弁護士法人かごしま 上山法律事務所 TOPICS

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公益通報者保護制度  外部窓口

2016-03-09 | コンプライアンス
内部告発者名、市に伝える 京都、通報窓口の弁護士


公益通報者保護制度の根幹にかかわる問題ですね。

いずれも本人の了承を得ている
ということは、通常想定できないですけどね・・・。

京都という土地柄も影響あるのかもしれませんが・・・。

京都新聞の記事からです。

※ 引用

内部告発者名、市に伝える 京都、通報窓口の弁護士


 内部告発を受け付ける京都市の公益通報外部窓口の弁護士に通報した男性職員の氏名が、市側に伝えられていたことが8日、分かった。市は、外部窓口に通報した場合に「了承なく、市へ氏名が伝わることはない」と庁内に周知しているが、職員は「市に伝わるとは思っていなかった。事前の確認も事後報告もなかった」と批判している。

 2014年度までの5年間で外部窓口に職員が実名で通報した19件のうち、この職員の通報を含む16件の氏名が市に伝わっている。市は、いずれも本人の了承を得ている、としている。

 職員や市によると、児童福祉法違反容疑で児童養護施設の施設長が逮捕された事件で、職員は市児童相談所の対応が遅れたことを訴えるため、昨年3月、公益通報外部窓口にメールで通報した。職員は昨年12月、内部記録を持ち出したとして停職3日の懲戒処分を受け、市人事委員会に「公益通報のためだ」と処分取り消しを求める不服申し立てを行った。

 職員はその間、市の調査時点で自分が公益通報したことを事前に把握されていたとの疑問を持ち、今年1月、弁護士に問い合わせた。

 職員によると、弁護士は伝達を認め、職員の通報メールに「私が通報者だと推認される覚悟はある。市コンプライアンス推進室から私に直接問い合わせていただく方が効率的かとも考えている」と記載していたことを理由に挙げたという。職員は「文面は告発の覚悟を示しただけだ。氏名は市に伝わらないと信じて外部窓口に通報した」と憤る。

 公益通報の外部窓口は、京都市が07年10月に設けた。要綱で「(外部窓口から)市へ氏名の報告は要しない」と定め、職員向けにはチラシなどで「通報者の秘密は守られる」「了承なく、市の職員に名前が伝わることは一切ない」と周知している。了承の確認方法の規定はなく、弁護士の判断に任せていた。

 取材に対し弁護士は「守秘義務があり、答えられない」と話し、市コンプライアンス推進室は「弁護士から了承を得たと聞いている。問題があるとは考えていない」としている。

 <公益通報者保護制度>食品偽装やリコール隠しといった企業不祥事が、内部からの通報で相次いで明らかになったことから、企業や行政・報道機関への通報者を解雇など不当な扱いから保護し、是正する目的で2006年に公益通報者保護法が施行。京都市をはじめ行政機関は通報窓口を設け、処分権限を持つ事業者に関する外部通報と、職員による内部通報を扱う。

■明確な了承が必要

 公益通報制度に詳しい升田純中央大法科大学院教授(民事法)の話 内部告発者の実名を伝えることが、不利益な取り扱いのきっかけになることもある。告発者が明確に了承していない限り、匿名のままにして保護すべきで、あいまいな回答や判断を基に伝えることは許されない。実名の取り扱いについて、告発者と外部窓口で認識が異なること自体が問題であり、公益通報制度の信頼性に関わる。


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