うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

森の魔獣に花束を  小木君人  う

2014年05月25日 | 読書感想
ぼくがんばってるのに騙されて森に捨てられちゃって魔獣に襲われて可哀想なんだけどよくみたら魔獣が全裸の少女でお絵かきしてあげたら仲良くなったからぼく幸せですラッキー。という話。


あとがきでDSソフト『世界樹の迷宮』に出てくるモンスター少女から着想して書いたとあるが、本当にまるっきりゲームの二次創作としか思えない世界観で、地の文にスピード感だのカオスだのでてきて文章から世界観を構築しようという意思がまるでないのがいっそ清々しかった。とはいえ、身の丈にあった文章ともいえるので、漫画感覚と思えば突っ込むほうが大人げないのか。
ストーリーは本当に化け物が美少女だったからオッケーという内容で、ほかに大きな話はなにもなく、盛り上がりどころもほとんどない。人間ともののけが戦わない『もののけ姫』のようなものか。これで文庫一冊はさすがに厳しかった。普通なら50Pで十分、文の密度が薄いことを考慮しても文庫半分で十分すぎる内容。薄すぎる。
ボーイミーツガール物は鉄板の需要で、化け物との恋愛物も手堅い需要がありながら供給が少ないジャンルではあるので、それでOKなのか。紅玉いづきのデビュー作「ミミズクと夜の王」もほとんどおなじような概要だったしな(ただあちらは女性作家らしく、いじめられっ子描写の可哀想でしょ感が良くも悪くも念入りだった)
まあ、ぼくも化け物と心を通わせる話は嫌いじゃない。むしろ理想の作品を常に求めている。でもこの作品は化け物少女の化け物感が足りなすぎてこれじゃ全然満足できないよ! これ単によくわからん蔓がついてる美少女じゃん! 全然人間を捕食している感がないよ! 人間と異なる価値観で生きてる存在って感じがしないよ!
まあ、この辺は自分が無駄にこだわりをもっている部分だから口うるさくなるだけで「モンスター少女いいよね」と普通に受けいれられる人には問題ないんだろうな。

ゲームの一イベントだと思うと「悪くないね」と思っていただろうが、小説として読むには辛かった。その一言に尽きる。ゲームと小説で謎の壁を設けているお前が悪いといわれれぱ返す言葉もない。

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