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ミルク

最初に殺されちゃうという結末を見せてしまって、そして過去にさかのぼって、まだ彼が政治家どころか、サンフランシスコに住んでさえいなかったところから。
映画としては、うーん、上手な作りってことなんだろうなぁ。
うたまるさんの言う「興味の持続」って意味では成功しているし、この手の、途中さして盛り上がる場面のないお話だと、この手法は正しいんだろう。たしかに観客は、ずーっとドキドキしながら見てしまう。見ざるを得ない。
でも、と思ってしまったな。
最初に殺されるということを観客に伝え、そして過去に。結果、観客はずーっと「どのタイミングで、誰によって殺されるんだろう?」という、ある意味かなり悪趣味な期待をしながら見ることになってしまう。
だからこそ、観客の興味はちゃんとエンディングまで持続し、映画として成立しているんだけど、やっぱりひっかかる。
人の死を、「こいつどうやって殺されるんだろう」って思いながら2時間の映画を見続けるということが。

こんなことを書いたのも、この監督なのか、脚本家なのか、知らないけど、この映画を作った人が、観客のそのドキドキする気持ちを利用しているような感じがしたから。何度も、
「ついにここでハーヴィーは殺されてしまうんだろうか」と思った。何度も。
映画の作り方としては正解。でも、なんかとても嫌だった。

と映画の作り方についてばかり書いてもしょうがないか。
このミルクって人については、大した人だなって思うし、人として面白いなぁって思う。あれだけのたくさんの人達を突き動かした人物でありながら、結局この人は、最後まで、なんとも普通っぽい、「たまたま僕だった」って感じ。あんな、どうしようもない年下の恋人(もちろん男性)と同棲したり、その相手にやたら翻弄されたり。
政治家になっても、ずーっとこの人は不安定で、そこがチャーミングなところなんだろうなぁ、きっと。

ショーン・ペンは素晴らしい演技。
あの演説のところの、ただ立っているだけの後ろ姿、それだけでゲイっぽいし、握った左腕を振る感じ、しゃべり方、やっぱ役者ってすごいなぁって思ったなぁ。

映画の終わり方も良かった。
彼の意思は、ともに戦った同志たちによって脈々と受け継がれ、そして今、ゲイであることを公言して安心に暮らせるアメリカという国がある、ということ、かな。

ただ、彼がいなくても誰かがいたような気もするんだよな。
彼が全てを変えたというよりも、起こるべくして起こったムーブメントの中心にたまたまいてしまった人の人生を見たというのが、正直な感想。
だって、あんな法案はやっぱりおかしいし、ミルクがいなくても、やっぱりこういうムーブメントは起こって、別の誰かがそれをとりまとめ、そしてやっぱり正しい結果が出たんじゃないかって、そう思ってしまった。
そう思ったのは、この映画でのミルクの描き方がとても謙虚だからかもしれない。
それはミルク本人の遺志かもしれない。

スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「everyday people」が劇中で使われているけど、ミルクは、「僕は決して特別な人なんかじゃないよ。君たちだって僕のように行動をおこせばいいだけなんだよ。」と、そう思っているんじゃないかな。

そんな雰囲気が感じられる、演出、演技、脚本でした。

おしまい。



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少年メリケンサック

面白かったね。
まず、この映画は宮崎あおいの魅力で成り立っている部分が大きい。この人、やっぱりキュートだし、この映画でのキャラ作りも面白いし、いい女優さんだなぁ。
キュートだね、ほんとキュート。

佐藤浩市はあいかわらず、どんな役でも安定してこなすなぁこの人って感じかな。安定しすぎな感じもあるんだけど、相手が佐藤浩市だと思うと監督もある程度以上の常識外の演技は勝手に自主規制して要求できなくなっちゃうんだろうなぁ。そういう意味では、まぁ、この映画の役はなかなか冒険したんじゃないかと思うけど、まだまだポテンシャルはこんなもんじゃない気がするんだよね。この人も、きっと、どんな役でも楽しんでやっちゃうタイプっぽいし、さらにもう2歩、3歩、要求しちゃってもよかったんじゃないかなぁ。

