つばさ

平和な日々が楽しい

「長期的にみた日米間の最大のリスクは安全保障でも経済でもなく

2013年08月13日 | Weblog
春秋
8/13付

 「長期的にみた日米間の最大のリスクは安全保障でも経済でもなく、若い世代の結びつきが細っていることにある」。アメリカのルース駐日大使が先週、離任を前にそう語ったそうだ。リスクとはまた大げさな、というより、発言にむしろ慧眼(けいがん)と強い危機感とを感じる。

▼背景には互いへの留学生の数が少ないことへの懸念があったというが、大使の言葉は裏返せば「未来を担う世代が理解しあえていれば、これから起こる難題は解決しうる」ということである。それはもちろん、日米間に限った話ではない。米国よりずっと近くにあって、もどかしさとわだかまりがある国がまず思い浮かぶ。

▼先日、オランダ・アムステルダム中心部の広場で韓国の高校生が伝統芸能を披露する場面に出会った。踊りは見事で、取り囲む観光客らの拍手を盛んに浴びていた。ただ一つ、意味するところはさほど伝わっていなかったようだが、高校生が掲げていた「独島(竹島)は韓国の領土」と書かれた英語の横断幕が気になった。

▼サッカー日韓戦をソウルで観戦した若手社会学者の古市憲寿さんが、会場を「それほど政治的なものだとは思えなかった」と本紙に書いていた。その通りだろうが、アムステルダムの広場と同じリスクの芽がそこにも顔を出していなかったか。芽をつむには、日本を知りたい、韓国を知りたいという若者を増やすしかない。