3区分審理 3殺人事件 裁判長期化、裁判員の負担軽減も残る課題(産経新聞) - goo ニュース
※引用
3区分審理 3殺人事件 裁判長期化、裁判員の負担軽減も残る課題
2011年10月23日(日)08:00
(産経新聞)
■複雑化する量刑判断
異なる3件の事件で起訴された被告の裁判で、裁判員が事件ごとに入れ替わる「3区分審理」と呼ばれる裁判が仙台地裁(鈴木信行裁判長)で行われている。24日からは2件目の事件の審理が始まる。3件の審理全体に約3カ月が費やされる見通しの長期裁判。裁判員の負担を軽減するためのものだが、課題もありそうだ。
◆あすから“第2局”
3区分審理が行われているのは、平成11~16年にかけて3つの殺人事件に関与したとして殺人罪などに問われた無職、菅田伸也被告(33)の裁判員裁判。
「殺害の事実、共謀については断固否認します」
9月26日に開かれた初公判。長期審理は菅田被告の無罪主張から始まった。
菅田被告が起訴されたのは、11年の殺人(第1事件)▽16年の強盗殺人(第2事件)▽12年の保険金殺人(第3事件)-という3つの事件だ。
殺害の事実についてほぼ争いがない第3事件を除き、菅田被告は殺害の共謀や現金強奪への関与などを否定。凶器などの直接証拠も乏しいため、裁判員は罪が成立するかどうかも含めた難しい判断を迫られることとなった。
◆書面で引き継ぎ
菅田被告の公判に適用されている区分審理では、裁判官3人は3事件すべての審理を担当する。一方で、裁判員6人は事件ごとに毎回選任される。審理を切り分けて、裁判員の負担を軽減するのが狙いだ。
区分審理は裁判員制度導入に併せて設けられた。これまでにも、大阪地裁で開かれた元プロボクサーの強盗致傷事件や、裁判員裁判で初めて死刑判決=確定=が言い渡された横浜地裁の強盗殺人事件などに適用された。
ただ、従来の区分審理は「2区分」で、「3区分」となるのは今回が初めて。従来以上に審理が長期化し、裁判員の量刑判断も複雑化するのは確実だ。
今回の場合、第1、2事件の裁判員が下すのは、有罪か無罪かのみを判断する部分判決。その後、第3事件の裁判員が前の2つの事件の審理内容を考慮した上で、有罪かどうか、有罪であれば最終的な量刑を裁判官とともに決めていく。
第1事件について仙台地裁は今月6日、首謀者とされる笹本智之受刑者(37)=無期懲役が確定=の証言に「全体として不自然さが残る」と指摘。無罪の部分判決を言い渡した。この審理結果は、書面などで次の裁判員に引き継がれることになる。
◆「趣旨から外れる」
裁判員の負担軽減を目的にする区分審理だが、問題点も指摘されている。
菅田被告への最終的な判決言い渡し予定は12月20日。初公判から数えて約3カ月という、裁判員裁判としては前例のない長期日程となっている。
青山学院大学法科大学院の新倉修教授(刑事法)は「1つの審理が終わると、次の審理に備えて書面整理などの時間が必要になるため、結果的に長期化する」と、区分審理のマイナス面を指摘する。
また、最終的な判決を決める第3事件の裁判員は、第1、2事件の審理結果も考慮する必要がある。新倉教授は「自分が法廷で見聞きした証拠をもとに判断するという、裁判員制度の趣旨から外れるのではないか」と疑問符を付ける。
元最高検検事の奥村丈二中央大学法科大学院教授(刑事法)も、「見てもいない事件を含めて結論を出さねばならない上に、量刑を言い渡すことになる裁判員の心理的負担は重いだろう」とおもんぱかった。
裁判員制度一般の違憲性よりは、区分審理の違憲性のほうが争えそうな感じですね。
それにしても、「第2局」 は ないでしょう。
※引用
3区分審理 3殺人事件 裁判長期化、裁判員の負担軽減も残る課題
2011年10月23日(日)08:00