パンクっていうのは、やっぱり一瞬の風みたいなもんで、「初期衝動」とかって言うけど、だからこそ、その最初の「なんかやってやろーぜ!」っていう衝動の時期を過ぎてしまうととたんにつまんなくなっていくのはしかたがない。
で、まぁ、この映画は、25年ぶりに一瞬突風を吹かせられた中年パンクバンドの、その一瞬をとらえた記録映画って感じで、あのエンディングも大変よいのではないでしょうか。

ただ、パンクっていう音楽が、音楽界の歴史においても、社会的な意味でも、その役割はとっくに終わっていると、僕は思っているので、クドカンさんのパンク愛はわかるけど、いまさらパンクバンドを描いた映画っていうのも、どうかと、やっぱり思いましたね。
やっぱさ、今までの常識をぶちこわしてこそパンクなわけだから、「パンクってこういうもの」という常識が完全にできあがっちゃってる現代に、まさにその常識をなぞるような歌詞だったり行動だったりって、それやっぱり最もパンクじゃないことだと、そう思いますよ。

ま、そういう意味で、もはや型にはまったパンクバンドをやることっていうのは、もっともパンク的ではないわけだから、つまりパンクというものはもはや過去のものになっちまってるっていう、ま、そういうことだ。

なんてことは考えてしまいました。
パンクなんて、ほとんど聴かないんだけどね。
クラッシュのダブっぽいのぐらいしか。

おしまい。



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平成狸合戦ぽんぽこ

ジブリで見てなかった作品。
宮崎作品ではない。

うーむ、どうなのかなぁ。
結局は勝てないし、なぜ勝てないかっていうと、人間も生活をしているから。
自然は大切なんてことは百も承知だけど、それでも人間は住む場所が必要だ。
人間対自然ってことで言えば、もちろん自然破壊はよくないけど、一人の生活する人間としては子供が生まれたさあどこかに住む場所が必要だってことになってしまう。
自然は大切、自然は大切と言ったって、じゃあどうするんだ、結局無理じゃないか、ってことがよくわかった人が、そのどうしようもない感じも含めて、実現不可能な絵空事を描くのではなく、無念さや悔しさや徒労感や、そういったものも全部くるめて描いた映画。
結果、痛快なエンターテイメントとは対極の、なんだか当たり前のなんだかリアルすぎる夢の無い映画になっている。
それを良しとするかどうかは、見る人のスタンスしだいかな。
ジブリってだけで、魔女の宅急便やラピュタのような映画を期待してしまったら、そりゃあさぞかしつまらいないだろうけど、まぁ、ひとつの真面目に現実を描いた映画としては良いのではないかなぁ。

という感じ。
やっぱり、「楽しい!」って気分にはなれなかったけど、僕も。

おしまい。
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お買いもの中毒な私!


面白かった。期待していなかったのが良かったのか、かなり楽しめた。
主人公がなにかのためにちょっと無理をして、その無理が結局その後に主人公を窮地におちいらせるという、まぁコメディの基本をちゃんとおさえた作り。
そして、当たり前だけど、主人公が成長して終わるということ。

フィンランド語が得意なんて言っておいて、実際にフィンランド人と対面、とか、もう古典的なんだけど楽しめる。でも、あそこで相手をひっぱたくって、どっかの映画でも見たような気もするが。

ルームメイトが突然キレてしまったような印象なのが惜しかったなぁ。いや、キレて当然なんだけど。あの衣装をなぜか浮浪者のおばちゃんが着ているんだから。でも、このルームメイトの友達は、それまでが寛容すぎだから。それまで主人公の言動について、ちょっとどうかと思うぐらい許して包んでいたから、突然あそこでキレてしまったように見えちゃうんだよな。ほんのちょっと、あのルームメイトにとって結婚式がどれだけ重要なものか、結婚式に主人公がブライドメイトとして出席してくれることがどれだけ意味のあることなのか、っていうことを何かのエピソードで描いておけば、あそこでルームメイトがキレても「突然」という印象にはならなかったと思うんだよなぁ。惜しいなぁ。

みんなで買い物中毒から抜け出そうっていうサークルで主人公が買い物の楽しみを恍惚の表情で語って、それに他の参加者が次々に影響されちゃうシーンが最高におかしい。その後のバーゲン中のショップでの対面も含めて最高だ。

