うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

新宿バビロン  栗本薫  う

2010年01月12日 | 栗本薫
2003年にJUNEが創刊25周年を迎えたときに付録としてついてきた栗本薫オンリーの小冊子。
四十七歳のエリート課長が気がついたら同僚と寝てしまった『タンゴ・ロマンティック』
若き助教授かヤクザに脅され犯される『タトゥーあり』
美貌のAV男優がほれてるAV男優のためにホモAVに出ることになった顛末『セルロイド・ロマンス』
以上三篇を収録。

『タトゥーあり』は以前に続編も含めて感想を書いたので割愛。
『タンゴロマンティック』はまず主人公たちがどっちもおっさんにも見えなければ仕事をしているようにも見えない。そして初期設定からなにも話がすすまず、ずっと主人公が「おお、なんという」と云っているだけの話だった。とにかくこのストーリーのなさは罪だな。陳腐とかつまらないんじゃなくてないんだもの。このストーリーのなさの前には「四十七歳のエリート課長」とかもはや問題にならない。いいからストーリー作れ。
『セルロイド・ロマンス』は、この作者はAV見たことないのかなと云いたくなるほどに、というか確信できるほどにAV業界っぽさがまるでなく、やたらちんちんちんちんうるさい主人公含めてとにかく萎える。やたら「極悪」と云っている美少年AV男優が、どう極悪なのかというエピソードがなにひとつなく「とにかく極悪」と短い文中に何回も繰り返されているさまは壊れかけのレディオとしか云いようがなく、きっとこの作品の楽しみ方がわからないのはぼくの体が昔より大人になったからなのだろう。
とにかくやはり「おおなんという。あとちんちん」ばかりの繰り返しの作品で、ちんちんという言葉しか読後に残らないちんちん小説。
他二作にもましてストーリーと呼ぶべきものがなく、こんなものは2Pあれば書けるだろうとげんなりした。

とにかくBLとしてはエロシーンがありえない&誰得の萌えなさだし、やおいとしては各キャラの関係性が凡庸かついいかげんで、JUNEとしては文章も心理描写も薄っぺら区いいかげんすぎてもはやいかんともしがたい。こんな作品を世に出しておきなからBL批判とか、BLに謝れと云いたい。云いつづけたい。
昔の栗本薫なら、こんなひどい設定からでもそれなりに読後感の良い秀作を生み出していただろうに、才能の枯渇とは悲しいものだと痛感した。この15年位前にやった一人きりでの栗本薫特集の号と比べるとその差は歴然。
とにかくここまで恥ずかしいうえに燃えないホモははじめて。
全力でみなかったことにしたい。

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