」という感じでカッコよかった。
あと根来忍者は女の陰毛を糸代わりに手術したり、女の月経に紙をひたして武器にしたりとかして……汚いなさすが忍者きたない、と思った
でもまあ、基本的には面白かった。
風太郎のハッタリの利かせ方はうさんくさくてクセになるなあ
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