つばさ

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1人の首相とつきあうだけでいいだろうから「うらやましい」

2013年08月03日 | Weblog
本文春秋
8/3付

 「私は5人の首相とつきあった」。近く離任するジョン・ルース駐日米大使は安倍晋三首相との会食の席で、こんな感慨を口にしたという。自分とは違ってキャロライン・ケネディ次期大使は1人の首相とつきあうだけでいいだろうから「うらやましい」とも語った。

▼参院選で大勝した安倍さんは長期政権を保つと自分はみている。間接的な表現ではあるが、そうご本人の前で言ってのけたわけだ。ルースさんはもともと外交官ではないらしいが、なかなかよく練れた「外交辞令」を繰り出した印象だ。言葉の使い方がどうにも軽い麻生太郎副総理に爪のあかでも、などと思ってしまう。

▼そういえばルースさんが着任した時の首相が麻生さんだった。そして鳩山さん、菅さん、野田さん、安倍さん。4年以上つとめている駐日大使はみな経験したことではあるが、わが国唯一の同盟国の大使だけに苦労はいかばかりだったろう。「うらやましい」という言葉には、外交辞令に収まらない本音の響きも感じる。

▼難しい環境の中でルースさんはいい仕事をした、という声は多い。駐日米大使として初めて広島平和記念式典に出席し、長崎の原爆落下中心地碑に献花した。そして東日本大震災のときのトモダチ作戦。ないものねだりかもしれないが、いつの日か、つきあった5人の首相それぞれについての本音の感想を聞いてみたい。