弁護士法人かごしま 上山法律事務所 TOPICS

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志布志の人権を考える会

2007-03-12 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
朝日新聞のマイタウン鹿児島の記事からです。

※引用
12人無罪 600人で支えた市民団体会長

 03年県議選に絡む公選法違反事件で被告とされた12人の無罪が10日、確定した。県警や地検という権力を相手に12人が4年近くも闘い続けることができたのは、無実を信じて支援してくれた人たちの力も大きい。600人の会員がいる市民団体「住民の人権を考える会」の会長で、志布志市にある専念寺の住職、一木法明さん(71)は、12人にとって精神的支柱だった。「一つの区切りを迎え、ようやく重い荷物を下ろすことが出来た」と笑顔を浮かべた。

始まりは一本の電話だった。
 03年6月初旬のある日、午後11時半ごろ。檀家(だん・か)の谷田則雄さん(69)から電話がかかってきた。力のない疲れた声で「選挙違反容疑で何日も取り調べを受けている。体も心もズタズタです」。
◆警察への疑惑の目
 「もらったのなら、正直にそう言えばいい」と言う一木さんに、谷田さんは「もらってない」と反論した。「真実を貫くための修行だと思って頑張れ」と励ました。
 約20日後、谷田さんは逮捕された。「裏切られた」。正直なところ、谷田さんを疑った。
 一木さんは元中学教師。住職を務める専念寺は、事件の舞台となった志布志市の四浦地区から車で20分ほどのところにある。逮捕者の中には檀家(だん・か)が数人いた。
 谷田さんの逮捕数日後、残された逮捕者の家族たちの話し合いに参加した。「父は何もやってない」「母は警察に『死ね』と言われた」。口々に泣きながら訴える家族たちの姿があった。「ひょっとしたら強引な取り調べがあったのかも」。初めて警察を疑った。
 四浦地区を視察に来た県議らのアドバイスで、同年8月25日、「考える会」を結成した。周囲に押されて会長に。同市文化会館で行われた発足集会には500人以上が参加した。
 「県警の捜査は人権無視。真相を究明したい」とあいさつすると、会場は拍手であふれた。その拍手の大きさが、背中を押し続けてくれた。
 年会費500円を納入する会員は約600人にのぼった。だが、苦悩は尽きなかった。

◆消えた不協和音
 「寺の住職が犯罪者の片棒を担ぐのか」
 「行き帰りは気を付けて下さい」
 匿名の投書が届き、無言電話の嫌がらせが何本もかかってきた。自宅周辺には不審な車が度々姿を現した。
 気味が悪かった。だが、人とかかわる職業柄、多少の嫌がらせで引き下がったら後悔すると思った。「被告にされた人たちの方がもっとつらいだろう」。妻(68)とふたりの胸の内に収め、嫌がらせに耐えた。「警察に裏切られた彼らを救えるのは『考える会』しかない」
 12被告の間の当初の不協和音も大きな悩みだった。「お前が自白しなければ」「お前が立候補さえしなければ」。被告の間を飛び交う言葉に心を痛めた。集会を開く度に、募る思いを発表させ、12人の顔を見るたびに声をかけ、公判のたびに裁判所にできる限り足を運んだ。被告たちは徐々にまとまっていった。
 2月23日。「無罪」が言い渡された瞬間、鹿児島地裁の傍聴席で思わず右手の拳を突き上げた。「やった!」。気がついたら叫んでいた。
 「静かに」。裁判長に注意されたが、法廷を包む拍手の中で、肩の荷が下りるのを感じた。

◆「可視化」めざす
 4年という年月は、一木さんにとっても長かった。12人に直接謝罪する意向のない県警については「人として許されない。無実の人をつかまえた事実が明らかになっているのに、謝らないのは人の道に反する。青少年を指導するべき警察が謝罪の心をもっていないのは悲しい」。さらに「県警のいう『安心・安全』のまちづくりを自分で壊してしまっている」。
 取り調べの可視化が実現するまで、頑張るつもりだ。「可視化発祥の地」と刻んだ碑を四浦地区に、建立する。
 それが次の目標だ。


 裁判に耐えたえん罪被害者の皆さん。弁護団の先生方。それぞれご苦労も大きかったと思います。しかし、この4年間を支えたのは、一木会長をはじめとする人権を考える会の活動だったと思います。やはり、とくに事件の当初は、逮捕=犯罪者という考えを持つ人たちの目は厳しかったと思います。おかしいものをおかしいといえるバックボーンとして人権を考える会の存在は大きかったと思います。
 川畑さんの活動にしろ、人権を考える会の活動にしろ、本来弁護士会が取り組むべきことを弁護士会以上のパワーでやっていらっしゃる。頭が下がります。
 記事の最後に書かれている目標、実現させたいですね。