買い物、というかファッションにあそこまでのめり込むっていうのは、やっぱり「買う」という行為に精神的に依存している状態って気がするので、他にしっかりとしたものを見つければ依存する必要がなくなって、この映画のエンディングのように足を洗えるんだろうか。
主人公が何で次々に買うのかを語る言葉が、けっこう真実を突いている気がして、それがこの映画の単に楽しいだけじゃなくてけっこう深い映画っぽいところだろう。普段の生活はつまんない、素敵な洋服は夢、買えば夢が手に入る、でも夢は長続きしない、だからまた夢を手に入れるためにすぐにまた買ってしまう、というような話。

あー、面白かった。
演出は総じて大げさ過ぎる感じだけど、うん面白かった。




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THIS IS IT

マイケル・ジャクソン。

リハーサルの時の映像だけをつなぎあわせて、よくぞここまでちゃんとした映像作品に仕立て上げたものだ。
このわずか数日後に亡くなってしまうなんて、とても思えない、ダンス、歌、そして、コンサート全体をプロデュースするエンターテイナーとしてのポジション、牽引力。
やる気まんまんじゃねーか、マイケル!

正直言って、僕は、死んでしまったという結果から勝手に逆算して、リハーサルなんかももう、かなり体調的にギリギリで、はぁはぁ息切れしながら、何度も何度も休憩はさんで、周囲も「ほんとにこれでロンドン公演なんて出来るのかよ?」ってあきれているような、そんな状態だったんだと思い込んでいた。

いやー、全然踊れるし歌えるし、すげーなマイケル。

最初、「死んでしまったマイケルの、死んでしまう数日前までのリハーサル映像を見ているんだなぁ」って気持ちで見ていたんだけど、途中からもう完全に一観客として単純にこのエンターテイメントを楽しんでしまっていて、そして最後にやっぱり「そうだよな、この人、この数日後には死んじゃったんだよな」って思いが戻ってきて愕然としてしまった。そんな映画体験だった。

もちろん、若いダンサーと比べたらダンスにキレが無いということは否めない。
それはでもしょうがないだろう。
いくらカール・ルイスでも、今の若いランナーと100m走ったら負けるに決まっている。その相手が、オリンピックのメダリストじゃなくても。年齢の差っていうのはそういうものだ。
でも、相手の若いダンサー達はみんな、子供の頃からのあこがれのスターと一緒にステージに立てるというだけで興奮しまくっているのだ。
マイケルの輝きというのは、彼がこれまでにたどってきたキャリアが世界中の若い人達に間違いなく大きな影響を与えてきたという事実、それこそが彼の存在を輝かしいものにしているんだなぁ。

そして、単純にとにかくカッコイイのが「ビリー・ジーン」。これ、若いダンサーたちが見ている前で、もうマイケル完全にノリノリじゃないっすか。
どうだい俺かっこいいだろ?と言わんばかりのダンス。
それを大喜びで楽しんでいるダンサー達。
あれは最高の瞬間だなぁ。

けっこう本気で踊ってるビリー・ジーンはすごくかっこいいんだけど、他の曲で、軽~く流して踊っている曲がまたカッコいいわけですよ。
やるな、この50歳。
あとやっぱ、JBばりの足使いもね、かっこいいよね。
横ムーンウォーク+JB足。いいよね、かっこいいよね。

あと、「みんなが聴きたい曲をたくさんやるよ」って言ってたけど、まさかジャクソン5の曲まで入っているとは!
ABC、I'll be there。そうか、そこまで楽しませようと思っていたんだなぁ。
この人は最高のエンターテイナーだよなぁ。
どうしたらファンが楽しんでくれるか、本当に真剣に考えている。
プロだ。

とにかく、50歳のマイケルが、本気でロンドン公演をしっかりと楽しめるエンターテイメントとして完成させようとしていたことがよくわかる。
そうか、こんなすごいコンサートになるはずだったんだな。
全然誤解していた。

この人はやっぱりすごい人だったんだよな。

この人の死とか、いろいろと考えてしまうけど、そんなことよりも、やっぱり単純にダンスと歌とそして演出を全て楽しめる映画でした。

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17アゲイン

頭の中身はそのままで体だけ17歳に戻っちゃうという、まあ、よくあるストーリー。で、17歳になってみると、色んなことがよくわかって、反省して家族を愛する気持ちを再確認して、そして主人公は成長するという、これまたよくある展開。

