【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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照合と差異原因の解明(差異が解決しない場合)

2021-06-19 19:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
帳簿の特定の数値とその関連資料との間に差異がある場合には、その原因を解明し必要な処理をしなければなりません。しかし、差異の原因がどうしても解明できないこともあります。

◆差異にはリスクがある

差異は決算書を歪め、決算書を不正確にしてしまいます。決算書が不正確であるということは、法人税や消費税の計算も不正確であるということです。

解明できなかった差異の原因が、税務調査や金融機関の融資審査の際に「あっさりと」判明することがあります。ですから、差異は放置してはいけないのです。あらゆる視点と方法で差異原因を解明し、しかるべき処理をしなければなりません。

◆これ以上の差異を生じさせない

差異はこれ以上生じさせてはいけませんので、一定時点での差異額を記録しておく必要があります。「この程度の差異であれば放置しておく」ではなく、「これ以上の差異は1円も出さない」でなければなりません。

◆許容される差異の水準

差異の原因が解明できていないけれども、様々な状況(ほかの勘定科目の変動状況など)からして許容水準と判断される場合には差異を放置しておくことがあります。

取引件数が多い売掛金や買掛金については、差異が避けられない場合があります。そのような場合には、実際の請求業務や支払業務に異変や支障が生じていないのであれば、一定程度の差異は許容することもあります。しかし、その判断は容易ではありません。また、差異が生じる項目については様々なリスクが潜んでいるわけですから、業務の各段階で差異が生じる原因を減少させるように努めなければなりません。

◆安易に差異額を別の勘定科目に振替えない

差異というものは各勘定科目の金額に影響をします。差異は勘定科目の金額と「あるべき金額」との差額です。勘定科目をあるべき金額にするために、差異額を別の勘定科目に振替えることがあります。

この振替えが行われるのは、差異の原因が解明された場合に限られますので、原因が十分解明されていないのに、「気味が悪いから」とか「すっきりしたいので」とかという理由で振替えを行ってはいけません。

◆差異があって当然の場合もある

差異があって当然の場合もあります。

その典型は、最近ではすっかり利用が減りましたが、小切手の振出しや受取りをしている場合です。振出しは、相手先が金融機関で取り立てるまで通帳(当座の照合表)に表れません。受取りは、資金化するまで通帳に表れません。

帳簿は正しいけれども、照合する資料そのものが間違っている場合も差異は生じます。例えば、仕入先が発行する請求書が間違っているなどです。

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★貸借対照表関連科目の差異は翌事業年度以降も残る
貸借対照表勘定科目の残高はそのまま翌事業年度に繰り越されることから、差異もそのまま残ります。ですから、特に貸借対照表勘定科目については差異原因の解明を入念に行っておく必要があります。

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