【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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立替経費(できるだけ早く精算する)

2021-11-12 19:15:00 | 経理業務(帳簿の作成)
「立替経費」とは、会社が負担すべき経費を役員や従業員が立替払いすることをいいます。会社が負担すべき経費ですので、立替払いをした役員や従業員は立替えた金額を会社に請求し支払いを受けることができます。これを立替経費の「精算」といいます。

★「立替金」という勘定科目とは無関係
立替経費に関して注意をしなければならないのは、「立替金」という勘定科目とは関係がないということです。立替金は「会社が」誰かのために(取引先、役員、従業員など)立替払いした場合に用いる勘定科目だからです。

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◆できるだけ早く精算する(事業年度内には必ず精算する)

立替経費は会社が負担しなければなりませんので、立替払いをした者としては早急に精算することを望みます。会社は立替経費が生じることが見込まれるのであれば、タイムリーに精算ができるよう資金を準備しておく必要があります。

精算は立替払いが行われた日を含む事業年度中に行わなければなりません。やむを得ず事業年度中に精算できない場合には、精算できなかった金額を「未払金」として経費計上するしかありません。なぜならば、すでに立て替えた時点で会社の費用は発生しているからです。この未払計上は大変手間がかかりますので(忘れることもあるので)、事業年度終了間近には立替経費が極力生じないようにしなければなりません。

◆帳簿の日付は精算日

立替経費を処理する日付は精算日になります。立替払いがされた日には会社の資金が動いていないからです。この精算日で処理していたとしても、立替払いがされた日付と精算日が同じ事業年度であれば、事業年度単位での利益計算(費用計上のタイミング)を歪めることはありません。精算日が立替払いされた翌事業年度になる場合は、上記のとおり未払計上をしなければなりません。

◆領収書のあて名は会社でなければならない

立替払いをした領収書のあて名は会社になります。立替経費を負担するのは会社であるからです。立替払いをする者は、必ず精算をしてもらえることを前提に一時的に立て替えているに過ぎません。

◆旅費交通費(通勤手当以外)の精算

立替経費の典型は旅費交通費(通勤手当以外)です。交通機関の運賃については領収書がありませんので、所定の精算書(行き先、利用した交通機関、運賃などを記載する)を用意しておき、会社に戻り次第精算をしなければなりません。

出張の場合には宿泊費も生じますので精算書に宿泊費(宿泊先と宿泊料)を記載する欄を設けておくとともに、宿泊先であるホテルなどが発行する領収書を精算書に添付します。

◆立替経費は極力減らす(立替経費は経理業務を混乱させる一因)

「とりあえず立替経費にしておいて・・・」という考えは大変危険です。気がつけば会社の帳簿に記載されていない経費が相当な額となってしまっています。当然、利益計算は歪んだものになります(費用が過少計上され、利益は過大となっている)。

会社の支払いは会社が直接するのが当然のことですので、本来であれば立替経費はあり得ないことです。あくまでも「立替経費は例外」であり、会社が直接支払うことが不可能であるとか煩雑すぎる場合に限定されてきます。

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