ゆ~たん音楽堂

ドキドキ&ハートフルな音楽と仲間を探して
東奔西走!
音楽ディレクター ゆ~たんの日常。

ふしぎの国から。

2005年09月03日 08時29分54秒 | Daily Life
9月2日(金)

8月のコンサート&レコーディングラッシュで、身の回りのことやデスクワークがかなり疎かになってしまった。
先月30日にようやくひと段落ついたこともあって、31日と9月1日と、とにかく机にしがみつくことに…。
やっぱり、もう少しタイムマネジメントを考えなくっちゃねぇ。

先週のはなし。
「ゆりがおか児童合唱団 定期演奏会」(8/27)で初演された高橋悠治さんの新曲
「ふしぎの国から」には大きな衝撃を受けた。

藤井貞和さんの詩集「悲しみをさがす時」「明るいニュース」から選択・構成されたテクスト。
難聴を理由にいじめで自殺した子どもの口から語られる嘆き、悲しみ、そして再生への願い。

高橋さんはプログラムに次のような文章を寄せている。

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[前略]
学校でのいじめが原因で自殺した少年は、死んだこどもたちの学校にいる。
運動場をつむじ風になってかけまわったり、冬は霜柱になって、生きているこどもたちに合図を送ってくる。
こどもの神すくなびこなも、からだをすりへらしながら、こんな世界をよくしようと、はたらいている。
音楽は明るい。こどもの現実の世界と二重写しになったふしぎの国の消息を伝えることばと音の絵があり、
それにピアノの線がからみついている。
[公演プログラムより転載]

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「時分の花」ということばを思い出した。
世阿弥のことばだが、10代には10代の、20代には20代の「花」が咲く…そんな意味合いだった。

ゆりがおかの子どもたちの歌声を聞きながら、これほどまでに「時分の花」を感じる作品に
どれだけ出会えただろうか、と思った。
ことばが心に突き刺さり、音楽が「永遠に続く糸」のように絡みつく…。

高橋さんと子どもたちによる本当の意味での「協働」「共創」であった。

なんたって、本番の高橋悠治さんのピアノの「切れ」「サウンド」ともに凄まじかった。
ピアノの音がここまで残酷に、そして悲しみを深め、また再生へのチャンネルを開くことができるということを、
知らされた。

舞台演出は石井かほるさん。
すべての見立てと意匠はこの方から出発している。