でも面白かった。
こないだ見たこういうのは、たしか、ママと娘の意識が入れ替わっちゃう映画。なんだっけタイトル?
あとそうだ、大人になっちゃうっていうのはけっこう最近見たぞ。ファッションにあこがれる主人公が大人に物置部屋の中で大人になっちゃって、で、本当に自分のことを大切にしてくれているのは、さえない同級生だったってことに気付く映画。あれー、タイトルなんだっけ? その同級生がトーキングヘッズのバーニングダウンザハウスをかけるっていうのは覚えているのだが。ま、別の映画の話はよいか。

とにかく、意識だけ若い(あるいは大人の)体に入ってしまうことで、それまでは全然見えなかった角度から現実を見ることができて、それと同時に当然いろんなハプニングが起こるからそこではちゃんと笑えてハラハラドキドキもできて、そして主人公が成長して、ジーンと感動できるハッピーエンド、っていうこのストーリーのパターンは王道なんだろうなぁ。
実際、この映画もとても良いのだなぁ。

あと、くだらないけど、あのロード・オブ・ザ・リングスのエルフ語(だっけ)のくだりは、もう吹き出してしまった!わはははは。
あと、ライトセーバーで戦いながら会話するとかさ。ははは。
ああいう小ネタのちりばめぐあいもなかなか良い。

というわけで、楽しめました。

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ニューヨーク1997

この映画って、1981年に16年も未来の1997年の世界を描いた映画。
それを2009年に見るという、なんとも言えないぎこちない感じの鑑賞。

ジョン・カーペンター。これぞ、って感じか。
眼帯だしね。
エスケープ・フロム・LAのほうだけしか見てなかったんだな、俺。
ひょっとしてもう見た映画なんじゃないかって思ったけど、そんなことなかった。
この映画は初めてでした。
カーペンター映画の中でも有名な作品だけど、見てなかったのだな。
家の近所のレンタルビデオ屋に置いてなかったとか、まぁ、そういう理由なんだろうなぁ、きっと。

まず驚いたのが、アイザック・ヘイズが出てること。オープニング映像で名前が出て、いつ出るのかいつ出るのかって、すごく楽しみになってしまった。敵のボスキャラじゃないっすか。いいねぇ。
あと、「夕陽のガンマン」のあのカッコいい人が出てるんだよねぇ。これも嬉しいビックリでした。

映画としてどうかっていうと、この81年に97年を描いた映画を2009年に見るという状況からして、いまいちまともな視点では見れていない感じだったかな。
カート・ラッセルもかっこいいんだけど、まぁ、狭い世界に閉じた映画、それも非常にイビツな監督が勝手に作り上げたてめえ勝手な世界の中でだけ成立するストーリーではあるんだけど、マッドマックスとかと同じで、その世界を認めてしまえば楽しい楽しい映画体験って感じかな。

ま、とにかく、見ておくべき映画の1つではあるんじゃないでしょうか。
愛すべきB級SFアクション映画ってことで。

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おくりびと

この映画について、今さら僕が語るようなことはあまりないだろう。

とにかく、見る前から色んな評判を聞いてるし、どうしたってピュアな目では、もはや見れない。

うーん、そうだなぁ、ヒロスエの「けがらわしい!」はともかく、同級生が奥さんに「あいさつなんてしなくていい!」なんて言うのはやっぱり不自然。いきなりあんな敵対した感じになるかなぁ。あんな風に突然嫌ったりするんじゃなくて、むしろ同級生を心配して「おい、ちょっとだけ話いいか? あのさ、聞いたけど、どうしてあの仕事選んだんだ? 奥さん納得してるのか? もし困ってるなら俺、仕事紹介できるかもしれないぞ。」とか、そういう態度になるんじゃないかなぁ。

というのが、ひっかかったところだけど、きっとこんなこともさんざん他の人が語っているだろうし、僕がこういうところに変にひっかかってしまったのだって、「へえ、賞をお取りになったらしいじゃないですか。本当にそんなに良い作品なんですか?」という、かなり意地悪な態度で見ている証拠なのかもしれない。

