typeKIDS Report

活字書体を使う人のための勉強会

ゆかりの場所をめぐって

2015年10月13日 | typeKIDS_Tidbit
typeKIDS こぼればなし(2)

今回は、typeKIDSの活動とは直接の関係はありませんが、typeKIDS_Workshop で制作している「貘書体」と「白澤書体」および typeKIDS_Library で使用している「吉備書体」の、それぞれの書体名の由来となった場所についてまとめてみました。

貘1973・貘2016
書体名の由来


もともとは筆者の通った九州産業大学の近くにあった「貘」という喫茶店で、「貘1973」はここから名づけました。この「貘」はもうありませんが、福岡の親不孝通りにある「アートスペース貘」に併設された「屋根裏貘」として継承されています。


福岡市「アートスペース貘」



もう20年ほど前に、筆者が訪れたときの写真です。福岡の知人によると、「屋根裏貘」はいまも変わらぬ雰囲気だそうです。「アートスペース貘」では、福岡のアーティストによる個展、グループ展が活発に開催されています。


白澤中明朝体・白澤太ゴシック体・白澤太アンチック体
書体名の由来


中国で有徳の王の時代に現れるという想像上の神獣「白澤」から名づけました。麒麟、鳳凰とくらべるとあまり知られていませんが、わが国でも魔除けや災難除けの御札になっているそうです。


飯能市「飯能市郷土館」

「飯能市郷土館」には武甲山(武甲山御嶽神社と推測される)から配られた御札が所蔵されています。2015年3月〜5月には、収蔵品展「おふだ大集合!」が開催され「白澤」の御札が展示されました。飯能市郷土館の収蔵品には、御札やその版木などが大量にあるそうです。



飯能市郷土館収蔵の「白澤の御札」です(許可を得て転載しています)。御札には漢文が添えられていて、白澤は妖怪が避ける霊獣だということが書かれています。


いぬまる吉備楷書・さるまる吉備隷書・きじまる吉備行書
書体名の由来


「吉備書体」は、奈良時代の頃の地方国家「吉備国」から名づけました。「吉備国」は、のちの令制国では備前国・備中国・備後国・美作国にあたります。現在の岡山県全域と広島県東部のほか、香川県および兵庫県の一部にまたがり、筑紫、出雲、大和などとならぶ有力な勢力のひとつだったということです。


岡山市「吉備路文学館」

明治以後の吉備路ゆかりの小説家、歌人、詩人、俳人、映画人などの著書や資料を収集・展示しているのが「吉備路文学館」です。1986年に中国銀行の創立50周年を記念して設立されました。



展示図録ではありませんが、『吉備路をめぐる文学のふるさと 備前・美作・備中・備後』が刊行されています。吉備路に点在する80の文学碑などから、文学者たちの足跡をたどっています。


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