レ・ミゼラブル

妻がだいぶ前から「レ・ミゼラブル」を見たいと言っていた。
子供たちも一緒に見に行きたいようだったけど、まだ実写映画はこないだ家で吹き替えで見た「ミクロキッズ」しか見たことがなく、映画館で初めて見る実写映画が字幕でミュージカルで長編というのは、これは無理じゃないだろうか?
大体、小2の子がこの映画の字幕を全部読めるのか?

で、子供たちは「ワンピース」の映画を見たいみたいと言っているので、大人2人で「レ・ミゼラブル」を見ている間に、子供二人で「ワンピース」を見るようにチケットを取った。
うん、これでOKだ。

こんなに有名な作品だというのに、原作も読んでなければ、舞台も見たことがない。
要するに内容について全く知らずに見た。

そうか、こういう話だったのか。
ジャン・バルジャンという名前だけ聞いたことがあったけど。

なるほどねぇ、革命か。
それまでのシステムを根底からひっくり返す新しい考え方。
ジャベールが「法」に則って「罪人」を追い続ける。
「法」っていうのが、まさに「それまでのシステム」。それが正しいと信じて、信じ込まされて皆んなが生きている。
それに対して、ジャン・バルジャンは、まったく別の行動原理で動いている。新しい考え方で。ジャベールにとってはまるで信じられない考え方で。他人を慈しみ正しく生きる、それがジャン・バルジャンの生き方で、それがついにはジャベールを混乱させ追い詰める。

そもそも「法」は本当に正しいのか。
たまたまその時その国でみんなが従うことになっているルール。
飢えて死にそうな妹のためにパン1つを盗むという行動は、悪いことなのか、慈愛に満ちた正しい行動なのか。
窃盗は「法」をやぶるから「犯罪」だけど、「罪悪(sin)」なのか。それがこの映画の大きなテーマなのだろう。
ジャベールは「犯罪」かどうかで全てを判断して生きてきたけど、ジャン・バルジャンは自分のおこなうことが「sin」とはならないように生きている。
ジャン・バルジャンの慈愛に満ちた行動によって、かえってジャベールは自分がこれまで信じて疑わなかったルールに対して自信が持てなくなり追い詰められていく様がこの映画のクライマックス、…だと勝手に解釈しました。

一番印象に残ったのはアン・ハサウェイの歌唱と表情。
1曲を歌う中で、その歌っている内容とともに変化していく表情、本当に素晴らしかった。

大体、アン・ハサウェイにしてもラッセル・クロウにしても、なんでこんなに歌えるんだよ。ほんとすげーな。
ハリウッドでは、やっぱり、歌って踊れてやっとスタートラインに立てるんだろうなぁ。エンターテイメントの世界の層の厚みを感じるよなぁ。

あと思ったのは、歌うシーンで顔のアップが「これでもか!」と多用されるんだけど、それはやっぱり、せっかく映画だし、映画でしかできないこと、舞台ではできないことを最大限生かそうとしたんだろうなぁ。映画ならではだよなぁ。だからあのアン・ハサウェイのあの顔の表情があんなに印象的に見ることができるわけだから。
歌と表情ってことでいうと、エポニーヌ役の女優さんも素晴らしかったなぁ。
っていうか、エボニーヌは、あの夫婦が甘やかして育てた娘だし、どんなイヤな女に育っているのかと思ったら、すっごくいい娘で感動ですよ。あの手紙もね、ちゃんと渡すんだから。いい子だねぇ。おじさん泣いちゃいましたよ。

あと、顔をアップで映すときの、あの被写界深度の浅さが良かったですね。
手前の鼻はピントが合ってるけど、目はもう少しピントがはずれていたりという。
で、ラストのアン・ハサウェイが天使のように出てくるところが、アン・ハサウェイにはピントが合っていないから本当に向こうの世界の人のようで。ふわーっと。美しくて。

この映画で原作や舞台と比べてどれぐらい削られているんだろうか。
ジャン・バルジャンのパンを1個盗むところとか、囚人として過酷な19年間を過ごすところとか、もっと描かれていたのだろうか。あるいは、ジャン・バルジャンとコゼットの逃亡生活とかその中でコゼットがどういう風に生きてきたのかどういう風に育ったのかとか。
そういうのも全部きっちり見たいなぁって思っちゃったなぁ。もともと無いのかもしれないけど。

正しく生きよ! そう言われているように感じたなぁ。
そして、革命を舞台にしたことによって、民衆をとても貧しい状態にしておきながら贅沢な暮らしをしている上流階級の人々やそういう国のシステムに対して「それは正しくない」というメッセージを発しているように感じた。

貧富の差が激しくなり格差社会なんて言われている今この映画が作られ公開されるということに、なにか深い意味を感じました。


正月休みの最終日、酔っ払って書いていたらすごく長くなってしまいました。

そうそう、子供たちはワンピースについて「めっちゃおもしろかったー!!」と言ってました。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« メランコリア フライペーパ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。