つばさ

平和な日々が楽しい

目にもさやかに見える秋の気配といえば、コンビニのおでんか。

2013年08月24日 | Weblog
夕歩道

2013年8月24日


 「秋きぬと 目にはさやかに 見えねども風の音にぞ おどろかれぬる」。藤原敏行が立秋に詠んだ歌。二十四節気で立秋に次ぐ処暑も過ぎたが、暑さが峠を越し、秋の気配とは、とても言えぬ。
 目にもさやかに見える秋の気配といえば、コンビニのおでんか。猛暑の中、おでん商戦が早くも熱を帯びている。実は、おでんの売れ行きが最も良いのは冬ではなく、寒さを感じ始める秋口とか。
 時々、立ち寄る居酒屋は年中、おでんを商う。肴(さかな)がおでんなら、夏でも熱かん一本と。コンビニのつゆは、匂いが店に広がらぬよう薄めの関西風。暑いとばかり言わず、今晩おでんで秋の風情を。

一つの業績をたたえ合う。職場や教室に、尊敬し合う同志は何人いるだろう。

2013年08月24日 | Weblog
春秋
8/24付

 修行僧の顔から、ふと子供の笑みがこぼれた瞬間、国籍も年齢も試合も、どこかに吹き飛んでいった。4千本安打を達成し、仲間が祝福に集まってきた時だった。「記録が特別な瞬間をつくるのではなく、僕以外の誰かがつくってくれる」。イチロー選手はそう語った。

▼初めに驚いた表情を見せたのは、試合を中断してまで皆がぞろぞろと一塁に駆け寄るとは思っていなかったからだろう。試合再開を待つ審判や、相手チーム選手の立ち姿が優しい。イチロー選手の顔は、戸惑いから半泣きに変わっていた。孤高の努力の人だからこそ、皆の気持ちが、すっと心の奥に染み込んだに違いない。

▼自分にはそんな仲間がいるだろうか、と自問してみる。同じ学校に通ったり、一緒に食事をしたり。共に行動する時間が長いほど絆が強くなった気がするが、なれ合いと団結は紙一重かもしれない。ふだん百の言葉を交わすより、常に己を磨き、一つの業績をたたえ合う。職場や教室に、尊敬し合う同志は何人いるだろう。

▼イチロー選手は8年前、投手と対決する打撃技術に自信を深めた心境変化を、こう語っている。「前は相手のミスを待っていたけれど、今は相手のベストを待っている。自分が本当にベストだったと思うためには、自分だけでなく相手のベストも必要だ」。実力で頂点を目指す者にとっては、最高の敵は最大の友でもある。