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
最悪の組織です (地元民)
2007-03-14 21:35:03
県警及び地検、最低最悪の犯罪組織です。彼らの行った事は明らかな犯罪行為です。某大物県議の一声で当選議員をむりやり引きずり下ろし、逮捕。警察及び地検事自体が公職選挙法違反を行っていたのですから。謝罪する意向も全然ないみたいだし。金に転ぶ薄汚い鬼畜以下の鹿児島県警、地検だと断言します。今回の一件で十分に警察の恐ろしさが理解出来ました。彼らは市民の味方どころか暴力団以上に悪辣な組織であることを。そして市民の敵である事を。
最悪組織 鹿児島県警地検 (地元民)
2007-03-14 21:36:01
県警及び地検、最低最悪の犯罪組織です。彼らの行った事は明らかな犯罪行為です。某大物県議の一声で当選議員をむりやり引きずり下ろし、逮捕。警察及び地検事自体が公職選挙法違反を行っていたのですから。謝罪する意向も全然ないみたいだし。金に転ぶ薄汚い鬼畜以下の鹿児島県警、地検だと断言します。今回の一件で十分に警察の恐ろしさが理解出来ました。彼らは市民の味方どころか暴力団以上に悪辣な組織であることを。そして市民の敵である事を。
コメントありがとうございます。 (ueyama)
2007-03-15 08:57:26
地元民 さま、コメントありがとうございました。たしかに権力側による犯罪ともいえる事態です。こういう事態を取締る方策が制度的にはありません。地道な方法ですが、県民、市民の声を高めていくしかないと思います。また、コメントの中の「金に転ぶ」という分かりやすい動機だと良いのですが、功名心とかいろいろ分かりにくい要素が絡み合っているようにも思えます。いずれにしても、「最悪組織」の汚名を晴らすためには、徹底した調査とその結果公表しかないと思います。果たして、彼らにそれだけの危機意識があるかどうかが一番問題かもしれません。
裏があるのかなぁ! (ゴンゴン)
2007-03-19 22:41:36
地元民さん、これは聞き捨てならぬことを、もし「某大物県議と警察とが汚い関係で仕組んだ事件」だったとしたら・・・、これこそ真実を暴けば "大手柄" となるでしょうに! これを警視クラスの腕利きが "功名心" じゃなくて "公徳心" で取り組んでもらいたいですね。

なんなら退職を返上して現場復帰、真相を暴いてくれたら(真相に一番近い所におられたはずですので)地に落ちた県警の信頼回復に、長年お世話になった職に対して恩返しもできましょうに!

信頼回復には
①徹底的に真実を調査すること
②それを包み隠さず県民に示すこと
③法的に裁きを加えること
④謝罪し、悔い改めること
が必須条件でしょう!

これができないようなら、やらないのなら何かやましい裏があるのかも。
金が絡んだ黒幕関係の可能性をも想像してしまいます。

ところで利益誘導とかが得意な大物さんとかがいらっしゃるのでしょうかねぇ?
というか、やはりそういう人が議員になるのでしょうかねぇ??

いずれにせよ、有権者はもっと大きな視野で投票すべきだと思います。汚れた人はどんなに技量、功績があろうと、利をもたらそうと、わたし的には避けたいですね。
そうすれば、選挙違反もなくなるでしょうに!!
(オット、話がずれちゃいました。)

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/matome/muzai/mu_07022501.htm
↑こんなことでしょうか?
コメントありがとうございます。 (ueyama)
2007-03-20 09:11:31
ゴンゴンさま、コメントありがとうございます。
弁護士の立場を離れて、県民(納税者)の立場で言えば、ゴンゴンさまのコメントのとおりだと思います。
これだけ、マスコミに内部情報が漏れ出ること自体が珍しいことですし、それだけ現場は不満を抱えているということでしょう。発端については、興味はありますが、推測の域しかでませんので、少なくとも捜査がどのようにして進められたのかは客観的な検証が必要です。
今朝の朝刊の久我本部長及び県知事の記事を見ても、これで「謝罪」と考え、処分も「厳しい」としていることでまあ、自浄作用が期待できないことが明らかになりました。残念です。

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