ただ、この夫婦は特に金に困っているふうでもないし、あの仕事を自分の意思で選んだのだったら奥さんに相談するのがこの仲良しそうな夫婦の普通とるはずの行動じゃないのかなぁ。
子供が学校でイジメにあうっていうのは、どうだかわからないけど、少なくともその子供自身が自分の親の職業についてポジティブな気持ちで受け入れられるかどうかは微妙なところじゃないかなぁ。この人をこんなに愛している奥さんでさえ、ろくに仕事の内容も知らずに「けがらわしい!」って叫んで家を飛び出したぐらいなのだから、まだ世間のことをよくわからない子供がどう感じるのか、そういうことまで話し合ってどうするのか決めるべきだと思うんだけど。
もちろん職業に貴賎はないでしょう。
この映画が強く語っているのもそのことであると思います。
誰だって死ぬし、死んだ人の体を清めこうしてしっかりと送り出す、それは立派な仕事だと、この映画を見た人ならば、ヒロスエと一緒にそういう風にみんな感じると思うんだけど。
でも、僕がヒロスエだったらやっぱり相談してほしいだろうって思う。
この仕事を選ぶことは、他の仕事を選ぶのとはやっぱり違う。
どうしても月に50万円ないと暮らしていけないっていうんじゃなければ、やっぱりこの仕事がどれだけ立派な仕事なのか、しっかりと伝えるべきなんじゃないかなぁ。

たまたまヒロスエがすごい良い奥さんで戻ってきてくれて、たまたまそのタイミングで銭湯のおばちゃんが死んで、そしてたまたまモックンのお父さんが死んだ、それでたまたまヒロスエはモックンの仕事がどれだけ素晴らしい仕事なのか理解した、たまたま。
そう、たまたま。

なんて文句をつけてしまうのは、ウチはかなり色んなことを激しく議論して決める夫婦だからなのだけど。
男が勝手に仕事を決めてくる、それもあの仕事を。それだけで、僕はこの映画の主人公に共感できない。
だって、ヒロスエが帰ってきてくれなかったら、この主人公ひょっとするとあのままずーっとほったらかしにしてたんじゃない?

納棺師という仕事について、その必要性、仕事そのものの崇高さ、それはよくわかった。そういう意味では良い映画でした。が、だらだら書いたような理由で主人公の行動に共感できなかったなぁ。

おしまい。
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レッド・ダスト

ヒラリー・スワンク。
僕、正直言ってこの人のことあんまり好きじゃないんですけど、この人、僕好みの映画に出たり、この映画みたいにプロデューサーとして映画を作ったりするので、それで結局見ることになってしまうんですよね。
女優としては実は好きじゃないんですけど、映画制作者としては認めているってことでしょうか。この人が選ぶ脚本だったり題材が気になるものであることが多いってことなんですよね。
この映画も、こないだマンデラの看守だった人の映画を見た後に、ツタヤで手にとって興味を持って借りました。
あいかわらずヒラリー・スワンクの険しい顔は好きになれませんけど、この映画はなかなか見ごたえのある良い作品でした。

実際、これほどの目にあっていたのだから、黒人が大統領になって黒人主体の政府が出来たら、それまで抑えていた怒りが爆発して、ちょっと間違えば人数で言えば少数派の白人が多数派の黒人に殴られたり、リンチされたり、殺されたり、家を焼き払われたり、かなりのことが起こってもおかしくないわけで、やっぱりマンデラが率いる新しい政府のすごいところは、憎しみあっていても前には進めないから、過去を水に流すために過去に行った悪いことをそれが殺人であっても洗いざらい全てしゃべれば恩赦を与えるという措置を取ったというところ。憎しみではなく許しこそが必要なのだ、という理念。すごいなぁ。
これはすごい決断だよなぁ。さすがネルソン・マンデラだ。

この映画はそういう今まで知らなかった恩赦の制度を知ることが出来たということではとても良かったし、黒人同士であってもさまざまなことが起こっていて、下手をすれば憎しみあうことになりかねない状況で、そこでもやはり許すことの大切さみたいなものがしっかりと描かれていて、それも良かった。

この映画の中でスティーブが殺されたのが1986年だからね、中学・高校のころミュージシャンたちがサンシティに反対してたり、そんなことでしか知らなかったアパルトヘイト政策だけど、ほんのこないだのことだよなぁ。