(産経新聞)
■複雑化する量刑判断
異なる3件の事件で起訴された被告の裁判で、裁判員が事件ごとに入れ替わる「3区分審理」と呼ばれる裁判が仙台地裁(鈴木信行裁判長)で行われている。24日からは2件目の事件の審理が始まる。3件の審理全体に約3カ月が費やされる見通しの長期裁判。裁判員の負担を軽減するためのものだが、課題もありそうだ。
◆あすから“第2局”
3区分審理が行われているのは、平成11~16年にかけて3つの殺人事件に関与したとして殺人罪などに問われた無職、菅田伸也被告(33)の裁判員裁判。
「殺害の事実、共謀については断固否認します」
9月26日に開かれた初公判。長期審理は菅田被告の無罪主張から始まった。
菅田被告が起訴されたのは、11年の殺人(第1事件)▽16年の強盗殺人(第2事件)▽12年の保険金殺人(第3事件)-という3つの事件だ。
殺害の事実についてほぼ争いがない第3事件を除き、菅田被告は殺害の共謀や現金強奪への関与などを否定。凶器などの直接証拠も乏しいため、裁判員は罪が成立するかどうかも含めた難しい判断を迫られることとなった。
◆書面で引き継ぎ
菅田被告の公判に適用されている区分審理では、裁判官3人は3事件すべての審理を担当する。一方で、裁判員6人は事件ごとに毎回選任される。審理を切り分けて、裁判員の負担を軽減するのが狙いだ。
区分審理は裁判員制度導入に併せて設けられた。これまでにも、大阪地裁で開かれた元プロボクサーの強盗致傷事件や、裁判員裁判で初めて死刑判決=確定=が言い渡された横浜地裁の強盗殺人事件などに適用された。
ただ、従来の区分審理は「2区分」で、「3区分」となるのは今回が初めて。従来以上に審理が長期化し、裁判員の量刑判断も複雑化するのは確実だ。
今回の場合、第1、2事件の裁判員が下すのは、有罪か無罪かのみを判断する部分判決。その後、第3事件の裁判員が前の2つの事件の審理内容を考慮した上で、有罪かどうか、有罪であれば最終的な量刑を裁判官とともに決めていく。
第1事件について仙台地裁は今月6日、首謀者とされる笹本智之受刑者(37)=無期懲役が確定=の証言に「全体として不自然さが残る」と指摘。無罪の部分判決を言い渡した。この審理結果は、書面などで次の裁判員に引き継がれることになる。
◆「趣旨から外れる」
裁判員の負担軽減を目的にする区分審理だが、問題点も指摘されている。
菅田被告への最終的な判決言い渡し予定は12月20日。初公判から数えて約3カ月という、裁判員裁判としては前例のない長期日程となっている。
青山学院大学法科大学院の新倉修教授(刑事法)は「1つの審理が終わると、次の審理に備えて書面整理などの時間が必要になるため、結果的に長期化する」と、区分審理のマイナス面を指摘する。
また、最終的な判決を決める第3事件の裁判員は、第1、2事件の審理結果も考慮する必要がある。新倉教授は「自分が法廷で見聞きした証拠をもとに判断するという、裁判員制度の趣旨から外れるのではないか」と疑問符を付ける。
元最高検検事の奥村丈二中央大学法科大学院教授(刑事法)も、「見てもいない事件を含めて結論を出さねばならない上に、量刑を言い渡すことになる裁判員の心理的負担は重いだろう」とおもんぱかった。
裁判員制度一般の違憲性よりは、区分審理の違憲性のほうが争えそうな感じですね。
それにしても、「第2局」 は ないでしょう。
張振海事件に関して「相手国へ身柄を引渡す事は正当である旨時間をかけて説明したのに一切記事にはならなかった」という旨の愚痴を、親族・相続法の授業で聞いた覚えがあるんだよな。
やはり、複数の意見が掲載されている割には方向性が似ている場合、記者による取捨選択があったものと推定してしまいます。