亡父は生前、よくこんな独り言を発していた。
「バーカヤロー!」
家族で食事をしていたりテレビを見ていたり、そんな時に突然皆を前にして「バーカヤロー!」とやるものだから、母も兄も私も、その都度驚かされてしまっていた。
そんな父に母は「誰がバカやのん? 何でバカやのん? びっくりするやないの、いつもいつも!」とぼやいていたが、母にそう突っ込まれても、父はいつも苦笑いをするばかり。結局その真意は分からないまま父は逝き、16年が過ぎた。
最近、妻がパートに出始めて、部屋で独りになることが多くなった私……。
「バーカヤロー!」
……と、ついつい亡父とまったく同じ独り言を言ってしまっている自分に気がついた。
分かった! ようやく理解できた。亡父の「バーカヤロー!」は、他人に向けられていたものではなく、自分自身に向けてのものだったのだ。
今日発した言動や、昔々の行動に至るまで、自分自身の不甲斐なさを反省する気持ちが、ついつい「バーカヤロー!」という言葉になって口から洩れた、言わば自虐的ともとれる、独り言だったのだ。
まったく、親の心子知らず。父が亡くなって16年……。知らなかったよ、お父さん……。
あ、そう言えば……、父の日は、一週間前の日曜日であったな……。
バーカヤロー!
「バーカヤロー!」
家族で食事をしていたりテレビを見ていたり、そんな時に突然皆を前にして「バーカヤロー!」とやるものだから、母も兄も私も、その都度驚かされてしまっていた。
そんな父に母は「誰がバカやのん? 何でバカやのん? びっくりするやないの、いつもいつも!」とぼやいていたが、母にそう突っ込まれても、父はいつも苦笑いをするばかり。結局その真意は分からないまま父は逝き、16年が過ぎた。
最近、妻がパートに出始めて、部屋で独りになることが多くなった私……。
「バーカヤロー!」
……と、ついつい亡父とまったく同じ独り言を言ってしまっている自分に気がついた。
分かった! ようやく理解できた。亡父の「バーカヤロー!」は、他人に向けられていたものではなく、自分自身に向けてのものだったのだ。
今日発した言動や、昔々の行動に至るまで、自分自身の不甲斐なさを反省する気持ちが、ついつい「バーカヤロー!」という言葉になって口から洩れた、言わば自虐的ともとれる、独り言だったのだ。
まったく、親の心子知らず。父が亡くなって16年……。知らなかったよ、お父さん……。
あ、そう言えば……、父の日は、一週間前の日曜日であったな……。
バーカヤロー!