今、南アフリカに住んでいる僕と同い年ぐらいの人だったら、物心ついてからずっとこんなひどい差別のある国で育ち、そして途中で制度ががらっと変わって、そして今を生きているんだよなぁ。

さてさて、いよいよ近づいてきたワールドカップ南アフリカ大会、どうなるんでしょうかねぇ。
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ディセント

うわー、こえ~。
割と冷静だけど過去の事故のために心に傷のある主人公。勝手に内緒で計画を変えてしまう友達。その友達はもっとヤバイ感じで何をしでかすかわからない感じ。そしてその他に友達が3人。この人たちは主に犠牲者として初めから登場している感じか。
最初っからいるべくしている人達。

正直言ってこういう映画はものすごく苦手です。
だってこわいんだもん。

あの怪物たちは、何万年も前にあの洞窟に閉じ込められて、だんだんと目が退化して、そのかわりにコウモリのように音(の反射?)で対象物を認識する能力を身につけたっていうことなのかなぁ。で、すっかりあんなふうになってしまってから地上の世界に出る道が見つかったってことか?最初から地上に出る道があったらあんな風には進化しないだろう。目は退化しないほうが種を残しやすいだろうし。ずっと何万年もあの洞窟に閉じ込められていたとして、では地上への道が見つかるまでは一体なにを食べて生きていたのか?ミミズや昆虫やそれこそコウモリとかか。まぁ、とにかくそういうことにしよう。ああいう怪物が実在すると考えないとこの映画は楽しめない。

あのアジア系っぽい顔の女性がとても複雑な立場なんだよな。
最初のラフティング後の陸にあがったシーンでさりげなく主人公のだんなさんとの関係を示し。病院では友達の子供が死んだことではなく、愛する男(=主人公のだんな)が死んだことを知り号泣し立ち去る。浮気をしていた、だからと言ってそんなに悪い人ではないんだろう本当は。
ベス(だっけ)に対してあんな致命傷を負わせてしまったのも、敵だと思って思わず振り回しただけだし、置いて逃げたのだって、あれならどう考えて助からないし、少しでも生きる望みがあるほうに行動が進むのは当然だし。
この映画はタイトルがディセント。この女性はもちろんディセントじゃないけど、結局、この女性をいけにえにして自分ひとり生き残ろうとした主人公もやっぱりディセントじゃなかった、だから主人公もダメだったっていう、そういうエンディングという解釈でよいのだろうか。エンディングがやっぱりちょっとよくわからないなぁ。

僕の期待したエンディングというか、このあとこうなるのかな?って勝手に思ったエンディングは、主人公が血だらけになって友達をいけにえにしてまで出てきて、もう善悪の境目とか全然わからないぐらいに精神的に行ってしまってアドレナリン全開状態なので、あの乱暴に追い越して行ったトラックを追い詰めて、そしてあの怪物たちとまるで同じように、運転手の喉に噛み付いて食いちぎる、そしてカメラのほうを向いてギラリと光る目で自信満々の野生動物のようにニヤリと笑う。それと同時に、ずっと夢に現れていた娘さんの映像が脳裏からフっと消えて、彼女は力強く歩き出す。みたいなエンディング。
どうでしょう。
だって、あのトラックが乱暴に抜いていった時、今の彼女ならばぶっ殺しかねないんじゃないかって本気で思ったので。
ま、勝手に考えたエンディングはどうでもいいか。

比較的低予算で作っているんだろうし、よく出来ていると思うけど、もともとこういう映画は好きじゃないので(こわいから)、もうあと1年ぐらいはこういうのは見なくていい気分ですね。
あーこわかった。



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スプリング・ブレイクダウン

アメリカの学校って1年の区切りが9月から始まるからなのかな、日本だったらこういう学生達が大騒ぎっていうイベントは当然真夏に開催されるわけだけど、アメリカだと4年生はもう卒業しちゃってるし、1~3年生も1年が終わって次の学年が始まるまでの夏の期間って、同級生たちとバカ騒ぎをする季節じゃないんだろうな。
で、春なんですね。

