THE READING JOURNAL

読書日誌と雑文

「真珠の耳飾りの少女」

2008-11-28 | Weblog
「フェルメール全点踏破の旅」 朽木 ゆり子 著

6.ハーグ ≪真珠の耳飾りの少女≫≪デルフト眺望≫≪ダイアナとニンフたち≫

ハーグにあるマウリッツハイス美術館には、
≪真珠の耳飾りの少女≫≪デルフト眺望≫≪ダイアナとニンフたち≫の3枚のフェルメールを見ることができる。

真珠の耳飾りの少女
この絵は、フェルメールの絵のうち最も有名、かつ人気のある物である。しかし、この絵はハーグの資産家コレクター、デス・トンプが非常に安い値段で購入したものである。その理由の一つは、この絵はフェルメールであると認めたもう一人の重要なコレクターが競りに参加しなかったという競売での理由であるが、何よりもこの作品の保存状態が悪かったことによる。デス・トンプはこの絵を修復に出し、死後にマウリッツハイス美術館に寄贈した。

現在のフェルメール・ブームの原因の一つに、この絵をモチーフにトレイシー・シュヴァリエが書いた小説『真珠の耳飾りの少女』(白水社2000年)とそれを原作にした映画のヒットがある。この小説では、フェルメール家で働く若い女中が絵のモデルになったことになっている。では、この絵にモデルはいるのだろうか?
ここで問題になるのは、この絵がいわゆる肖像画では無いということである。肖像画とは依頼主がありその外見や特徴を後世に伝えるための絵であり、許される範囲での誇張はあるが、基本的には写実的に描かれる。しかし、≪真珠の耳飾りの少女≫はこのような肖像画ではない。風俗画の中には、肖像画の形をとった人物の半身像があり、これを美術の言葉で”トローニー”と呼ばれる。このトローニーでは、依頼主からの依頼によらないため、画家が自由に絵を描くことができた。しかし、だからと言ってモデルがいないわけではない。≪真珠の耳飾りの少女≫もこのトローニーにあたり、フェルメールは人物をモデルそっくりに描かなかっただろうと思われる。

デルフト眺望
この絵は、 巖谷 國士の「ヨーロッパの不思議な町」で語られている(ココ参照)。 プルーストやゴッホをうならせた絵である。
そして、 巖谷と同じように著者も、画集で見た時と実物を見た時の印象の違いに驚いている。

最初に≪デルフト眺望≫の実物を見たとき、それまで画集で見ていた絵と非常に印象が違っていて、驚いたことを覚えている。だあからマウリッツハイスには、この一枚だけ見に行く価値がある。

この絵は、実際のデルフトの風景を描いているが、X線写真の解析などからフェルメールは運河に映る影を修正するなど、実際の風景をただ写実的に描いたわけでない事がわかっている。
≪デルフト眺望≫はフェルメールを有名にした絵である。フェルメールを再発見したと評価される美術評論家テオフィール・トレ(トレ=ビュルガー)が1866年の論文で、フェルメールを忘れられていた天才と形容し≪デルフト眺望≫を絶賛している。

≪デルフト眺望≫は、風景を近距離で描いたものではないにもかかわらず、近くから眺めているような親密さがある。

ダイアナとニンフたち
この絵は、今回の「フェルメール展」で出品されている。この絵は、もともとニコラース・マースの署名があったが、それが偽物であることがわかり、そしてその下からフェルメールの署名が出てきたものである。この絵をフェルメールの作ではないとする学者もいるが、フェルメール作として受け入れている専門家も多い。
≪マルタとマリアの家のキリスト≫と同じようにフェルメールの初期の作品とされている。

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「瞬間英作文ドリル」 森沢洋介 著

Part 1 中1から中2前半レベルの文型を扱います。 2.ターゲット:現在形の一般動詞の文の練習です。


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