私のひそかな愉しみ

　最近のタイガースには当てはまらないかもしれないが、古くからのタイガースファンには少なからず「判官びいき」の傾向が強いように思う。少なくとも私はそうだった。地元であるというのは、私にとって偶然だと思っている。そこそこ強いのに、ここ一番には弱さを見せる。さりとて弱すぎず、時に横綱さえもてこずらせる。でも、結末はきっちり負けてしまうところが、阪神タイガースであり、大相撲の貴乃花であった。だからいつも気が抜けない。一層、応援に熱が入ったものだった。

　この３年で優勝２回。今年も磐石とはいいがたいのに、しっかり首位に肉薄の二位をキープしている。私の愛したタイガースは、こんなに強いチームじゃない。これでは「判官びいき」の信念にもとるではないか。私の知っているタイガースは、相手チームの連勝ストッパーでもあるし、はたまた連敗ストッパーでもあったんだ。強いチームには強いなりに、弱いチームにもそれなりにお付き合いできる、そんな大人のチームだったんだ。




ジャイアンツ、ついに３１年ぶりの１０連敗




　原監督はもちろん、選手、ファンの忸怩たる思いは、酸いも甘いも経験した、タイガースファンの我々だからこそ、想像に難くない。腹たって、悔しくて、そして情けなくなってくる。その思いが心の中にバームクーヘンのような堆積層を織り成している。


　そんな我々だからこそ、ひとつ言わせてもらうなら・・・。




君たち、連敗慣れしとらんわ




　過去にタイガースは１２連敗を２度記録している。そのうちの一度が巨人戦で、我らのヒーロー新庄選手が、敬遠球打ってサヨナラ勝ち。ヒーローインタビューで『明日もかっーつ！』と叫んだ次の試合から記録したもの。なあに、これ位へっちゃらですよ。試合の勝ち負けに喜びを見つけられないときは、試合の断片断片に喜びを探してこれたんですから。「あ、今のフォーク、上手くファールにしたよなあ・・・」。努力ひとつで幸せは、いくらでも拾い集められるもんですよ。これからジャイアンツが特権階級を放棄して、平民として生きる決意が出来たのならば、これらの能力を養いましょう。

　頑張れ！原ジャイアンツ。タイガースファンは君らの連敗ストップを願ってますよ。


　１２連敗で。




　話は変わって、実は私にはひそかな愉しみがある。それはベンチ前でホームランを打った選手を迎える儀式。その中に必ず一人か二人は、ヘルメットに拳骨や空手チョップで“コツン”する選手を見つけることが出来る。その瞬間を目撃するのが、私のひそかな楽しみなのだ。ホームランを打った選手がダイヤモンドを駆けているとき、この選手なら誰が“コツン”するだろう？と考えてしまう。そして、いよいよベンチ前、お迎えの列をハイタッチで通過していく。もう、それだけでドキドキしてくる私なのだ。そして、お約束の“コツン”の儀式。こちらの予想通りの選手だったら嬉しいし、予想外の選手なら、なお楽しい。“コツン”で、選手どおしの親密度が推し量れるし、何より微笑ましい気持ちにしてくれる。

　だから、お願いテレビ局様。お迎え儀式の最中に、リプレーや打たれた投手のカットを挟まないでください。ホームランを放ったバッターと迎える選手との聖なる儀式の瞬間を、目撃する機会を邪魔しないでください。その後でなら、どうぞご自由にしてください。



この日は近頃じゃめずらしい３ホーマー。濱ちゃん、しっかりセッキーから空手チョップをいただいておりました(笑)。