僕が生まれて初めての海外旅行でジャマイカに一人で行ったのは3月だったのだけど、キングストンでコワイ思いをさんざんしたあとに、たどり着いた楽園のようなネグリルのビーチにはまさにこんな感じの朝からビール飲んで大騒ぎしまくるアメリカの学生達がいっぱいだった。こんなにハデじゃなかったけども。

アメリカにとってのジャマイカって、日本にとってのハワイぐらいの感覚で、もっとも身近な海外の南国リゾートなんだろうなぁ。

この映画ではテキサスってことになってるけど、ああいうビーチがあるのかな、テキサスって。

イケてないアラフォー女子3人が、そのうちの一人の上司の指令によりその上司の娘さんの監視のためにこのドンチャン騒ぎのスプリングブレイクに行くっていう話。
バカバカしいんだけど、単純に面白い。
ビーチのゴミを一生懸命ひろうとか、小ネタも満載で笑える。
上司の娘とその友達っていうのが、かつての彼女達のようなイケてない3人っていうのも良くできた設定。
イケてない3人が、かつての自分達のようなイケてない3人の女子に会って、さあ、どうするのか。面白いなぁ。
行った先にもともといて合流するミッシー・パイルがまた、さすがの面白さ。

主人公(?)の女性も、結局最後には「肝っ玉」を見せることに成功し、全てハッピーエンドっていうのが、まあ当たり前のエンディングだけど、やっぱり気持ちがいい。

しかし、こんな映画、どれぐらいの人が見るんだろうか。
感想を書いたブログも見つからないし。ははは。
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キミに逢えたら

「スーパーバッド」と「ジュノ」に出てた、ナイーブな感じの男子が主人公。
適役だな。

青春映画。
で、音楽好きのお話。
青春で音楽と来れば、これはもう好きな組み合わせってことになる。
以外に少ないと思うんだよなぁ。
青春恋愛映画であり、音楽好き達のお話って。
「エンパイア・レコード」(だっけ?)って音楽好き達だったっけ?
「恋しくて」は、主人公がドラム叩いてたけど、ほかの出演者も音楽好きだったっけ?

ま、いずれにせよ、あんまり思い浮かばないぐらい、実は少ない。
なかなか珍しい組み合わせで、とても良い。

この映画、なんか主人公達の行動がリアルなんだよなぁ。
本当の気持ちと、周囲から期待される行動とのギャップがリアル。
本当はこう行動したいんだけど、なんとなく空気に流される感じが。

ニューヨークの夜が舞台だし。
大好きなバンドのシークレットライブを探しまわるっていうのもいい感じだし。
夜のダイナー、朝が来た街、一晩にまとめたのも良い。
一晩の間にいろんなことが起こって、自分の気持ちに気付いて、少し成長した主人公達。

とてもまっとうな青春映画でした。
当然だけど、使われている音楽も良い感じでした。
ひとつ腑に落ちないのは、主人公が参加しているバンドの音が、なんとなくちがう感じなことかな。この主人公と、そしてゲイの友達がバンドを組んで、ああいう曲になるかなぁ。ちがうんじゃないかなぁ。

ま、面白かった。

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恋愛上手になるために

まず何よりも先に言いたいことは、この邦題を付けた奴ぶっ殺す!ってことだ。
バカじゃねーのか。
ふざけんなよ。

このタイトルを見て、なんとなーくそれなりの期待をしてしまって、それでこの映画を見てしまった人が「いい映画を見た」と思うわけないだろ。
つまりこういうことだ。ツタヤの棚で手に取らせレジまで行かせてしまえば、後はどうなっても良いという、そういう商売をしているってことだ。
そういうのは、路上で1時間だけ店を広げて、嘘なんだけど「いいものですよ」って派手に宣伝して何個か売れたらサーっと店を畳んでトンヅラするという、そういうヤクザな商売とやっていることは一緒だ。客が家に帰って買った商品をよく見るとニセモノだったとか、そういう商売。
この邦題がもっと罪なのは、商品である映画そのものは決して悪いものではないってことなのだ。「甘い桃ですよ」って言われて箱にも桃って書いてあるから買ってしまって、家に帰ってさあ食べようって思って箱を開けたら中からゴボウが出てきたっていうような、そういうこと。ゴボウを好きな人でも、その箱の中から出てきたゴボウに対しては憎しみに似た嫌ぁ~な気持ちを感じるだろう。そういうことだ。ゴボウに罪はないのに。
そういうわけで、この映画は、こんな邦題をつけた馬鹿のせいで、日本での評価はおそらく非常に低くなるにちがいないのだ。
まぁ、そんなに素晴らしい映画ってわけじゃないですけど、とにかくこの邦題はヒドイ。

