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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

照合と差異原因の解明(これが完璧にできれば経理はプロ級!)

2021-05-16 11:30:00 | 経理業務(帳簿の作成)
差異(さい)

経理業務に携わる人にとっては大変「嫌な」言葉です。憂鬱になります。

経理業務における差異とは、帳簿の特定の数値とそれに関する資料や事実関係における数値との間に差額があることです。

帳簿というのは基資料や事実関係と一致していなければなりませんので、帳簿とそれらが一致しないということは、帳簿が間違っている、つまり帳簿への記録が間違っていることです。当然、経理担当者は差異を放置しておくわけにはいかず、差異の原因を解明しなければなりません。この原因解明がそう簡単にできないこともあるのです。

◆差異を発見する手段としての「照合」

経理業務においては様々な局面で、帳簿の数値と基資料や事実関係とを照らし合わせます。これを照合(しょうごう)といいます。この照合という作業をしなければ差異は発見されません。照合は帳簿とその関連資料や事実関係との一致を確認するという大変重要な作業なのです。

照合の結果、差異が発見されたならば、差異の原因を解明してしかるべき処理をしなければ帳簿の正確性は確保されません。照合は経理業務において欠かすことができない作業なのです。

照合の一例は以下のとおりです。

◆現金出納帳(金銭出納帳)残高と手元にある現金残高との照合

現金出納帳は手元にある現金(硬貨と紙幣)の増加(入金)と減少(出金)と結果としての残高の記録ですので、特定時点の現金出納帳の残高と実際の現金の合計額は一致します。現金出納帳の正確性を確認するためには、現金出納帳の残高と実際の現金との照合作業を欠かすことができません。

現金出納帳と実際の現金が一致しないということは、現金出納帳の記帳が間違っているということです。(ただし、現金出納帳に表れることがない、現金の紛失や混入ということもあります。)

◆預金出納帳と預金通帳との照合

預金出納帳の数値は預金通帳そのものです。出入りも残高も預金通帳そのままです。ですから、個々の出入り(預入れと引出し)も残高も預金通帳と完全に一致しなければなりません。

預金通帳というのは金融機関が発行した大変信頼のできる証書資料ですので、預金出納帳をはじめとする預金に関する記録(売掛帳の入金記録、買掛帳の支払記録など)は、預金通帳との「完全一致」を確かめるべく、帳簿と預金通帳との照合は必ず行わなければなりません。

◆売掛帳と請求書控あるいは預金通帳などとの照合

売掛帳(総勘定元帳の売掛金勘定)は請求書控(請求記録)や預金通帳など(入金記録)から記録されますので、これらとの照合作業をしなければなりません。

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★会計ソフトを使っているけれども・・・

照合すべき項目と照合の方法を心得ていて、照合の結果生じた差異の原因が解明でき、しかるべき処理ができれば経理は「プロ級!」です。

会計ソフトを使っているけれども、その結果が「くちゃくちゃ!」になっている「原因のひとつ」が、この照合作業、差異原因の解明とその処理ができていないということです。照合することの意味や必要性が理解できていないのです。

照合というのはアナログで地道な作業ですが、これをこまめに続けていれば経理業務に関する理解が深まり、「総勘定元帳」「試算表」「決算書」の意味がわかるようになります。そうなれば、経理データを経営に活かせるのようになるのです。

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