夢の中だけが輝いていて、現実の世界はもうどうでも良いっていう感覚は、ネットの世界にどっぷり浸っている状態とか、ゲームの世界にどっぷりの状態にも似ているし、テーマとしてはそんなに悪くないかなって思う。まぁ、映画としてなんとも微妙ではありました。
微妙な出来の映画だっていうのは、そう思います。
でも、この邦題でなければ、もっと良い映画に思えたんじゃないかと、やっぱり思う。
おいしいゴボウだったって思えたんじゃないかなぁ。桃と思って買ってきてなければさ。

というわけで、この邦題付けた馬鹿、お前のことは許さねえ。覚えておけ。
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バトル・イン・シアトル

シャーリーズ・セロン ミッシェル・ロドリゲス レイ・リオッタ。
これだけの人が出ている映画が、当然のように映画館では上映されず、ひっそりとツタヤの隅っこのほうの棚に2枚ほど。

いや~、良い映画ですよ。
こないだの「ジャマイカ 楽園の真実」でも描かれていたWTO(あの映画では、IMFのほうがメインだったけど)に反対するデモをする人達のお話。
シアトルで実際に起こった事件。
知りませんでしたねぇ、こんな事件。
あれ?1999年の11月末から12月初頭って、俺アメリカに住んでたじゃないか!?
うわー、こんなこと全然知らずにのんきにビール片手にフルハウスとか見て笑ってたんだな。だめだな俺。

WTOもIMFも、一国一国が全く公平ではなくて、牛耳っているごく一部の国の大企業が大もうけするために、貧しい国から根こそぎ搾取するために機能するヒドイ組織、というのがいくつかの映画から僕が学んでしまったことなのですが、合ってます?

ただこの映画に出てくる活動家の人達が、戦う相手はなんでも良い感じなのが気になりました。
亀を守るとか、森を守るとか、IMFとか、捕鯨とか。
え~、とにかくなんでも良いから戦うのか?
こういう人達とIMFとかWTOが相手の時は一緒に行動しつつ、捕鯨は俺ぜんぜん反対じゃないよなんて言うとちゃんと一つの意見として聞いてくれるのだろうか。
なんかねぇ、やっぱり捕鯨が敵あつかいだと気になっちゃうかなぁ。

この映画では、とにかくそういう活動をしている人達イコール正義という視点で語られるんだけど、捕鯨に反対する過激な行動とか見ていると、そこまで全て正義なのかなぁ?って思っちゃうよなぁ。
牛は殺してよくてクジラはダメって、なんでなのよ?
クジラのほうがかしこいから? じゃあ、どれぐらいかしこくないと殺してもOKなの? どこに境界線があるわけ? なんて聞きたくなっちゃうなぁ。

WTOとかIMFとかの、貧しい小国を豊かな大国が搾取し続ける仕組みに対して反対するのはとても共感するんだけどなぁ。

などと、色々考えちゃう映画でもありました。
あの、警官とその奥さんの話を入れたことで、とても深みが増した。
よく出来た映画だと思います。


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キューティー・バニー

キューティー・ハニーではなくキューティー・バニー。
原題は、ハウス・バニー。
寮母=ハウス・マザーを、プレイガール(=バニー)がやるからハウス・バニー。

主人公が憎めない女性で楽しい。

最初、プレイガールの女としてのさまざまなファッション・化粧・その他のモテテクニックで人気が出てハッピーエンドという話かと思って、それだと彼女たちのもとももと持っている魅力を捨てないとダメじゃないか、つまんない話だなぁって思っていたけど、ちゃんと予想を裏切ってくれて、「自分らしさ」こそが大切というエンディングになってて、さすがアメリカの青春映画と思いました。

言ってることがとても真っ当なんだよね。

久しぶりにこんな軽い映画を見たけど、楽しかった。
やっぱりたまにはこういうの見ないとね。
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